表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
エア・クラフト・スチール  作者: 山鳥のハラミ
オレンジと鉄と空薬莢
7/22

ep06 Student by student shopping,nominal Procurement of goods〈学生が学生によるお買い物、いう物資調達〉

熱いです。あぁ、違う。暑いです。

最近急に暑くなって死にそうです。

あー、つらぽ。

お出かけ当日、命都は集合十分前に集合場所の校門前にいた。

「ここで合っているかな?」

そう言って、何度もスマホで集合場所を確認していた。

「待たせたな」

「あ、って他は?」

時間の五分前に来たのは、優華だけであった。ほかの女子はなぜか見当たらない。

「あぁ、準備中」

「五分前なんですけど」

「女子には都合があるんじゃない?」

「はぁ」

そりゃあ、ファッションとか興味が出てくる時期ですよ?けれどそういうのって前日ぐらいに準備するのではないのだろうか。

「あと十分待つか」

「優しい」

一応、猶予は与える。甘えではない、それが普通なのだからと考えたまでである。

「‥‥」

「暇だね」

「だな」

沈黙が続く。

カチっ、カチっ、と時計の秒針が進み続ける。

暇だから、スマホの電源を入れ画面を見始める。

「何見てるの?」

「あん?あぁ、ネットに流れていたメカイラスト」

「本当に好きだな」

「まぁ、いざとなったら作れるのがこの世だからな。あ、優華はどれがいいと思う?」

「んー、私はこれかな?」

「本当に、好きだな。近接戦闘」

「まぁね」

優華は初めて会った時からなんも変わっていない。

主に戦闘スタイル。

入学当初も全武装、外してナイフ一本で頑張っていたから。いや、あの時は本当にすごかった。五人がかりでも勝てなかったから。教官ありで、いやー、本当に怖かった。

絶対、対峙したくない敵ランキングトップ10に入っていそう。

えっ、自分の一位は全然、別の人ですけど?

こいつとは散々、やりあったからね。

「ごめんなさい!待たせましたか!」

そうすると、遅れてきた面子がやってきた。

お、時間丁度じゃん。あ、けど10秒過ぎてる。まぁ、いいか。そんなことにいちいち、反応していたら身が持たんからな。

「えーっお、確認するけど。これで全員か?」

「そうですね」

「そっ、なら行こうか」

「はい!」

シリルがそう言うと、一斉に皆が目的地へと歩き出す。

「にしても命都、服緩いね」

「そう?」

優華はそう言うが自分はそうした覚えがない。

いや、記憶もない。んー、本当に無いぞう?

「うん、きちんとしてそうで緩い」

「そうかい」

いや、どっちなんだよ。緩いのきちんとしているのか。‥‥まぁ、いいか。

「もう、どうしたんですか~!」

「速くしてくれよ。こっちは大変なんだ」

「あ、そう」

「ほら、さっさとエスコート」

「はいはい」

いや、自分エスコートなんて無理だから。

まぁ、そんなこと言って君らには届かないんだろうけど。

そう渋々、エスコートを押し付けられる。

「で、どうするよ。買い物なんぞ言ったてっ、行先不明なら意味ないでしょ」

「まず最初は服屋とか行きませんか?」

「うん?いいけど。あまり目はよくないよ?」

「ん、んん?い、いいんです!」

まぁ、自分はいいけど他の人はどうすんのよ?

そう思って、優華たちを見ると平然とした顔でうなずく。

「じゃあ、先はそこにしますか」

「りょうかーい」

「です!」

「うむ」

三人がそう言うと目的地に指定していたショッピングモールに向かった。


「いやー、最近のショッピングモールはすごいね!」

「何言っているんだ?」

命都の驚きの言葉に優華から鋭い一撃(ひとこと)が飛んでくる。

んー、痛い。

「いや、だってさ。自分、興味ないことには全力に興味ないし、服とか近くのし〇むらとかで買っちゃうし、あまりこうリア充が来そうな所、行かないんだよね」

「‥‥そうか」

「何か、ごめん」

これを口にした瞬間、自分たちの惨めさに再び気づいてしまった。

 はい、自分は安い男です。けれど最低源でもファッションできるからぁ。できるからぁ!(安い男の必死な叫び)

「まぁ、服代は払ってやる」

「すまん」

優華は静かにそう言うと、命都も静かに返す。

「「「「‥‥」」」」

気まずい空気が流れる。

いや、本当に‥‥ごめん。

「行くか」

「だな」

目的地の服屋は五階。エレベーター使った方がいいのだろうか?

