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エア・クラフト・スチール  作者: 山鳥のハラミ
オレンジと鉄と空薬莢
3/22

ep02 『Schwert〈シュヴェーアト〉』

今回は短めです。

………前書きって何書けばいいのでしょうかね?



※注意※

後書きを読む方は作者のリアルな事情が込められています。

それを見て不快になる方もいらっしゃるかもしれないので、見たくない方は飛ばして次の話を読んでいただけると嬉しいです。

「昨日はすまなかった」

 翌日、教室に向かう途中、詩音に出会った命都は頭を下げて謝罪をしている詩音の姿に戸惑っていた。

「いや、いいんだけど」

「だけどきちんと覚悟決めないといけないから……」

「いや、いいよ」

 徐々にやる気が失せていく命都はつい視線に入った優華に助けを求める。

(ヘルプ)

(断る)

(オワタ)

 それに対し優華は大きな笑顔で命都を見つめる。

 命都の心の中はその笑顔一つで絶望に落とされる。

「あぁ、もう気にしなくていいよ」

 命都は頭をがりがりと掻きながら詩音に言う。

「元よりこっちが仕掛けたんだ。どっちも全力でやった。そして負けた。それにこの謝罪一つで変わるか? お前は全力でやったんだ。それを惨めに壊そうとすんじゃないよ」

「……」

 命都はそのまま唖然とする詩音の肩を叩きつつ教室に向かった。

「そういや、お前も使えるようになったから。いつでも来いよ」

 命都は背中越しの状態で伝えることを伝えて去っていった。

「大変だね?」

「オタクが助けに来てくれないからでしょ」

 優華が少々声が弾んでいる状態を見て、命都は小さくため息をついた。

「疲れた」


 教室につき、時間が過ぎていくと朝のHRが始まる。

「お前らー、席に着けー」

 昨日よりだらしなくやる気のない指示をしながら薫子背院生が教室に入ってくる。

 するとぞろぞろと教室にたむろっていた生徒たちが席に戻ったり教室から出ていく。

「じゃあ、きちんと座ったな。今日は緊急で特別視察留学生が来ている。クラスの皆は粗相がないように仲良くしてくれな」

 へぇー、こんな時期に来るのか。珍しいな。大抵は事前的な準備があったはずなのに、さすがに緊急の事だ。

「じゃあ、入れ」

「はい」

 うん? 聞き覚えがある声なんだが?どういうことだ?

 教室の扉が開かれる、そこにいたのは印象的な金髪の少女であった。

 あれ? 昨日会った人? けれど男性だったよな?

「今日から、フランスから来ました。特別視察留学生のシリル・メフシィです。よろしくお願いします」

 へぇー、この人が特別視察留学生。うん? 視察? ということは昨日の恥ずかしいところ見られていた見られていた?

 少々の焦りと少々の恥辱で頭の中が混乱し始める。

 そんなことお構いなしにシリル・メフシィと名乗る少女は命都を見つけると明るい笑顔で見つめてくる。

 やだ、そんな明るい笑顔で見ないで惨めになるから。

 命都はそんな明るい笑顔から逃げるかのように顔を伏せる。

 目の端っこに映ったことなのだがシリルの顔はちょっと寂しそうな顔をしていた。

「じゃあホームルーム、終わりにするからな」

 チャイムが鳴るのと同時に薫子先生はホームルームを終わりにし薫子先生はすぐに教室から出ていく。

「きちんと授業出ろよ~」

 最後にお節介を付けくわえながら。

「えーっと、いいかな?」

「? あぁ、君か」

 当然、話しかけられ、話かけられた方を見てみるとそこには、シリルの姿があった。

 昨日見た少年のようなすがたはしていないため女性としての色気が半端なく柔らかいその笑顔がとてもかわいらしかった。

「昨日はありがとうね」

「それにしてもまさか女性だったとは‥‥」

「男の子だと思ったのかい!?」

「うん」

 きちんとした着こなした男性用のスーツを着ていれば誰だって男だと勘違いすると思う。

 それにあんな会話したんだ、自分の評価が下がるだろう。

「下げないよ」

 こいつっ、エスパーか!?

 まるで心が読まれているかのようにシリルは言うとその笑顔から明るい光が照らしだされている。

「天使か」

 天使か。

 この世に天使はいたんだよ!お父さん。天使は本当に居たんだ!

