10 ママとママ?
今日はついにティナちゃんの初登校日。私とミコも着替えて、学校に向かう。
新しく買ったモダンな黒い服を着ているミコ。とてもかわいい。
「ミコ、似合ってるじゃん?」
「セリカも。お洒落するなんて久しぶり?」
私たちは制服に着替えて、重そうなバッグを背負ったティナちゃんの手をつかみ、外にでる。
「さあ、行こっか!」
「はーい!」
外で洗濯物を干すシーマさん。あれから何故か家政夫的なことをしている。ギザルさんが戻ってくるまで、暇だからと言ってたけど、それ以外にも、ティナちゃんのことが気になるらしい。
今の所、特に追い出す理由もないし、ミコが許してるし、ティナちゃんにも気に入られてるので、そのままにしてる。……やったらミコとよくしゃべるのよね。シーマさん。
「行ってきます!シーマさん!」
「バイバイ、お兄ちゃん!」
「留守番頼んだわ、シーマ」
「へいへーい。お気をつけて」
私とミコはティナちゃんの手を取り、学校に向かった。
学校の入り口には、この前の事務の人ではなく、担任の先生らしき人が迎えてくれた。
「あら、おはよう、ティナちゃん!」
「おはようございます! 先生!」
担任らしき人はティナちゃんと目線を合わせ、ニコッと笑う。
「これからよろしくね?」
「はいっ!」
先生と、ティナちゃんは挨拶をし、下駄箱の場所を教えてもらう。
その後、私たちの方を見て、お辞儀する。
「こんにちは、私たちが保護者のミコと、こっちがセリカです。」
私たちを見て少し混乱している様子。私たちが首をかしげると、ハッと気が付き下を向いた。
「あ、ごめんなさいね。あまりにもお若いものですから……それと、どちらがお父さん……?」
「えっ?それは……」
「私です」
キッパリ言い切るミコ。
「そ、そうなのね!ごめんなさいね。可愛らしい?お父さんなのね、ティナちゃん?」
「え、うん!とっても、素敵なパパなんだよっ!!」
私は目で感謝の気持ちを送り、ミコはウィンクで返す。
さすがに、ママとママはまずい。そんな特殊な家庭の子ってバレたら、いじめられちゃうかもしれない。
「じゃあ、あとはよろしくお願いします。何かあれば、連絡帳にお願いします。どんなに些細なことでも構いません!」
「分かりました。大事に預からせていただきます」
ミコが後ろから先生に声を掛ける。
「こちらパパ。ティナちゃんになにか起きたら、子供相手でも容赦出来ませんので。少しでもいじめや陰口など発覚すれば、すぐに言ってください。手遅れ、なんてことがないように」
「え、ええ、分かったわ……」
ドン引きしてる先生。ミコ、あんたちょっと怖いわ!子供相手には容赦して!
私たちはティナちゃんを預けて、家に向かう。
「セリカ。今日は依頼やるの?」
「ううん。まだ、ティナちゃんの学校に持っていく道具の名前書きとか、学校に提出する書類とか全然終わってないんだ」
「そっか、じゃあ、今日は私とシーマで冒険に行くよ」
「ええっ!? シーマさんと2人きりで?」
私は心の奥でミコを取られるという少しの嫉妬心と、ミコへの心配で鼓動が早くなる。
「大丈夫。あいつがたまには俺とも冒険してって言ってたから、早めに貸し作っとこうと思って、さ」
「そ、そうなら……いいけど?」
「なになに?セリカ、もしかして……?」
「ううん!もういいわよ!ち、ちかよるなー!」
ミコは私に抱きつく。ミコ、場をわきまえて!ここ街の大通りだあああ!
「ミコっ、ちょっと、ここ街のっ……! もう!」
「ふふっ、あははっ!セリカの寂しがり屋さん!」
「それはミコも一緒でしょ!」
◇◇◇
「「ただいま~」」
玄関のドアを開けると目の前にはシーマさんがいた。
「おかえりんしゃい、ティナのパパと、ママ?」
ミコは顔を赤くする。
「むう!」
「へへっ、そういう設定だろ?言われ慣れとけよ?パーパー?」
「う、うるさい! シーマは黙ってて!」
「へいへい、相変わらずキビシーねぇ?はいよ、名前書き、やっといたぜ」
「うわぁ〜!シーマさんありがとう!字、綺麗〜!」
シーマさんは意外にも、私より字が上手かった。
「へへ、どいたしましてぇ?」
【⠀ちょっと⠀】嬉しそうなのが、シーマさんの可愛いところだ。私は椅子に座り、名前が書かれた学校道具を見つめていた。
これから、ティナちゃんが学校に……!
ティナちゃんの制服姿、可愛かったなぁ……。
ワクワクする気持ちは、保護者側の私たちにも確かにあった。
「シーマさん。これ」
私は急いで作ったあるものをシーマさんに渡す。
「へへっ、いいぜ。こういうの」
「よろしくね?」
「ああ、分かった。ミコのことは、ちゃんと見る。安心してくれ」