それにしてもショッピングモールとは服屋とか売っているところが多い。

にしても‥‥。

「詩音、そんなフリルなやつ着るんだ」

ギクッ

「どうした?」

「い、いやな」

詩音の服装をざっくり言うとさばさばした感じの服だが、フリルが強めなミニスカを着けていた。

「やっぱファッションには強いのか?」

「ま、まぁな」

うーん、なんだか語呂が悪いなぁ。

何がこの子を緊張させているのだろうか?

うーん、何じゃろ。・・・・・わからん。

「そう言うえばそうですね。可愛いですよ。詩音さん」

「そ、そうか!?」

おう、声が裏返っちゃっているぞ。お嬢ちゃん。

にしてもシリルに言われた瞬間、先ほどより強めに体をもじもじさせている。

「あぁ、もしかしてむず痒い?」

「!!」

「違うんじゃないのか?」

「あぁ、なら恥ずかしいとか?」

「‥‥それだな」

「そうか~。詩音も女の子だったのか。自分少し安心したわ」

「~~~~~!!」

詩音の顔は耳まで真っ赤になっていて、頭の頂点から湯気が出ているように見えた。

いや、なれていなかったんだろうね。多分。

「命都は服とか好きなものあるのか?」

「いんにゃ、俺は動きやすさとデザイン重視だから。さほど興味ないかな」

「‥‥それは最低限無いか?」

「?」

あん?どういうこと?

命都は何が最低源なのか聞こうとすると、シリルがとある店の前で止まる。

「どうした?」

「い、いえ!なんでもないです!」

「?」

「ほぅ」

シリルのその様子に気になった命都と優華は後ろにあるお店のガラスケースを見る。

そこには宝石のように綺麗なケーキが並んであった。その中でもシリルが見ていた物は期間限定の抹茶ケーキだった。

「食べてく?」

「‥‥‥あぁ、良いだろう」

「私もいいと思うぞ」

「‥‥すみません」

命都の提案に優華たちは飲む。

それに対してシリルはすまなそうに返事をする。

良いのに‥‥こっちの勝手だし。

ガチャリ、カランカラン。

「いらっしゃいませ~」

お店の扉を開けると、そこは静かで綺麗であった。

「ほー」

「綺麗です」

そのお店は喫茶店に近いデザインだったが、和洋中が合わさったようなデザインだった。それに命都達はケーキのことを忘れ、今ここではお店の風景を楽しんでいた。

「って違う違う。ケーキを食いに来たんだ」

「はっ!そうだった」

一瞬、頭の中身が停止したが詩音の言葉に命都達は現実に戻される。

 既にシリルはガラスケースの前に鎮座し、芸術品のように並べられていたケーキを眺めていた。

「さて、どれにしましょうかね」

「‥‥‥色々あるね」

優華の言うと売り、ガラスケースの中には定番の苺の乗ったショートケーキからチーズケーキ、チョコケーキやアップルパイなどのパイ類、他にもタルトがあった。その種類の多さに命都達は色んな所に目が行ってしまう。ガラスケーキの端から端まで見ても見たりないほどそのケーキたちはおいしそうだった。

とてもじゃないが選べない。皆、そのことに考えているとポンと頭の中に一つだけ案が思いついた。

「分け合えばいいじゃん」

「「「それだ(です)」」」

そう言うと、すぐに皆はどれを頼むか考える。

 既に決めた者は既にガラスケースの前から離れ、お店の内装や音楽を楽しんでいたりしていた。

「決め終わったか?」

「うん」

「できたよ」

「できました」

優華がそう言うと命都達は会計の所に行き注文を頼む。

一人一人注文をしていくと、店員さんはレジで会計の計算を画面に表示される。

注文が終わると店員さんはすぐにその場から離れ、トレーの上にケーキを一つずつ置いていく。

その間にみんな、バックの中から財布を取り出しお金を払う。当然ながら自分で頼んだ分の料金だけだが。混乱(割り勘)を起こさないためと、他人に払わせてはいけないという自制心がこういう結果に至らしめた。

