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32 カフェにて


 私たちはご飯を食べた後、ティナちゃんを寝かせて、カフェへ向かう。


「戸締りOK」

「さて、いきますかっ」


 家の鍵をしずかに閉め、暗くなった夜道を二人で歩く。……以前と違うのは、深夜徘徊する悪人が居なくなったことだ。


「このまま、平和になるといいけど」

「余計反発する人もでてくるでしょうね」


 下を見ながら歩くミコがそう言って、手を繋ぐ。……本当は怖いのかな? というか、私が怖い。


 ◇◇◇



 カフェの前まで来て、立ち止まる私たち。そう、キッカさんを拘束して小一時間ほど部屋に閉じ込めていた件について、説教は逃れられないとシーマから事前に聞いていたので、扉を開けるのが怖くなったのだ。


「ミコ開けてよ」

「えっ! やだよ、セリカが先に拘束したんでしょ?」


「違うよ! ミコが仕方ないけどやるしかないって言ったんでしょ!?」

「でも拘束したのセリカだもん! セリカ開けてよ!」


 次第に声が大きくなっていく。そして、それを聞きつけたマスターが扉を開ける。


「お前ら、何してるんだよ……」

「「あっ」」



 ……。



「ご、ごめんなさい、キッカさん」

「すみませんでした……」


「本当に心配したんだから! 外で爆発音がして、部屋がグラグラ揺れたり、いきなり街中白くなったりしてるのを拘束された状態で見てるしかなかったんだよ!?」


 カフェの一番奥のテーブルに私たちを座らせ、げきおこなキッカさん。……そりゃあ、そうなるよね……。


「キッカ、そろそろ……」

「マスターは黙ってて!」

「ひいっ!」


 キッカさんの怒声にひっこむマスターさん。……シーマはキッカさんの後ろの席に座り、こちらを見てニヤニヤしている。あの人、説教される私たちを見て面白がってる!!


 マグカップに入ったコーヒーを一気飲みして、それをテーブルに強めに置く。ゴトンと音を立てて、テーブルにが少し揺れる。


「……ほんと、無事で良かったけど、これで怪我でもしてみなさい。私は自責の念に駆られてこの街から、いや、この世界からおさらばしてたかもしれないのよ!?」


 ええっ、そこまで言う……!?


「本当に、ごめんなさい……」


 涙目になるミコを見て、ため息をつくキッカさん。


「はぁ……ごめんね、もういいわ」


 急にシーマが立ち上がり、口元を隠しながら歩いて私たちの横に立つ。


「セリカ、ちょっと、来てくれ……」


 もごもごと話すシーマ。私はこの重い空間から逃れられると思い、気が抜ける。


 二階の、キッカさんを拘束した部屋に案内されて、ベッドに腰掛ける。


「シーマ、急にどうしたの?」

「いや、すまん。あまりにも可哀想だったんでな……っ!」


 急に思い出し笑いをするシーマ。


「ちょっと、そんなに面白い?」

「いつも俺に対して生意気な口を利くミコがあんなに委縮するとはな……」


「あのままじゃ、いつまでもキッカの説教タイムが終わらなそうだったんでな。あいつ、かなり心配してたんだ。許してやってくれ」

「それは、分かったけど、ミコを残した理由は?」


「ちょっとな、二人で話したかったんだ」


 シーマはベッドに腰掛ける私の前に立ち、話し始める。


 

 シーマから聞いた話によると、工場を爆破した後、拘束されていた獣人たちを助けたのはマスターだったらしい。……といっても、戦っていたわけではなく、マスターはその顔の広さを最大限に活用して、あの時、知っている中でも最速で動ける冒険者の元へ走って、爆破元の状況を確認してもらうように頼んでいたという。


 結果的に、マスターが状況確認を依頼した冒険者が獣人たちを助け、ついでに企業の人間を捕まえて牢屋まで運んでくれていた。


「あいつ、急に居なくなるからビックリしたぜ」

「そうね……」


「でも、これを聞いて見直しただろ?」

「うん、戦えないなりに、私たちの裏で動いてくれていたんだ。……感謝しかないよ」


「フッ、やっぱり、お前と二人で話をしているとなんだか落ち着くな」


 急に笑い出すシーマ。私と一緒に居て、楽しいってこと?


「ありがとう……」


 下を向き、お礼を言う。……照れ隠しをしているつもりだけど、多分バレてる。


「すまん、俺からの話は以上だ。そっちの話を聞かせてくれ」


 私は、シーマ達が避難した後の街での出来事、エムニスの登場、街の改革宣言、私たちが騎士団として街のシンボルになることを話した。


「お、オレが精鋭騎士団のリーダーでいいのかよ?」

「6人の中で一番強くて、周りを見れそうだからっていう理由で選ばれたわ……正直、精鋭騎士って言っても、なにか仕事をするとかじゃないから、リーダーもなにもないわ。一応そうなってるってだけよ」


 シーマはなにやら納得できないという顔をしてから、顔を上げて窓際に立つ。


「そろそろ戻ろうか。自分で残しておいてなんだが、ミコが心配だ」

「私も、キッカさんにちゃんと謝って、許してもらわないとっ」


 ベッドから跳ねるように立ち上がり、シーマと一緒に階段を降りる。


「セリカ……シーマ……」


 一階に降りて、カフェを見渡すと、カウンターに移動して、マスターの作ったココアを飲みながらうるうると涙目になるミコ。キッカさんの姿は見当たらなかった。


「二人とも、ごめんな。キッカの心配する気持ちも分かるが、それ以上にミコが可哀想だったもんで、俺が余計な事を言っちまった」


「キッカさんって、熱が入るとトコトン燃え上がっちゃう人なのかな」


 私の変なたとえ話を聞いてシーマが鼻で笑う。


「それなら、時間を空けて鎮火するのを待とう」


 あ、合わせてくれた。マスターはクスっと笑い、私の方を見る。



「ほら、これでも飲んで、今日は帰りな」



 私とシーマはミコの隣に座って、出来立てのコーヒーを飲む。


「ミコ、シーマ。明日のことなんだけど……」

「ああ、バザールの準備だな」

「良く分かったね?」

「もうすぐだからな……明日、ティナを借りてもいいか?」


「ティナちゃんを? 何かするの?」

「俺とティナで、バザールに出品するモノを作ろうかなって思ってさ」


「シーマ、なんであたしを置いてったの?」

「うぐ」


 泣き止んではいたがまだ声が震えているミコ。私とシーマは焦りの表情を隠せなかった。


「ごめん、セリカと二人きりで話をしたくて」

「なにそれ、ひどいよ」

「ああ! ごめんって! ミコ!」


 シーマの手を避けて、こちらにくる。ミコは、私の腕を掴んでシーマをにらみつける。


「これからしばらくセリカのこと貸してあげない! いこっ、セリカ!」

「え、ちょっと、ミコ……?」





 飲みかけのコーヒーと、失敗した~という顔をするシーマを残して、カフェを出た。



よんでくださり、ありがとうございます!


ちょっとながくなりそうなので途中で切ります


これからも頑張ります!


もうちょっとで一区切りつくかなとおもいます!

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