学04 ティナの家族はすごいんだよ!
騒動が起きた時の、ティナちゃんたちの様子です。
急にギルド本部の方から轟音が聞こえ、すぐに机の下に隠れる子供たち。
「なになに!?」
「こわいよー!」
「カノトくん、怖いよお!」
「ぼ、ボクも、ティナちゃん!」
机の下で隣のカノトに泣きつくティナ。
……。
「みなさん、もう大丈夫ですよ~!」
爆発の衝撃が収まり、担任の先生、サラの呼びかけに反応し、ゾロゾロと子供たちが机から顔を出す。
「先生、ちょっと職員室行ってくるので、待っててくださいね~? 勝手に教室出たらだめですよ!」
「「はーい」」
先生が教室を出ると、教室内がザワザワとし始める。
ティナがカノトと話をしていると、後ろからフェファルの声が。
「ねえねえ、ティナ、なんか聞いてないの?」
「え?わたしが?」
「だって、こういうの、大体あんたの家族がなんとかするじゃん!」
「わたしの家族が……?」
「フェファルちゃん、ダメだよ、そんないい方したらっ……」
「カノト……ごめん、ティナ」
「ううん! 大丈夫だよ! それより……」
「お姉ちゃんたち、大丈夫なのかな……?」
教室の扉が開き、先生が帰ってくる。
「みなさん、校庭に集まってくださーい! 校長先生から大事なお話があります!」
◇◇◇
「大事な話って、なんだろうね、フェファルちゃん」
「あたしに聞かれても分かんないわよ、ティナ」
「多分、さっきの爆発のことだと思う……」
校庭に整列して座り、コソコソと話す3人。
人数確認をして、全員そろったことを確認し終えて、校長先生が前にある台に乗り、話始める。
「えー、みなさんこんにちは」
「「こんにちは」」
「これから、街の外に避難します」
急に生徒たちがガヤガヤと騒ぎ出す。
「悪い人と、英雄さんが戦っています! 必ず倒してくれるから、私たちは落ち着いて非難しましょう!」
「英雄って、やっぱりセリカさんじゃん! ティナ……ティナ?」
「ちゃん……お姉ちゃん……お兄ちゃん……」
「ティナちゃん、大丈夫?」
となりのカノトが優しく声を掛けるが、ティナには聞こえていなかった。
「ティナ……えいっ!」
「きゃんっ! はわわああっ!」
フェファルはティナのしっぽの根本を握り、スルスルと先まで手を滑らせる。
「ティナ、あたしたちじゃ、ダメなの?」
「えっ、ううん! ダメじゃ、ないけど……」
「とりあえずは、避難しよう、ティナちゃん!」
ティナはカノトとフェファルに手を引かれ、南の出口まで列を崩さないように歩く。
南の住宅街。大通りに、セリカたちの家はある。
道中に通りかかって、ティナたちは顔を合わせる。
「ちょっとくらいなら、いいよねっ」
「あたし、先生に話しかけて気を逸らすね!」
「ぼ、ボクは……?」
「アンタはティナと一緒に行きなさい……もしバレたら、あんたがティナを誘拐したことにするから!」
「ええ~っ? そんなのないよ、フェファルちゃん!」
家に、皆が居ますように。
そう願って、駆け足で家の扉まで行く。
首にぶら下げた家の鍵を使い、扉を開ける。
「ティナちゃん、どう?」
「……いない……いないよお……」
家族が爆発したところにきっといる。心配や不安が限界に達し、泣き出してしまった。
二度目の轟音。
「ティナちゃん! やっぱりボクたちも避難しよう!」
「ぐすっ、うんっ」
家をでて、ギルド本部の方を見ると、真っ白な煙が昇っていた。二度目の爆発。
「お姉ちゃん、お兄ちゃん……っ」
「ティナちゃん……!」
カノトはティナの肩を支えながら、皆の所に合流した。
「ティナさん!? カノトくん!?」
皆が避難場所の公園に集まり、座っているところに遅れて来た二人を見て、いつの間にかはぐれていたのに気づかなかった先生が顔を青くして、二人に駆け寄る。
「どうしたんですか? 怪我でも?」