うん、やっぱ。割り勘、駄目、絶対。誰かが得なんかさせない。地獄の道にはみんな一緒だからね。

「お待たせしましたー」

すると店員さんがケーキを取り終え、トレー一つずつに頼んだケーキとカフェオレなどの飲み物が置いてあった。

「注文に間違いは?」

「ありません」

店員さんの問いに優華が答えると、店員さんは「分かりました。お会計は~」と言い続けレジの数字を打ち付け、会計を済ませる。

「ありがとうございましたー」

店員さんがそう言うと、命都達は頼んだケーキなどが乗っているトレーを持ち席を探す。

「あそこにしましょう!」

シリルがそう言って指した場所は、とても目を引くところだった。

「マジで?」

「はい!」

シリルのそのやる気に押された命都は渋々、シリルが差したテーブルに向かう。

「交換しましょう!」

「食べ合いっこでええだろ」

「えっ!でも‥‥」

「?」

なんでそこで口ごもる。

「‥‥はぁ、諦めろシリル。こいつはこういう男だ」

「そ、そうですか」

「?、まぁ、良いじゃねぇか。さっさと座ろ」

「はい」

 にしても服のこと褒められてから全く動かないね。詩音君は・・・・・。

 なんでじゃろね。話しかけるタイミング失ったのかな?

「詩音さん!」

「はいっ!?」

するとテーブル席に着くとシリルは座るのと同時に詩音に話しかける。詩音はそのことを予想していなくて声が裏返る。

「今日は、お話をしましょう!」

「‥‥‥わかった」

「‥‥」

良かった。

なんでか知らないが、心の中でそう思ってしまう。いや、本当にわからないがそう思ってしまう。ほら、よくいるじゃん。クラスで一人だけの子を眺めていると心配になるの。あれと同じなんだよ。

「‥‥でですね」

「そうか」

「‥‥混ざらないのか?」

「これで?」

目の前には少女たちが青春を楽しんでいる。それは野暮にも程があるのだろう。

「無理だな」

「だろ?」

そう言って命都は、シュガースティック三本が入っているカフェモカを飲む。

うん、甘い。カフェモカの意味をなしていないほど甘い。まぁ、甘いと思っていてもきちんと苦みが口の中に広がる。こういうのはとても好きだ。

「大人なのか?子供なのか?」

()さ」

口の中から自然とその言葉が出てくる。

「‥‥そう、か」

優華も答えを聞くと、珈琲が入ったカップを口に付ける。目の前で楽しんでいる彼女たちを見ながら購入したケーキを頬張る。口の中に広がる苺のショートケーキの味わいはまさに王道の味で、口の中に広がる苺の風味が丁度いいフレーバーとなっていた。

半分ほど食べると再び、珈琲を飲む。ちりっ、と舌に響くその苦みは珈琲の鼻腔くすぐる独特の香りと程よいマッチングであり、少しだけ大人な雰囲気になる。

「詩音さん。そのケーキおいしいですね!」

「あぁ、それだったら。シリルのその抹茶ケーキもだよ。くそ!飲み物、ほうじ茶にしとけば良かった!こんな味になるんならそっちの方がもっと楽しめたんだがな~」

 悔しそうな顔をしている詩音に、既に食べ合いっこを始めているシリル。そして、隣で静かにケーキを食べている優華。そんな中で平然としている自分も何だか面白く思えてくる。

「‥‥‥いいね」

「うん?」

おっと、口が滑った。

 それをチャックするようにガラス窓から映る外を見る。

「?」

 けれど優華も自分の考えが理解できたのか、まっすぐ前を見ながら珈琲を飲んだ。

 のちに聞いた話だとその珈琲はとても苦かった、とのことだった。


 ケーキ店での休憩も終わり、()(ぶん)達一同は今日の目的地、ショッピングモールの主役ともいえる服屋に来ていた。

「にしても多いな‥‥女性物」

 自分をこんな所に来させていいのだろうか?

