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新たな出会い

遅れて申し訳ありませんでした!



あれから、3年の秋。

エイナル兄さんは、剣や魔法、書類関係に腕を磨いており。今では内政手腕で有名だ。

エネルは、魔具の研究を続け。アスラルト王国に発展を進めた。

エネルは、研究室で新しい魔具の設計図を書いていた。エネルは、魔具の基礎学を1年で覚え、今は自分で作っている。


「おーい!エネルー!夕食だぞ〜!」


研究室に来た兄さんが大きな声で呼びに来た。


「分かりました!すぐ行きます」


エネルは、机にペンを置いて部屋の入り口の方に行く。


「いつもごめんなさい」

「いいさ、エネルも頑張っているんだし。誰も責めないよ。でも、たまには息抜きしないとお母様が心配するぞ」


お母様は、心配性で。前にエネルが研究室に篭もりっきりの際は、だいぶ心配していた。

エネルが研究室から出ると、1時間弱は抱きしめたまま離さなかった。


「耳が痛い…でも、もうアレは懲り懲りです…」


エネルは、あの時の記憶を忘れたい気持ちでいっぱいだった。


「あ、エネル。1つ頼まれてくれないか?」


エイナルは、歩くのをやめ、エネルの方に振り向く。


「いいですよ。僕にできることならなんなりと」


エネルは、兄エイナルの夢。【平和な世界】を叶えるために協力している。前世でも戦争ばかりだったので、兄の夢を叶えたかった。


「実は、魔具の設計図を売って欲しいってクイラ国が言っててな。売る気は無いけど、魔具の方はお手上げだ。だから、エネルに任せたい」

「分かりました。魔具の販売はするがそれ以上はなし。ってことで進めればいいのですね?」

「ああ。流石エネル。話が早くて助かる!」


エイナルは、エネルに肩を組む。


「うわぁ」

「やっぱエネルは、俺の自慢の弟だ!」


そう言いながら、微笑むエイナル。


「大袈裟ですよ。でも、僕も自慢の兄さんですよ!」


じゃれ合う二人。エネルは本当に幸せだった。前世では友達などと遊んだりしたのは小さい頃だけで、それ以降はほとんど無かったからだ。


「それより、早く行きましょう」

「そうだな」


二人で話しながら食堂の方に向かうのだった。




次の日の早朝。

エネルは早くに起き、すぐに着替える。カーテンを開けると、まだ陽は出ておらず少し肌寒かった。


「ん〜!…はぁ。肌寒くなってきたな……もうすぐ冬に入るし、一時は制限されるな〜」


冬に入るこの時期は、あちこちで戦争がある。農作物の収穫を終わらせ、冬に戦争が起きる。

これがこの世界の常識に近い。


「さて、調理室に行きますか」


そう言って支度すると調理室に向かうのだった。




朝の朝食の時間。

食堂に集まったアスラルト一家。朝の食事を取っている。

食卓には、一人を除いて全員集まっていた。


「あれ?エネルは居ないの?」


食堂に居ないエネルに気付いたシーナは、エイナルにエネルのことを聞く。


「部屋に行きましたけど、居ませんでしたよ?研究室の方にも居ませんでした」


エイナルは、食事を摂りつつ事情を話した。


「じゃあ、どこに行ったのかしら?」


シーナがエネルのことを心配していると、エネルが食堂に現れた。


「遅れてすみません。少し作業をしてました」


エネルは謝ると、自分の席に座って食事を取り始める。

シーナは安心して、食事を取り始める。アウデは、終始無言で食事を取っている。

エイナルは、エネルが研究室以外で作業をすると聞いて気になったので、エネルに質問した。


「なぁ、エネル。作業ってどこでしてたんだ?研究室以外で作業なんて珍しいから」


エネルは食事の手を止め、エイナルの質問に答える。


「実は調理室に居ました。少し料理に小細工を」


すると、食堂にメイドが料理を持って来た。


「失礼します。デザートをお持ちしました。エネル様特性の"グラタン"でございます」


メイドが一人ずつにグラタンを置いていく。エイナルがエネルの方に振り向く。


「まさか、コレを作ったのか?」

「そうですよ。味は保証しますので、是非食べてみてください」


シーナとエイナルは、グラタンの香ばしい匂いでお腹がなりそうだった。

そんな中、普通に食べ始めるアウデ。グラタンを一口食べた瞬間目を見開く。


「う、美味い…」


そう言って、さらに二口目、三口目とスプーンが止まらない。それを見たエイナルとシーナもグラタンを食べる。


「お、美味しいわ!」

「美味い!病みつきになる!」


そう言って、2人ともパクパクとスプーンを持つ手が止まらなかった。

あっという間にグラタンは無くなり、3人は満足そうだった。


「こんなに美味いものを食べるのは久しぶりだ」

「えぇそうね!頬っぺが落ちる美味しさってこういうことを言うのね」

「美味しかった〜!」


エネルは3人の反応を見て微笑んだ。自分の料理で喜んでもらえて、嬉しかった。


(孤児院でカノンが作ったのを、頑張って再現したものだけど。どんだけ頑張っても、あの味には敵わなかったな〜)


昔のことを思い出しながら、グラタンを食べるエネル。


「そういえば、エネルはクイラ国に行くのよね?」


シーナは落ち着いたあと、エネルに質問をする。


「はい。同盟国の一つなので、良好な関係は築いておきたいので」


アスラルト王国が同盟を結んでいるのは2つ。

昔から同盟を結んでいる【スミラル国】。【スミラル国】は、資源の宝物庫と言われており、有名になってきたと同時にアスラルト王国も魔具で有名になったので。お互いに守るために同盟を結び、お互いに利害が一致したためずっと続いている。