「あんな姿なんて見たら下げないのに」

 うん? なんか言ったんだろうか

 余計なことを考えていたため良く聞こえなかったような気がする。

「何か言ったか?」

「! うん!? なんも」

 そんな声をあげていたら何とも思わないがあまり深く知らない方がいいか思った。

「けれどそんなこと関係なくよろしく」

「うん。よろしく」

「案内必要?」

「ううん。昨日案内されたから」

「あ、そう」

 必要なことかな、と思って聞いてみたが必要ないらしい。

 会話の内容がつなげることが難しく、コミュニケーション力がない命都にとってはこれ以上は会話をつなげれる方法が見つからない。

「君が特別留学生の……」

「うん? 君は?」

 おぉ !支援に来てくれたか! 我が友、優華よ。さぁ、そのまま会話をつなげるんだ! できれば仕事を減らしてほしい!

「……はぁ」

 あれぇ? なんでそんな目で見るん?

 ジト目で見てくる優華に対して、自分が何かしたかを考える。

(いや、駄目だ。分からん)

「……はぁぁぁぁ」

 優華はさっきよりも深いため息を吐き、シリルの方向を見て会話を再びし始める。

「こういう奴だから」

「あ、はい。わかりました」

「うん、じゃあね」

「あの!」

 優華がそこから離れていくとシリルに呼び止められる。

「何?」

「すみません。お名前の方をお聞きしたく」

「えっ? 言っていなかった?」

 いや、言っていないと思います。

 途中でオタクが入り込んで、名も名乗らず、我が物顔で会話に入ってきました。

「じゃあ、言わせてもらうね。私の名前は篠原 優華。よろしくね」

「篠原さん……あの!? 篠原 優華さんですか!?」

「あの? 多分、あっていると思うよ」

 あれとは優華の異名について言っているのだろうか。

 分け合ってこの学校に特別選抜として入学していた優華はシリルと同じような扱いになるのだろうか? 自分でもわかんないことはあまり関わらない方がいいだろう。

「そうですか。あなたが……」

「私って、そちらでもそれほど有名なんですか?」

「いや、もう有名ってところじゃないよ!こっちではヨーロッパ諸国の上層部たちはあなた目当てで大きく事情が変わりますし、イギリスのエリザベス女王陛下でさえも興味が向けている方で世界各国でも一番、名が出ている程有名な人ですよ!」

「「そんなに!?」」

 さすがにそんなに話を盛られすぎていると逆に驚いてしまう。

「うわ、お前そんなに……」

「……知らないうちに有名になっている」

「『元』賞金稼ぎがねぇ」

 優華の目は意識はどこか遠くに行ってしまったかのように光を失っており、それをにやつきながら細い目で優華を見る。

「それにしてもこんな優しい人と有名な人に出会えて光栄ですね」

「優しい人?」

 どこに優しい人なんているんだろうか? 周りを見ても人として駄目な屑ばっかりどこにそんな人間らしい人がいるんだ?

「どこに?」

「えっ、いるじゃないですか?」

 不思議そうな顔でシリルはこちらを見てくる。

「えっ?」

「えっ?」

 いや、本当にどこにいるの?