 いや、まだ下着とか売っているランジェリーショップじゃないからいいもののこうなんだか場違いな場所にいるとむず痒くなるものがある。

「恥ずかしい‥‥?」

「えぇ、まぁうん」

「素直だね」

「正直ものなんでね」

「‥‥嘘つけ」

「ウソジャナイヨ」

「‥‥」

優華、見つめるんじゃない。

君もシリル達と一緒に服選びに行ってきなさい。

「お前も行くんだよ」

「はーい」

 やっぱり心読まれるんだよな。何がダメなんだろう。

優華に引っ張られながら考えていると、どの服が良いだのと言い合っているシリル達の下に着く。

「連れてきた」

「あ、ありがとうございます!優華さん!」

「まぁね」

 まさか、シリルに頼まれて連れてきたの!?優華が!?‥‥もう!そんな子に育てた覚えはないわよ!

「育てられていない」

「うす」

やっぱり何だか心が読まれているんだよなぁ。

「で?何していたの?」

 優華は先ほどの事を気にせずに、話を斬り返す。

 いやぁ、なにこのスルースキル‥‥。強すぎない?

「えっと、丁度詩音さんの服を見繕っていたところなんです」

「だ~か~ら~、私はこうカッコいい服も着てみたいんだって!」

「いえ、絶対こういう服が良いです!」

そう言ってシリルが出してきたのはフリフリの白ワンピという清楚系が着る代表詞の服だった。

「‥‥合うんじゃ、ありません?」

「なっ!」

 つい口が動いてしまう。いや、ここで似合わないと言ったら更にやばめの服が来そうだったから‥‥許せ詩音、君のためだ。

「ですよね!やっぱり、詩音さんはこういう清楚な服が良いんです!」

「ちーがーうー!俺はカッコいい服が来たいんだー!」

 ‥‥シリルってファッションとかになるとこんなに変わるのか。いや、元より女子が、か?‥‥わからん。

「私は違う」

「そう」

 もう、突っ込まんぞ。

「そ、それよりさ!命都の分の服もここで買って行ったらどうだ!?」

「あ!良いですね。それ」

 詩音は半泣きになりながらもシリルに意見をする。

 詩音、貴様‥‥、友人を売りやがったな!

(へへ、お前も俺と同じ苦しみを知れ)

 貴様ぁ!

「命都さん!ということで行きましょう!」

「‥‥OK、わかった。行きますよっと」

 シリルが袖を引っ張りながら店の奥へと連れていく。

 命都はシリルに連れられて、店の奥に入るとそこには男性用の服がずらりと並べられていた。

「多いな」

 今まで着てきた服の数とは予想以上にあった。

 目の前には20種類近くはあるのではないだろうか。

「そうですか?まだ少ない方だと思いますけど‥‥?」

「‥‥まじで?」

 女性の感性はこれでも少ないというのか‥‥。再び女性の恐ろしい一面を見た気がする。

「けどどれにしましょう。命都さんに合うと一杯バリエーションありますからね~」

「はぁ」

「あ、命都さん!いつも着ている服ってどんな感じですか!?」

「あん?いつも来ている服?今日着ている服と一緒だけど」

「えっ」

「えっ」

えっ、自分なんか変なこと言った?

「いつも、そんな服何ですか?」

「え?いや、毎日じゃないけど。いつもこんな服だけど‥‥何か悪かった?」

「‥‥」

 その無言はやめてくれ。何か言ってくれよ。

 まるで自分が悪いみたいじゃないか。

「いつもパーカーに、ベルト付きズボンなんですか?」

「うん」

「夏は?」

「薄着の長袖とベルト付きズボン。たまにダサTと半ズボン」

「‥‥」

 シリルが呆気を取られたような顔で見てくる。

 なんだよ。悪いかよ。いつもこんな服で悪いかよ。

 予算的には一番、良いんだよ。男性もん、高いんだから。しま〇ら舐めんな!

