18 セリカとシーマ① 小話 シーマ視点
セリカをベッドに移す。今朝よりも息が荒くなっている気がする。俺は桶に水とタオルを用意して、セリカの額の汗を拭う。なんだか辛そうだ。
「朝ごはんの時よりひどくなってねーか?」
「そうかな……ありがとう、シーマさん」
「いいんだ、こんなつらそうなの、放っておけるわけがない。今日は俺とミコに任せて、お前は安静にしていろ」
ニコっとほほ笑むセリカ。俺は風邪を引いたことがないが、つらそうなのは伝わってくる。
「シーマさん、風邪移っちゃうよ」
「ああ、そうだな……じゃあ、行ってくるよ」
「うん」
俺は二階に上がるときにカバンから取り出した小さな石を渡す。
「これは電話石といってな、対になる勾玉同士を繋ぎ、言葉を伝えるというものだ」
「やっぱり、あるんだ、電話」
「ん? なんか言ったか?」
「えっ、ううん! 続けて」
セリカに白い勾玉を渡し、使い方を説明する。
この石は、特殊な魔法陣を刻まれているもので、石を持って伝えたい内容を頭の中で思い浮かべると、石に刻まれた魔法陣が体内の魔力を電気信号のようなものに変換して、対になるもう一つの勾玉へと伝える。相手には、直接脳内にメッセージが送られる。
この石に刻む魔法陣は、とても小さく、作るのは職人でも難しいとされるレアなアイテムで、俺はギザルとの連絡手段で使っていたが、今ではもう必要なくなって、カバンの中に眠っていた。
俺は試しにセリカに向けて意思を伝えてみた。行ってきます、と。
電話石は仄かに光を放つ。
「あっ、なんか聞こえるかも……!」
俺の意思が伝わったのだろうか、セリカも石を強く握りしめ、無言でこちらを見る。
「「行ってらっしゃい、シーマ」」
耳元でささやくような、優しい声。俺はドキッとして、セリカの目を見る。
途中で途切れたのだろうか、呼び捨てにされたような気がした。
「ご、ごめん、呼び捨てにしちゃった」
「いや、いいんだ。俺は歳は上だが、目立ってお前らに誇れるようなものは持っていないからな。今後も呼び捨てにしてくれていいさ。ミコみたいにな」
「あはは、じゃあ、シーマ」
「んっ……なんだ」
「ありがとう」
「ああ、じゃあ、いってくるよ」
俺は笑顔で見送るセリカに背を向け、部屋を出る。
「「にゃー」」
風邪というには、余裕があるな。あいつ。
俺はニヤけそうな顔に力を入れて、階段を降りた。
よんでくっださり、ありがとうございます!
前回のお話の、間になります。
ちょっとした小話です! 直接ストーリーには関係ありません……!