「何これ? ちょっと噛み合っていない感」

 多分それは『ちょっと』ではなく『噛み合っていない』じゃないだろうか。

 そう思ってしまう自分がいた。

「まぁ、それは置いといてどうする?授業始まるよ」

「では昼休み。もう一度聞きに来ます!」

「眩しい……」

 元気な声を出しながら返事をしてくるシリルに対してその明るい笑顔をがあだになったのか命都は目を細める。

 キーンコーンカーンコーン、

 すると丁度、チャイムがなり生徒たちが散り散りになる。

 シリルはそのままじゃあね、といって自分の席に戻っていく。それに続くように優華も自分の席に戻っていき命都一人残される。

「準備しよ」

 そう言って命都も自分の席に座った。

「じゃあ授業始めるぞー」

 そして授業の始まりの合図が入った。


 午前の授業を終え、昼休みを迎える。

 教室の中のとある一つのグループはほかのところよりも賑やかでほかのグループの皆も羨ましそうに見てきている。

「ということでよろしくお願いします」

 シリルの元気な挨拶は命都たちのグループによく聞こえシリルは命都たちの前で頭を下げる。

「……あの」

「はい! 何でしょうか」

「なんでお前等もいるんだ? 川上、千鶴さん」

 そこにはどう見てもおかしいともいえる人たちがいた。

「私はこいつに連れて来られた」

 詩音の指の先には千鶴さんの方向にあり、詩音の顔も何かと疲れていそうだった。

「あぁ、分かった。じゃあ千鶴さん。あんたどこから来た? 学年違うだろ」

「?」

 分かりませんって顔してんじゃねぇよ。

 そんな「はて?」みたいな顔で首を傾げても何も変わらなんよ。

「いやー、風の噂かな?」

「ものすごい強い風のうわさだな。今回の留学生は緊急だったはずだから知っている生徒は少ないはずなんだが?」

「……」

 黙り込むんじゃない。

 千鶴さんは明後日の方向に向いて黙り込むが、自分の目はごまかせませんよ。

「まぁ、いいじゃないですか。来てくれたのはうれしいですよ」

「シリルちゃん………」

「はぁ、そうやって甘やかすから、全く…………」

「命都、中年臭い」

「言わんでくれ」

 気にしているんだから。はぁ、まったく、こうなるんなら、誘いを断るべきだった。

 なぜこのようなことになったのかと言うと、数時間前の事だった。


「ねぇねぇ! 命都君!」

「うん?」

 2時限目が終わり、休み時間に入ると次の授業のために、準備に取り掛かろうと席を立った所にシリルが近づいてきて声をかけてきた。

 その手には次の授業の準備のノート、教科書、筆記用具という完璧な状態で持っていた。

「今日の昼休み、集まって食事しない?」

「うん? いいけど」

「やった!優華さんもどうかな?」

「え?」

 急に話しかけられた優華は授業の準備にしている途中で手が止まり戸惑っていた。

 こういうのにはすぐに対応できた方がいいぞ。自分もできないけど・・・

「どうする?」

「……わかった」

 優華はそのまま承認するとシリルはさっきよりも明るい顔で勢いよく命都の手を握る。

 あ、ちょっと力強い。

(ピクっ)

「?」

 なんだろう、優華の奴、少しだけ固まったように見えたが気にしない方が良いだろう。

 あと、もうそろそろ放してください。恥ずかしいです。シリルさん。

「あのー」

「はい!何でしょうか!」

「もうそろそろ放してくれませんか。手」

「あ、………す、すみません!」

 そのまま顔を赤くして命都の手を放す。

 おい、何だその目は、やめろ。そんな目でこっち見るんじゃない。

 手を放してもらったが優華の目は変なままだ。

「今日の昼休みね」

「うん」

「じゃあ」


 ………というわけだ。だけどどうしてこうなった?

 何で増えるん? 何? 細胞分裂かなんかですか?