「‥‥ここで買っちゃいましょう」

「‥‥はい」

 そんな哀れみの目で見られたら、逆に自分が悪いみたいな感じじゃん。

「うーん、それならどうしましょう。命都さん、何でも似合いそうですし。カジュアルな感じでも‥‥いや、クールな感じも捨てがたいですね。命都さんはどんな感じがいいですか!?」

「‥‥あ、うん。もう、ご自由に」

目の前にいるのが本当にシリルなのか疑いたくなる。

けれど、これほど元気があるのなら良いのかもしれない。

「はい、これを!」

「え?あっ、はい」

 すると命都の目の前に大量の服が詰め込まれた籠があった。

「これは?」

「試着してみてください!」

「‥‥」

 あー、こういうことね。了解、了解。

 着せ替え人形ね(泣)!

「? どうかしましたか?」

「ううん、何でもない」

 ただ詩音の気持ちが少しわかっただけです。

「あっ、試着室はあちらですよ」

「OKOK」

 ‥‥これ、全て着るのか。時間、掛かるなぁ。

 手に持っている籠はとてもじゃないが重く、確実に一人が着る量ではないと思う。

「どうかしましたか?」

「あ、いや。ダイジョウブダヨ?」

「? あ、こっちです」

 シリルは命都の裾を摘み、試着室にある方へと連れていく。

 命都はただそれ引っ張られるようについていく。

「ここです」

「あっ、はい」

 目の前にあったのはいつも見たことある試着室だった。

 縦長に伸びた一人用の着替え室。入り口にはカーテンのような垂れ幕が張られており中を覗くと入口以外は鏡がついていた。当然、床には無いよ。

「入って着替えてみてください」

「うす」

「あ、着替え終わったら見せてください!」

「お、おう」

 命都はシリルにそう言われ試着室の中へと押され、カーテンを閉められる。

「‥‥靴、脱ご」

 まずは、履いている靴を脱がなければいけない。

 これ試着室のルール。

「にしても毎度、思うのだが試着室ってなんでこんなに狭いんだろうな~」

 閉所恐怖症と鏡恐怖症の人が入ったら、大変なことになりそう。

 ほら、入った瞬間、発狂しそうじゃん?そんな感じよ。

「‥‥そう考えると怖いな」

 心の中で謝罪しながら考えながら着ていた服を脱ぎ、加護に入っている服を試着していく。

「‥‥これは、こうすればいいかな?」

渡された服は、デザインなどがばらばらだった故に自らが考え、組み合わせて着る羽目になった。

「できたよ」

「あ、はーい」

 命都はそう言って試着室のカーテンを開ける。

「これでどうだ?」

「‥‥」

「何かいってよ」

 そんなに黙っていると自分が恥ずかしくなるじゃん。何か、間違えたとか。

「え、あー、はい。かっこいいですよ」

「? そう?」

「そ、そうですよ!」

 なんだがお世辞感があるんだよなぁ。やっぱ似合わないのかなぁ。

「優華さん達にも見て貰いましょうよ!」

「はぁ」

「ゆ、優華さーん!」

 そう言ってシリルは呼びに行っちゃったけど着替えちゃっていいのかな?

「何、よ‥‥」

 とここでシリルに連れられて優華たちも来た。何?笑う気?

