30 世界が変わった日。 エムニス、服を着る。
目が覚めると、いつもの天井……ではなかった。
なぜか、目の前にはミコの顔が。ベッドに眠る私の上にのしかかり、ずっと顔を見つめている。
「起きた」
「ミコ、起きていきなり間近に顔があったら怖いんだけど……」
「あはは、ごめんごめん……んっしょっと」
ミコは体を起こし、私にまたがったままニコっとほほ笑む。
「セリカ、おはよ」
「ミコ、おはよう……それで、どうなったの?」
ミコが聞いた話によると、街の損壊はエムニスのエクストラスキル、「クリエイター」で元通りになったらしい。そして、街の住人を集め、獣人と人間の差を無くすという宣言をしたという。
「まあ、獣人を好き勝手できない法律を作ったんだってさ。あたし、そういうのよくわかんないけど」
「エムニスさん……」
変態王とかみんなに言われてたけど、意外と中身はしっかりした人なんだろうか。
それに、エクストラスキル、私のクリエイターモードの完全版じゃん……。
今まで、エムニスはずっと街を出なかったのではなく、出れなかったのだという。彼も強いけど、複数人からの24時間ずっと監視されている状況からは逃れられない。
今回の騒動で、城の管理人たちも逃げて、街へ出る隙が生まれたらしい。城の使用人は、皆獣人たちを道具扱いして、利益を上げていた例のべもなんとか企業と手を組んで、無限に湧き出る金の一部を受け取っていた。エムニスは勿論気づいていて、ずっとこの時を待っていたという。
そのきっかけを作った私を称賛して、この改革を私と5人の英雄が起こした奇跡と呼んだ。
街では獣人がコソコソ怯えながら生活しなくてもいいように、騎士団なるものが設立された。獣人を差別したり、犯罪を犯す者を取り締まったりする組織、所謂あっちの世界での警察だ。
この島には、そういった組織が無かったため、ずっと差別や暴力に苦しむ者が絶えなかった。これは、この島にとってとても大きな改革となった。
私たちはエムニス直々に精鋭騎士として騎士団の最上位部隊に任命された。リーダーはシーマで、副リーダーが私だ。
といっても、私たちの生活に大きな変化はない。午前の魔物退治が街のパトロールになったりする程度のものだ。事件が起きれば解決して、起きなければ良かったねという、なんとも適当な仕事内容。
「はいこれ、騎士団の制服だってさ! あたしたちのは、ちゃんと尻尾や耳の部分を猫族用に加工してあるのよ! エムニスってば、気が利くよね!」
そう言って渡されたのは、白を基調とした、空の色をした装飾やラインが入った制服だった。動きやすい様に、それぞれ体系に合わせたオーダーメイドだそうだ。
「なんとなくわかったわ。それで、ミコ」
「ん? どうかした?」
「私と一緒にエムニスさんの所に来てくれない?」
嫌そうな顔をするミコ。でしょうね! 私も怖い。 見た目が完全にラスボスの魔王だよ、ほんと。
時計を見る。14時。ティナちゃんはまだ帰ってこないだろうから、先にエムニスさんの所へ行って帰りにティナちゃんの送り迎えをしよう。
「そういえば、シーマは?」
「カフェ。騒動前からマスターが見つからなかったでしょ? まだいないのよ」
「ええっ!? 私たちも探そう?」
「あたし、シーマにお前たちは自分のことをやれって言われてるから。」
「そっか……」
◇◇◇
「えと、お邪魔します……? 失礼します……?」
王様のお部屋に入るときってなんて言えばいいんだろう。
「ようやく、目を覚ましたか」
声のする方には、(騎士団の)服を着たエムニスさんがいた。
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