「まぁ、いいじゃんかよぉ」

「離れてください」

「チェー」

 酒に酔った中年男性の様に、引っ付いてる千鶴を引きはがす。

 酒臭くないのだがオイル臭い。

「……千鶴さん。またメンテナンスルームにいたんですか」

「うん。整備(メンテナンス)していたね」

「あのですね? きちんと作業終わったんならシャワー浴びてくださいっていいますたよね」

「えー、やだー」

「えー、やだーじゃないですよ!?」

 もう何言っても駄目なような気がする。今日からお薬の量が増えるかもしれない。まぁ、飲まないが、せいぜい〇ファリンぐらいだろうか。

「半分は、優しさでできているからね」

「ねぇ、僕の心を読むのみんなの中では普通なの!?」

 やはり怖すぎる。この人たち、やはりニ〇ータイプかなんかじゃないの?もしそうならあなたたちは本来此処にはいてはいけないと思います。

「まぁまぁ」

「はぁ」

 シリルが命都をなだめようとする。

 うん。落ち着いた。

「自己紹介はいるかい? シリル」

「うん。できればね」

「だったら自分から行かせてもらう。俺の名前は葛葉 命都だ。よろしく頼む。シリル」

「次は私。篠原 優華。よろしく」

「次は私かな?私は暮内 千鶴。みんなから『千鶴さん』っていわれるよ」

「私か?私は二年C組 川上 詩音だ。よろしく頼むぜ」

「はい! よろしくお願いします!」

「うわっ、眩し」

 あ? やっぱ? 眩しいよね。天使の顔って。主に背後に映る謎の光が、

「ねぇねぇ、うちの工房に来ない」

「えっ? えっ?」

 そこ、勧誘しない。全くこの人は知らないうちにメンテンナンスルームの人を増やす。

 指示出しや真剣な時はいい人なんだけどなぁ。

「えぇ~? なんて言ったの~?」

「茶化すな!」

「まぁまぁ」

「昨日の今日でこれなのか、何だか大変だな。あいつも」

 そう思うなら助けてくれ。えっ? 嫌? そこを何とか。

 う~ん、そういわれると本当に今週はやっていられないな。なんと疲れる。

 その心情が顔に出ていたのか、シリルはすぐに会話の方向を変える。

「そしたら、命都。来週末どこかに行かない?」

「あぁん? 買い物か?」

「うん」

 シリルは少しだけ頬を染めながら返事をする。風邪か?

「じゃあ、わかった。なら、どこ「ま、待て!」もう!どうした!」

 優華は珍しく慌てながら命都の話を遮断する。

「わ、わたしも行くぞ」

……あぁ、分かったぞ。買いたいものがあったんだな。何なら早く言ってくれればよかったのに荷物ぐらいは持ったろうに。

「文房具とか買いに行くのか?それか、パーツか? パーツはネットの方が良いぞ。持ち運びとかな……あとは、専門店の方が良い」

「………まぁ、そうだ」

 まぁ、そんなにテンション下げるんじゃない。難しいよな、パーツ選び。ブースターとか、駆動モーターとか、色々あるからな。一般的にも百は超えるからな。

「千鶴さんは?」

「うん? 私? 私はその日、交渉あるから。あと事務」

「千鶴さん、事務作業するんですね」

「うん? するよ? 生徒会所属してるし」

「え?」

 まぁ、普通そうなるわな。こんな適当な人が事務作業あるんだぜ。それも、字もものすごく綺麗でな。前に、報告書を見せてもらったときは一文字一文字が芸術品かと思ったよ。

 命都と優華は平気としているが、それ以外、特にシリルは一番困惑していた。

「だから無理かなー」

「わ、わかりました」

 シリルは困惑しながらも次に詩音に声をかける。

「詩音さんはどうかな?」

「あぁ? いかね‥‥いや、行く」

「ふーん、なんで?」

「いや、欲しいものがあるから」

「具体的には?」

「あぁ、それはな、っていうか!」

 良いノリツッコミだ。にしても出来が悪いな。もっと良いノリツッコミができるはずだ。

 とそんなことは置いといて「置いとくな」シリルの話を進める。

「じゃあ、今週末は私と命都、優華、詩音が行くんだね」

「「「はーい(ウィース)」」」

「では解散」

「えー」

 おい、いいところで終わらせようぜ、時間無いから。

 時計をみるとそこには1:25を指しており、クラスの皆はご飯を食べ終わっていたり、午後の授業の準備を始めていたり、他クラスの人は自分のクラスに戻ったりしていた。

「さぁ、戻った戻った」

 手をパンパンとはたきながら千鶴さんや詩音は教室から出ていき、自分のクラスに戻っていった。

 詩音はきちんと挨拶をすると教室から出ていった。まじめやな。

「じゃあ、俺らも準備するか」

「「はい(うん)」」

「じゃあ放課後」

 命都がそういうと二人は命都の机から去っていき、あわただしい昼休みの終わりを告げるチャイムが鳴り響いた。


 今日一日の授業が終わり、放課後に入る。

 放課後、前の戦いの始末として命都は自分の機体の修繕を行う為にメンテナンスルームに入る。

 メンテナンスルームは、いつも通り、多くの整備スタッフの生徒たちがあわただしく作業をしていた。

「ここがメンテナンスルームなのですか」

「そう、千鶴さんのだけど」

「そ、そうですか」

 +2ですが‥‥。

 いつも通りの優華といつの間にか仲が良くなったシリルは一緒に優華の案内を受けていた。

「こんなに大きのですね」

「日本国内では最大級の工房(メンテナンスルーム)を持っているから」

「一つ気になるのですが」

「うん?」

「ここは『千鶴さんの』と、言いましたがなぜなのですか?」

「んー?それはね千鶴さんはここの最高責任者だからさ」

「「「!?」」」

 いつの間にかいたここのメンテナンスルームの主任、千鶴が二人の背後にいてその手を肩に乗せる。

「まったくいつから居たんですか」

「? 君らが来る前からずっといたよ」

 いたのかよ。一体どこにだよ。……まぁ、こんなにぐちゃぐちゃな場所だ。自分たちが気付かない所にいてもおかしくない。

「で? どうしたんですか?」

「んー? ちょっと頼みごとがあってね」

「何ですか?」

「ちょっと勝負してきてよ」

「は?」

 は?