 笑うのなら笑えよ。お前から笑われるのは慣れているつもりだから‥‥多分。

「ど、どうですか!これ!逸材じゃ!」

「あ、あぁ、うん」

 シリルはそう言って優華に伝える。

 何が逸材なんだよ。オタクにとっちゃ、この服装自体がむず痒いの。

「‥‥着替えていいか?」

「あ!はい!」

 あと気になっていたのだが、後ろで固まっている詩音をどうにかしてやりなさいよ。

 そう思いながら再びカーテンを閉める。

「次はこれか‥‥」

 手に取ったのはカジュアルな服で先ほど、いや現在着ているクールな服と真逆な服で合った。

 命都はそのカジュアルな服に着替える。

「‥‥どう?」

 ゆっくりと静かにカーテンを開く。

「良い。‥‥いいですよ!これ!」

「あ、あぁ」

 シリルは興奮気味で、優華に話かけている。

 優華は逆にシリルの熱気に押されて、一歩だけ下がる。

「で?どうすればいいの?これ」

「私が聞きたい」

「‥‥詩音の事置いていかんでおくれよ」

「あ‥‥ごめん」

 後ろで状況が読み込めない詩音がただ棒立ちとなっていた。

 気づいてあげなよ。本当に。

「で!で!どうですか!優華さん!よくないですか!」

「‥‥シリル、落ち着け。おかしくなっている」

「あ、ごめんなさい」

 シリルはそう言って頭を下げる。

「どうする?買う?」

「‥‥まぁ、この服は買おうかな」

 このダボダボ感、好きですし。

「あ、私が払いますよ!」

「え、マジで?」

「はい、無理やりに着させちゃったということもありますし」

 まだ着てない奴あるけどね‥‥。

「それに、迷惑、掛けましたし」

「‥‥」

 昨日の事だろうか?

 それなら気にしていないつもりなのだが、本人が気にしているようだし黙っておくとしよう。

「迷惑?」

「はい、昨日ですね。命都さんに相談をしたんですよ」

 ? したっけ。

「ほう、命都にもそんなことできるんだな」

「まぁ、人間ですし」

「は?」

 おい、そこで、何言っているんだ、貴様。的な雰囲気を出すのはやめておくれよ。

「あ、あと!今日の事もですよ!」

「そ、そう」

 今日のシリルの暴れっぷりは相当だった。

 けれども今日のこの買い物でシリルのほんの少しが見れた気がする。昨日は、シリルがやっと人らしい姿を見せてくれたおかげで少しだけ自分たちに違ついている気がするから。

「けどさ」

「はい?」

「試着。まだ終わってないから。一応、全て着てから会計でいいかな?」

「あ、はい!」

「よし」

 試着室のカーテンを閉める。そして、再び着替えの準備を始める。

 やっとゆっくり試着できるのかなと、思った矢先に……。

「あ、きちんと見せて下さいよ~」

「そうですか」

 自分にゆっくり、試着するということはできないようです。悲しい。

「……女子に払わせるんだ」

 優華のその呟きも右から左へと、そっぽを向きながら試着室で次の服へと手を掛けた。


 試着も終わり、優華が次に着せ替え人形にされると、シリルに服の会計をしてもらい店を出る。

 シリルの気遣いか、なんと自分たちの服をまとめて購入してくれた。

 購入金額、三万超えてた気がするのだが……?

 まぁ、本人が良いのならいいのだろう。

 服屋を出るとそのあとは、無計画の買い物の代表としてただ個人個人の買い物に付き合っていた。

 優華の提案では文房具屋に行き使いやすい文房具などの情報を共有したり、詩音の提案で雑貨屋に行き軽い買い物をし、自分の提案で本屋に行き各自、バラバラでありながら興味のある本に目を向けていた。

