24 かるたってどうよ?
「ただいまー!」
「「お邪魔しまーす!」」
「いらっしゃい、みんな~!」
今日はティナちゃんのお友達が家に来る日だ。前々から約束をしていたらしく、この日を楽しみにしていたという。
お友達4人は、綺麗に靴を揃えてこちらにお辞儀をして、二階に上がっていく。中には人間の子もいた。上手くやっていけているようで安心。
「セリカ、まーたよそ見してる」
「あっ、ごめんごめん!」
朝の魔物退治を終えて帰ってきた私たちは、ティナちゃんのお友達に喜んでもらおうと、新しいあそびを二人で考えていた。シーマさんはカフェに用事があるらしく、朝早くから家に居ない。
この世界には、子供が楽しめるような娯楽があんまりない。私の案でかるたを作ることになったのだが、もちろんミコはかるたという遊びを知らない。一から説明するハメになってしまったが、後悔はしていない。私の前世の娯楽をこの世界に広めることができるから。
そして、あわよくば……。
「みんなーちょっと来てくれる~?」
「はーい!」
ティナちゃんの部屋からゾロゾロと子供たちが降りてくる。私とミコは急ぎで完成させた試作かるた第一号をテーブルに広げ、みんなで囲む。
「これはね、かるたって言って、私が読み上げる内容と意味があう絵が描いてある札を素早く取っていくものだよ。最後に一番多く札を持っている子が勝ち! どう?」
「よくわかんないけど分かった!」
金髪の狐耳の子、フェファルちゃんは自信ありげな顔でそういう。他のみんなは初めて見るかるたに興味津々といった感じだ。
読み札の枚数は50枚。ミコに半分作らせたのだが、内容はお任せにしてある。この世界の人が、どんなかるたを作るのか興味があったからだ。
結果。
「えっと、一枚目は……ナニコレ」
「「えっ」」
「えっと、じゃあ……エムニスは変態王……」
「はいっ!」
黒髪の少年、ヒロ君は裸の……王冠を被って、ムキムキボディが強調して描かれた札を取り上げる。絵は決して上手とは言えないが、王を小ばかにするような内容というのは、なんとなく見て分かる。
「み、ミコ、これあってるの?」
「うん! ヒロくん大正解!」
「ヒロくんはやーい!」
みんなはとても悔しそうにしている。裸の王様……街の住人の共通イメージ、これでいいんか!?
みんなは早く次を言えといわんばかりにこちらに視線を向ける。
もしかして、これ二分の一で変なのが来ちゃう感じ!?
「これ、バザールで出したら怒られちゃうよ!!!」
「試作って言うから、ちょっとふざけちゃった。てへ」
「てへじゃない!」
「あだっ!」
ミコの頭をこづき、次の札を読む。
「つぎ! いぬもあるけば……」
「はいっ!」
カノトくんがそろりと手を伸ばす先にあった(犬が棒に当たっているイラストが描かれた)札をエナちゃんが横から素早く取る。
「ああっ!」
「カノト、あんた動きが遅いのよ」
「みんなはや~い!」
「この絵、上手! 線が少ないのに分かりやすい!」
「それはね、セリカが描いたのよ!」
なぜかミコが自慢げに話す。そう、私は前世でアニメが好きだったので、それに影響されて少しだけイラストが描ける。この世界は写実的な絵が好まれるため、デフォルメ化された可愛らしいイラストを見る機会がほとんどない。
みんなも物珍しそうに私の描いたイラストを見つめる。なんだか褒められているのに恥ずかしくなってきた。
◇◇◇
こんな調子で二分の一の確率でミコのふざけた札が入ったかるたを進めていき、最後の一枚をカノトくんが取り終えた。
結果発表! 一位は、フェファルちゃん!
「すごーい!」
「圧勝ね!」
「ふふん、当然よ!」
フンと鼻息を立て、自慢げなフェファルちゃん。2位はヒロくんで、10枚だったが、フェファルちゃんは26枚で圧勝だった。初めてやる遊びで、理解が早く、札を探すのも早いフェファルちゃんに、私含めみんなは感心していた。
みんなが楽しそうに話している。これはいけるのでは!?
「みんな、私たち、これを来週のバザールに出そうと思うんだけど、楽しんでくれたかな?」
「うん!」
「こんなに楽しい遊びは初めてよ!」
それぞれからお褒めの言葉をいただき、頑張って一から作った甲斐があったなと二人でウンウンうなずく。
「これならバザールで儲かりそうね!」
「もうかりって、セリカ、もしかしてまたお金儲けの話」
「そりゃあバザールに出店するなら、儲かった方が楽しいじゃん!」
「これ、売ってくれたら絶対買うわ! セリカさん!」
エナちゃんは笑顔でそう言った。他のみんなもうなずいている。その光景を見て、ミコはため息をついて、こちらに苦笑いする。
「はぁ、分かったわ。今日から魔物退治やめて、かるたの量産がんばるわよ!」
「その前にまず、ミコが作った明らかに怒られそうなのを修正しないと」
「えぇ~アレだめなのお?」
「ダメです」
「「あはは!」」
みんなも同じことを思っていたのか、落ち込むミコを見てみんなが笑い出す。
何はともあれ、バザールに出店するための商品は、このかるたで決まり! これでがっぽり儲けて、しばらくは家でゴロゴロするぞ~!!
◇◇◇
「今日はありがとうございました!」
「また来てもいいですかっ?」
「うんうん、大歓迎だよ!」
「またおいでね!」
すっかり日が暮れそうだ。
私たちは玄関で挨拶をして、それぞれ家に帰る子供たちをティナちゃんと一緒に見送る。
ヒロくんとエナちゃんの帰り道から、シーマが帰ってくるのが見えた。
「「シーマ! おかえりー!」」
「おかえり、お兄ちゃん!」
私たちはまだ声がギリギリ届くかどうかくらいの距離のシーマに手を振り、声を掛ける。どうやら気づいたようだが、両手には大きな買い物袋を持っていて手を振ってはくれなかった。その代わり、首をかしげて笑顔になった、様な気がした。
「シーマ、一日中一人で外出なんてめずらしいわね」
「うん、マスターさんともしばらく会ってなかったし、たまにはそういう日もあっていいよね!」
「ミコ、セリカ。ただいま」
「「おかえり!」」
さっきまでニコニコしていたシーマが、靴を脱ぎ、家に上がると、真剣な顔をして、こちらを向く。
「セリカ、これから俺と剣を修行しろ」
「へっ?」
……ど、どういうこと?
よんでくださり、ありがとうございます!
実は昨日、世界遺産の白川郷という所に観光で行ってまいりまして、合掌造りのおうちを実際に見てきたんですが、異世界にもあんな感じの村があってもいいなと思いました。
世界遺産見ても異世界かよ! って自分で突っ込んでみる。
これからも応援よろしくお願いします!!!!
ブックマークとかくださると超超うれしいです。