 心が思ったことが口に出て命都の思考は止まる。

「いやさ、今日の昼休み、みんなで集まったよね」

「はい」

「そのあとさ、喧嘩を吹っ掛けられてね。面白そうだから受けちゃった」

「あんたさぁ!」

 全くこの人は、昨日の今日でやっと大丈夫かなと思ってた矢先にこれだよ!

 こんな感じでいつもこの人は関係なしでけんかを吹っ掛けられると軽いノリで受ける。本当にやめてほしい。

「まったく、君は女性の扱いを知らないのかい?」

「あんたは俺の使い方を知らないのか?」

「知らない。説明書無いから」

「はぁ!?」

「まぁまぁ、落ち着きましょうよ、命都さん。千鶴さん」

 命都はメンテンナンスの生徒たちになだめられながら千鶴の胸倉から手を放す。

「で? 結局、だれですか? 相手は」

「3年の専用機持ちのシャイナ・カティッサ。フロル・カティッサのカティッサ姉妹だよ?」

「何で、その面子だよ!」

 離れたと思った命都の手は、また再び千鶴の胸倉をつかむ。それを見ていた生徒たちはまた再び落ち着かせようとする。

 そんなことを見ている2人組はそんなことを知らず会話をしていた。

「カティッサ姉妹とは?」

「カティッサ姉妹は……この学校の留学生。元々、名のある賞金稼ぎ、って聞いたことある」

「賞金稼ぎ?」

「あれ? 特別留学生だから知っていると思っていたんだけど。まぁ、いいや。ほとんどはその手の仕事で有名になると国の代表として特別にされることもあるから」

「そうなんですか」

「まぁ、そのために世界大会や国の大きな大会にTOP10に入ることは絶対だけど・・・あ、終わった」

 シリルは優華の説明を聞いていると命都の方も解決しており千鶴の胸倉から手を放し頭を抱えていた。

 話を聞いたら驚いた。

 開いても今日の事を聞いたら戦いたくなったといい、このようなことになった。何だ? 三年の所は、戦闘狂が多いのだろうか。

「けれど時分、機体は昨日の戦いの修理があって間に合ってませんよ」

「うん? ……ちょっと待って」

 ? 雰囲気が変わった?