「……疲れた」

「だな」

「です」

「はぁ」

 買い物を終えると、自分たちはショッピングモールの真ん中にあるベンチに怠く座っていた。

 ショッピングモール内を歩き続けたりしたため疲労感がどっと来る。

 一言で言うと、夏から一気に秋になるのと一緒。

「命都さんは何をお買いに?」

「? シリルに買ってもらった服と本屋で買ったライトノベルを二冊ほど」

「そうですか」

「シリルは?」

「そう言えば、命都、模型雑誌読み込んでいたよね」

「それとASについてだな」

「まぁ、興味があるからな。てかそれ言うのなら優華もだろ」

「……」

 優華は黙り込んでいるが、こいつも相当だ。

 前に一人で本屋に行った時なんか自分が言った模型やミリタリー系の雑誌が置いてあるコーナーにそいついたぞ。

「詩音は?」

 話を逸らすかのように優華は言う。

「私は、まぁ、雑貨店とかで安い家具とかな」

「はぁ、本当に安いので大丈夫なのか?ほら、壊れやすいとかあるだろ?」

「まぁ、大丈夫だ。あの店は昔から世話になっているからな」

「そう」

 まぁ、本人が大丈夫と言っているのならいいのだろう。

「シリル……さんは?」

「え!え、えっと……」

「何買ったか、だとよ」

 さすがに詩音の質問が自分に飛んでくるとは思わなかったシリルは慌て始める。だがそれもすぐに収まり、ゆっくり深呼吸をすると詩音の方に顔を向け答える。

「私は服と、寮で使うためのコップなどを」

「寮でのコップ?なぜ?」

 寮での物が壊れるなんてほとんどない。

「私が持ってきていたコップとかがもうそろそろ買い替えなかきゃいけないと思って」

「そう」

 案外、普通だった。壊れたのなら面白かったのに。

「あとは少し本を」

「?」

 そう言えばシリル、本屋行った時に何かの本を買っていたな。まぁ、そこは深く追求しない方がいいのだろう。

 乙女の秘密とやらがあるからな。

「……」

 沈黙。目的を失った(いや、元より無かったのも言えるが)自分たちはただベンチに座っている。

「どうする?」

「んー、どうしようね?」

 優華が静かに言うと、少し考え答える。

「……飯屋にでも行くか?」

 けど、数時間前にケーキという女性( カ)の(ロ)天敵(リー)を食べたばかりである。

 いや、自分は女性じゃないけど。

「……帰る?」

 優華が言う。まぁ、そう言っちゃうとそうなっちゃうよな。

「いや、少し寄りたいところがある」

 自分はこれが本命だったのだが女性がいる前でしたくなかった。それも団体様であるから更に駄目だろうと考えていたが、時間が余ってしまったためあの場所に行くしかないのだろう。

「どこですか?」

「うん?あぁ、少し調べた所をな」

「いや、どこなんだよ」

 はいー、そこ、ちょっとうるさいよー。

 詩音が何か言ってくるがジブン、ヨク、ワカラナイ。

「喧嘩売ってんのか?」

「逆になんで喧嘩売っているって思ったの?」

「じゃあ、なんで顔に出ているんだよ」

「えっ」

 嘘。出ていた?顔に?うわー、一生もんの恥ずかしい思い出になりそう。

 っとこんな悪ふざけをしていると詩音は眉間に皺を寄せ、額にはぴくぴくを震わせている。

「はぁ、分かったよ。言いますよ。‥‥AS部品を見に行くの」

「それって工具店か?」

「いや、ホームセンター。確か隣だった」

「Exactly(その通り)」

 詩音が言うとすぐに優華が修正する。

 このショッピングモールが人気な理由はこれでもある。服屋、雑貨屋、飯屋などの娯楽を中心にした隣には木材や機械、布など売られているホームセンターがあることだ。

 最近、増えているそうですよ?ショッピングモールにホームセンター建てるの。

「で?なんでだ?」

「いや~、ナットとかボルトとか気になっちゃってさ~」

「はぁ、本当に馬鹿だな」

 えぇ~、そんなにかな~。

 馬鹿にされていることは否定しないけどぉ~。

「けどこいつ数学出来ないんだよな」

「出来ないんじゃない。出来ないんだ(やり方が)」

「どっちにしろ一緒だろ」

「えぇ~」

 だって一日経ったら忘れちゃうじゃん。三歩歩いたら忘れちゃうじゃん。ねぇ!?(同情を乞う目)

「今からそこに行くんですか?」

「ん~?まぁね~」

 すると置いてけぼりになりかけたシリルが体を前に倒し、自分の事を覗き見る。

「けどその前にきちんと休憩。やっぱ何事にも必要だからね」

「そうですか」

「そうそう、だから俺、少しトイレ行ってくるわ」

「あ、はい」

そう言うとベンチから立ち上がり、近くにあるトイレに向かって歩いていった。

私こと山鳥のハラミは思ってしまった。

エ〇漫画が描きたい、できることなら同人作品を作りたいと……。

他にもア〇ルトゲー作品のシナリオを書きたいと、唐突に思ってしまいました。

あー、刀〇男子の漫画は変えるのに、艦〇れなどの女の子の漫画が描けねぇ!

だれか、何な綺麗な女の子の描き方を教えてぇ!

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