12 ミコとシーマ ③ セリカにプレゼント
あたしはシーマと街の商店街にある果物屋さんへ来た。鮮やかな色を放つたくさんの果物が並べられた箱を覗き込み、必要な果物をかごに入れていく。
「シーマ、これとこれ、どっちがいいかな?」
あたしは程度のよさそうなリンゴを2つ手に取り、シーマに見せる。正直、どっちでもいいと思ったんだけど、話すきっかけづくりにはいいだろうと思って。
シーマは少し考えるような素振りを見せた後、左手に持っているリンゴに指をさす。
「こっちのほうがうまそうだ」
「シーマ、見る目あるじゃん?」
「すまん、正直どっちも違いが分からん」
「やっぱりそうよね」
「そりゃそうさ。俺の店は新鮮な果物しか売ってないからな」
店員さんが店から出てきて目の前で仁王立ちをしている。ガタイのいい男の人だ。緑と白のストライプ模様のかわいいエプロンをつけている。
「あっはは、そうなんですね。通りで……えっ!?」
店員さんがあたしに顔を近づける。にらみつけるように顔をしかめ、急にニコっとする。
「もしかして、君、ミコちゃんじゃないのかい?」
「へっ? は、はい」
「そうかそうか! なんか似てるなと思ったんだよ! これ!」
店員さんは店のカウンターに乗せていた新聞を取り上げ、あたしたちに見せる。そこには、さっきカフェでも見た新聞とおなじものだった。セリカがでかでかと写っている写真の隅に、あたしの姿がチラっと写っている。
ギルドで報酬を受け取っている所だ。あたしの顔は、気が抜けていたのか間の抜けた顔をしていた。 ……なんか恥ずかしくなってきた。
「てことは、君たちが英雄のパーティーかい!? はっはは! まさか本物に会えるなんてなあ!」
お腹を抱えて大笑いする店員さん。急に真面目な顔をする。
「実は私フリャの者でして、この間のゴブリンによる被害を受けていたんですよ」
「そうだったんですか!?」
「ほお?」
「だから、一目あって直接お礼を言いたかった。本当にありがとう、君たち」
「えっと……お役に立てて良かったです!」
「お礼といっちゃなんだけど、そのリンゴ、良かったらタダで持っていきな」
「あ、ありがとうございます!」
あたしたちはリンゴをサービスしてもらい、お辞儀をしたあと、次の目的地へ向かった。
その後も順調におつかいリストを埋めていき、セリカが待ちくたびれているだろうということで帰ることにした。
道中、懐かしい潮の香りがして、その香りの元へと視線を向ける。
「ん、どうしたんだ?」
「うん、なんか懐かしい香りが」
「ああ、この匂い、ミコが居た村は海に近い所だったな」
「詳しいわね」
そう、この街、ネイバのすぐ南にある小さな森のさらに奥、海の近くに私たちのキウリ村はある。
「……ちいさいころ、よくセリカと海で遊んでいたわ」
懐かしい記憶が蘇り、すこし感傷的になるあたしを横で見ているシーマ。
「ちょっと、見ていくか」
「うん!」
扉を開けると、店内には、たくさんの香水のようなものが売られていて、商品自体はしっかり密封されているのに、香りが強いのか、店内はいろんな香り、いや、匂いで充満していた。
「うっ、なにこの匂い」
「外で嗅いだ匂いとまるで違うな」
いらっしゃいと小声で話す店員さん。あたしたちはせっかくだからということで店内を見て周り、潮の香りの正体を突き止めた。その商品には、海と書かれている。
「まんまね。これ単体ならすごくいい香りなんだけど」
「せっかくだし、セリカにプレゼントでも買っていくか」
あたしたちのために色々なことをしてくれるセリカに、ちゃんとお礼をしたことが無かったことを思い出し、いい機会だと思って、海と書かれた香水? をカウンターに持っていく。
「金貨1枚です」
「ふぇっ!?」
「なんだ? 値段見てなかったのか」
そういって、シーマが財布から金貨を取り出す。私は香水が高額な商品だったとは知らず、驚きで買い物が終わるまで固まっていた。
「おい、大丈夫か? そろそろ出ようぜ」
シーマに引っ張られ、店を出る。外の新鮮な空気を吸って正気に戻った私を見てクスクスと笑う。
「へへっ、なんだその顔」
「あんなに高いものだと思わなかったわ……ありがとう、シーマ」
「いいってことよ、俺は今までお金はあっても使う機会がなかったからな。……誰かにプレゼントなんてな」
「さ、家に帰ろう、これは俺からのプレゼントってことで」
「あっ! お金払ったからってずるい! あとで半分出すから、あたしとシーマからってことにして!」
「へいへい」
セリカ、喜んでくれるかな!
よんでくださり、ありがとうございます。
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ティナちゃんの学校生活が始まりましたね。 みんなと仲良くやっていけるんでしょうか。
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