もう一つの同盟国【クイラ国】。クイラ国と同盟を結んだのは最近で。1年前に同盟を結んだ。

クイラ国は周辺の国でも(ちから)がある国だ。


「気をつけてね。襲われないよう注意してね」


シーナはまだ同盟を結んでからそんなに経ってないクイラ国が怖いと思っていた。


「大丈夫ですよ。この同盟は無下にしないので……ごちそうさまでした。それでは、僕は行きます」


エネルはすぐに席を立ち、食堂を出る。




クイラ国とアスラルト王国の間。

一本道を進む一つの集団があった。道は少し狭く、あまり整地されていなかった。


「はぁ〜疲れた…」


馬に乗り、ため息を吐きながら帰っているエネル。

エネルの周りには10人ほどの騎士が居た。


「お疲れ様です、エネル様」


声をかけてきたのはネモだった。ネモは護衛として同行していた。


「相手が頑固すぎる……最終的に、問題を先延ばしにしただけで……時間の浪費だ…」


クイラ国の同盟としての条件は魔具の設計図を売って欲しいと言うものだった。魔具の設計図はアスラルト王国の最大の秘密なので絶対に承諾できない事だった。

クイラ国の言い分としては「お互いのことを知らなければ協力も何もない!」と言うことだった。


「わからなくもないけど、国の最大の秘密は渡せない。でも、同盟を無下にする訳には…」


エネルは、頭の中でどんな交渉をした方がいいか考えて、熟考した結果「無理」という文字しか浮かばなかった。


「はぁ…兄さんの足を引っ張ってる…」

「大丈夫ですよ。エイナル様なら気にしませんよ」


ネモのフォローで、少しは気分が楽になるエネルだった。

進んでいると、前の方を進んでいた騎士がなにかを見つけた。


「エネル様。目の前に倒れてる子どもが」


騎士が見てる方を見ると、子どもが倒れていた。

エネルはすぐに馬から降り、倒れている子どもに近ずいて行く。


「エ、エネル様!」


騎士が慌てて止めようとする。


「大丈夫」


エネルは倒れている子どもに近ずき、倒れている子どもの様子を見る。


(まだ息はある。でも、コレは危ないな)


倒れている子どもは女の子で、服はボロボロで体の方は骨と皮だけの状態だった。


「水と食料を!」

「はい!」


騎士は、水と食料を馬に着けたカバンから取り出す。エネルは倒れている女の子に声を掛ける。


「大丈夫か?起きろ!」

「ぅ………みず……」


女の子は意識があるものの、自分では動けないようだった。

水と食料を持ってきた騎士がエネルに渡す。エネルは先に水をついだ後、パンを水につけて柔らかくした。

エネルは騎士たちに周りを警戒させ、監視をさせる。

エネルは女の子を左腕で上半身を起こし、女の子に水をゆっくりと飲ませる。


「う……ん……ゴクッ……」


女の子はゆっくり水を飲んだあと、少しずつ眼の焦点があってきた。

エネルは、水で柔らかくしたパンを女の子に食べさせる。


「詰まらせないように、ゆっくり食べな」


女の子にパンをあげると、勢いよく食べ始めた。

一人の騎士が近ずいてきてエネルに耳打ちする。


「よろしいのですか?」

「倒れている人を助けないのは嫌だからね。それに、もしかしたら助かったかもしれないのに見捨てるなんて、目覚めが悪いじゃないか」


騎士は、自分の考えが愚かだと思い下がる。


「ぁ、ありが、とぅ」


女の子はパンを食べたあと、エネルにお礼を言う。


「君は、どうしてこんなところに居るの?」


エネルは、女の子に優しく問いかける。女の子は覇気のない感じで経緯を話していく。


「お父さんに、追い出されて…家にも、入れてくれなくて……」


女の子の話を聞いて、ある程度の予想をする。


(領地の税が高くて払うのを減らすために追い出したか、親が酒浸りとかになったかとかだな)


「お願い……助けて…なんでも、するから!……ひとりは、嫌だ」


今にも泣きそうな顔でエネルの、服を掴む女の子。掴むその力は、振り解けるぐらい弱かったが、予想よりは力強かった。


「貴様!エネル様からはな…」


騎士が怒気を散らしながら近ずいてきたが、エネルが静止したことによって、騎士は黙った。

エネルは女の子を見て、前世のことを思い出していた。


(カノンと初めて会った時に似てるな)

そう思いながら、決意する。


「君がいいなら、助けてあげる。僕には君が必要だ」

エネルは、女の子にハグをする。

「あ、温かい…」


そのまま、女の子は意識を落とした。エネルは女の子を抱き抱え、馬車に乗せる。


「エネル様、よろしいのですか?」


乗せ終わって馬車から降りた後、一人の騎士に聞かれる。


「放置する訳にもいかないからね。それに、親に捨てられて帰る場所もないんだ。可哀想だろ」


エネルは、自分の馬に乗り話しかけてきた騎士の方を向く。


「それに、兄さんが目指す世界にはこんな子どもが出ないようにするんだ。今助けることが出来なかったら、明日でも未来でも出来ないよ」


そう言って、先に進むエネル。急いで自分の馬に乗り後を追う騎士だった。



【投稿時間変更のお知らせ】

此度は、投稿が遅れてしまいすみませんでした!!!


今度からは21時から22時までに投稿できるよう頑張っていく所存です!

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