 千鶴は命都を待たせると奥の部屋に入っていく。

「‥‥何だろ」

「雰囲気が変わったね。あの人」

「あの状態でいつもいてほしい」

 シリルの案内が終わった優華は何事もなく命の背後から現れる。

「何だ。驚かないのか」

「お前な、いつもそんなことされたら、そりゃ慣れてくるよ」

「一体、誰がそんなひどいことを」

「お前らだよ」

 おい、目をそらんじゃない。後ろにいる奴らも、

「おーい、お待たせ。なんでみんな、目をそらしているの?」

「あぁ、千鶴さん、やっときましたか。って何もっとるんですか」

「うん? あぁ、これね。君専用に考案した試験用ASなんだけどね。運用が難しくてね。いつかは実戦したかったからやってみない?」

 千鶴さんは不敵な笑みで問う。それは悪魔の誘いでもあるかのように待機状態のASを渡してくる。

 あぁ、良い。刺激してくる。高揚感で満足される。そうだよ。そう来なくちゃ。

 悪魔の選択を難しく考えずそして、片方を選ぶ。

「あぁ、やってやんよ」

 悪魔のかけに乗った命都は千鶴の手からASをとるとASをずっと見る。

「あ? もしかしてあれ入れてんのか?」

「おう、そうよ」

一号機(プロト・ファースト)と言えるね」

「「「「?」」」」

 勝手に進まれる話。それについていけない皆は、何の話をしているのかと近くの人と喋っていた。

「あ~、はいはい。散った散った」

 千鶴がそういわれると、生徒たちはゆっくりと去っていきシリルと優華、命都がそこに残された。

「さて、これできちんと話せる」

「「「?」」」

「今回の相手はペアだ。ということは私たちもふたり組のペアを組まないといけない」

スイッチが入ったのか千鶴は雰囲気や口調がに変わり淡々と命都達に伝えていく。

「だから、今回のメンバーは命都、そして優華だ」

「了解」

「はい」

「じゃあ、そういうことだ。頼んだよ。シリル君は見るなら観客席にいるといい」

 大体の説明が終わると、千鶴は、そのまま去っていき今回の勝負の準備に取り掛かった。

「じゃあ、こっちも終わらせましょうかね」

「?」

「なんですか?」

「これの調整」

 命都はさっき渡されたASを優華とシリルに見せた。

 シリルと優華は「あ!」とわかったかのように返事をすると命都はASの調整や整備の作業にとりかかった。

 命都が去っていきその場には優華とシリルが残された。

「どうしましょう」

「そうだね」

 荷たちはそう言うと周りの音は、さっきまでとは違くしんとした静かさがなくなっておりがやがやと賑やかであった。

「まぁ、ここに「すみませーん」ん、すまない。行ってくる」

すると会話の途中に整備担当の生徒に呼び止められ優華は去ってしまう。

「……どうしよう」

 優華が去ってしまってメンテナンスルームに一人ぼっちに残された特別留学生、シリルは途方に暮れていた。

「どうしたんだい?」

「わ! あ、千鶴さん!」

 シリルは近くにあった小さなコンテナに座ると、いつの間にか隣に座っていた千鶴に少しだけ驚く。

「もしかして暇かい?」

「……恥ずかしながら」

 シリルが思っていることを言われ、ちょっと照れながら千鶴の質問に答える。

「そうかい、なら資料見る?ここの皆の奴よ、今日の対戦相手の情報があるけど」

「いいんですか?」

「特別留学生は視察も公務の一つなんだろう? なら見せるしかないじゃないじゃないか」

 千鶴はそう言いながらシリルの手元には多くの資料の束が置いてあり、シリルはそれを手に持つと大きな笑顔で感謝の言葉を紡いだ。

「わ、すごい! 千鶴さん! ありがとうございます!」

「……天使かな?」

「はい?」

 千鶴は静かにそう呟くとシリルは不思議そうな顔で見てくる。

「いいや、こっちのは話」

「はぁ」

 シリルは千鶴が何を言っていたのかという疑問を抱きながらそのまま資料に目を向けぱらぱらと流し読みをする。

「あ、これは……」

すると、シリルの手が止まり資料のぺージをずっと見る。

「シャイナ・カティッサ。フロル・カティッサ………」

これまでの経歴が渡された資料に詳しく書いてあった。

「これほど詳細に書かれていたとは………」

 プシュ、

「失礼します」

 短い開閉音がするとそこには詩音がいた。

「あぁ? なんでこんなことになってんだ? てっ、お前は………」

「あ、詩音さん」

「昼の時の確かシリルといったか?」

 見た目は不良だが、記憶力や成績は良い詩音はシリルの顔を見た瞬間、すぐに名前を思い出した。だがそれは確かなものではなく少々の疑問を込めながらシリルに答えを言います。