「先生、あの爆発した場所に、ティナちゃんのママたちがいるんです」
泣き止まないティナを抱きしめ、安心させる言葉をかけ続ける先生。カノトはフェファルの元へ行き、やっぱり家族が家にいなかったことを報告した。
しばらく待機していると、街の放送が流れ始める。
「こちらエムニス……至急、街の中心、ギルド本部に集まるように。以上。」
これを聞いた先生たちはまた生徒を整列させ、街の中心まで、今度ははぐれたりする子が居ないように慎重に歩いた。
「ティナちゃんのママたち、無事だといいね」
「ひっ、うっ、うんっ……」
ティナの背中をさすりながら、ペースを合わせて最後尾を歩くカノト。
◇◇◇
白煙が晴れて、ボロボロになっていたギルド本部周辺に召集された街の人たちは、状況を知りたい人、家が壊れて怒っている人、長いこと街に出てこなかったエムニスに怒る人など、色んな人の色んな言葉が飛び交っていた。
「えー。今回の騒動、最近、たくさんの活躍を見せてくれる獣人、セリカに、恨みや嫉妬心を持って襲い掛かった者が居た。それを本人が直々に相手をしていた」
街中がざわつく。
「やっぱり、セリカお姉ちゃんが……」
「たった今、決着がついた。そして、ここで宣言する」
「この街を、人種で差別をしない街にする……と」
無音。
この街では、少なからず獣人をいじめたり、道具扱いした者がいる。そんなことを急に言われても、納得できないのである。
今まではペット同然の生き物が、自分と同じ立場になるっていうんだから。
ティナが拍手をする。そしてカノト、フェファル、ヒロ、エナ……学校の生徒から始まった拍手は、たちまち街中の賛成派に広がり、次第に街中を覆うほどのおおきな拍手になっていた。
「やっぱり、ティナの家族はすごいね!」
「セリカさん、さっすが!」
「うん、うんっ!」
涙を拭き、カノトを見て笑顔になるティナ。
「そしてこれからは、人種差別をする者に対して、処罰を下す組織を作る。……その名は、騎士団」
「精鋭騎士として、シーマ、セリカ、ミーコ、アシメ、レイラ、ギザルの6人を任命する。なにか困ったことがあったら、この6人を頼ってくれ」
「あと、一応これからは俺も街を守る騎士として活動する。気軽に話しかけてくれ」
そう言って、エムニスは帰って行った。その後、街の住人もそれぞれの場所へ帰っていく。
「それじゃあ、一旦学校にかえりまーす!」
「「はあーい」」
◇◇◇
放課後。
「ばいばい! ティナ!」
「うん、じゃあね、みんなっ!」
ティナは校門でみんなと別れ、リュックを手に提げて、門柱に背中を付ける。
しばらく待っていると……。
「あ、きたきた!」
「うん……? ティナちゃん」
「一緒に帰ろ?」
「……うんっ」
ティナはミナと帰り道が途中まで一緒だ。教室ではほとんどいつもの4人にブロックされて、なかなかミナと話す機会がない。そのため、わざわざ待ってまで、ティナはミナと一緒に帰るのだ。
「ティナちゃんのお姉ちゃんたち……すごいね」
「うんっ! すごいんだよ! どんなに強い敵でも絶対倒しちゃうんだよ!」
「あたしも、お姉ちゃんたちみたいに、なれるかな……」
「なれるよ! フェファルちゃんたちだって、セリカお姉ちゃんやミコお姉ちゃんみたいな冒険者になるって頑張ってるんだよっ」
「明日、みんなと話してみようよ。きっと楽しいよ?」
「……ティナちゃんが一緒にいてくれるなら、いいよっ」
「約束よ? じゃあ、また明日ねっ」
ティナはミナが分かれ道の角を曲がって姿が見えなくなるまで手を振った。
「わたしも、お姉ちゃんたちみたいになれるかなっ?」
ティナはスキップをしながら家に帰った。
よんでくださり、ありがとうございます。これからもおねします!
ほんといつもありがとうございます!
キッカさんはどこへ行っちゃったんでしょうね?