「はい」

「ならシリル、何だこの状況は?」

シリルはその質問に答えると詩音は再び質問を投げつける。

「……って、ことなんです」

「どういうわけなんだよ」

 ですがどんなに頭が良くても、今の現状の事はわかりません。

「さっきも言われた通り、ついさっきカティッサ姉妹という姉妹に演習を申し込まれています」

「いや、マジでどういうことなんだよ」

「その答えも一緒です。演習です」

「いや、なんでそこにカティッサ姉妹がでるのがおかしい。それに昨日、俺とやりあったばかりじゃねえか」

「それは千鶴さんに言ってください」

「あの人か―」

 詩音は、千鶴の名前を聞いた瞬間、眉に皺をよせ空を見ます。見えるのは空ではなくただただ冷たい天井ですが

 すると何か分かったような顔をすると詩音は再びシリルに問いかける。

「で? 誰が出るんだ?」

「命都さんと優華さんの二人が出るけど」

「はぁ!? 命都ぉ!? あいつ、昨日の奴で修理中じゃねぇのかよ!?」

 昨日の戦いで大破寸前に追い詰めた詩音ですから、また再びそれも昨日の今日で出撃すると思わないでしょう。

「千鶴さんが新しい機体を渡していましたが?」

「あの人、もしかしてラスボスか裏キャラのなんかか?」

 そう思ってしまうのもしょうがないのであきらめよう。

 ほとんどの人がそう思っているから。たぶん裏で何かの怪しい商売や裏の社会を牛耳っている可能性もあります。

「呼んだ?」

「「!!」」

 するとひょこ、とかわいい効果音がつきそうな出方をした千鶴が背後から現れたが、実際、何一つとしてかわいくない。日常会話をしているとはいえ、どちらもASの生徒。勘がいい。そしてその片方は特別視察留学生。通常のAS使いの中でも学生とはいえ、世界で名をとどろかせるプロのAS使いに匹敵する。

 それに気づかれずには以後が接近、あと一つも音を立てずに背後をとるとはもはや人間じゃない何かだ。

「ち、千鶴さん。いたんですか」

「い、いたのか」

 二人の声には少々の焦りがこもりながらも会話を戻す。

「うん、さっき来たところだよ? あ、詩音ちゃん。おはよ」

 そんな状況でも平然としていられる彼女は本当に素晴らしいと思う。

「もうこんにちはの時間ですよ。あと、さっき会ったじゃないですか」

「うん? そうだっけ? にしても何の話をしているの?」

 あの騒がしい昼休みが終わった後にも保健室前の廊下で会ったことを指摘する詩音だが、千鶴はしらないふりをして話を続ける。

 歳かな?

「まだまだピチピチだぞっ!」

 わぁ、ウザい。

 何ででしょうか。このセリフを聞くたび謎のウザさを感じるとセリフランキングTOP10に入っていそうな言葉である。やはり心の問題ですかね。

「千鶴さんについてですよ」

「そうだったのかい。まぁ、気にしないでくれよん」

「はぁ……まったくあの人がいると疲れるな」

「そうですね」

 千鶴が去ると二人は再び手元にあった資料を見始めた。


「さぁ、準備はできたかい?」

「「はい」」

 準備が終えた命都と優華は自分のパイロットスーツの着心地の確認をしながらアリーナのカタパルトデッキの近くにいた。

「じゃあ、気ままに楽しんできなさいな」

「「!!」」

 千鶴は二人の姿を見た瞬間、安心したかのように背中を押す。

 その中、背後に回る時間は約1秒近く、すごく早いです。

「まったく、あなたっていう人は……では、行ってきます」

「私もです」

「行ってらっしゃい」

 千鶴がそういうと二人はすぐにカタパルトデッキの上に立つ。

「「インストール」」

 そういうと命都は手に持っていた紋章が優華は腕につけていたスポーツブレスレッドが光りだし、体の周りに細かい粒子となった。その粒子は二人の体にくっつき始めその上から徐々に機械の部品がつながるように形を成していった。

「よし、順調だね。『ハントレス』の様子は」

「はい、予定していたより粒子拡散率と機体同調率が高いです」

「そうか、エネルギーのほうは?」

「85%安定値、入っています」

「よし、それなら回線をつなげてくれないか」

「了解」

 カタパルトデッキの奥には管制室がありそこには千鶴ともう一人の女性生徒がいた。

 千鶴は手にヘッドマイクを持つと耳にかけ回線がつながっている相手に話しかける。

「あ~、てすてす、聞こえる?」

「聞こえます」

「おし、命都君はOKと、優華ちゃんは?」

「I can hear it.」

「よし、聞こえているね。‥‥よし、まず命都君。君の機体『ハントレス』は試験用ということを考えてね」

「了解、にしても『ハントレス』ですか」

 ハントレス…『女狩人』の英名で、名前のように狩りのように敵を狩るという意味でつけられたようだ。

「似合わないな」

「まず、男性だしね」

「そっすね」

「そういうことだから優華ちゃん、命都君のフォローよろしく」

「了解」

「では、二人とも再び言わせてもらおう!楽しんで「ブー!!」」

「葛葉 命都。『ハントレス』行きます」

「次、『ワルプルギス』出るよ」

 二人はそのままカタパルトが鋭い電流と小さい火花を放ちながら勢いよくカタパルトデッキが出ていく。

 カタパルトデッキの先には青い空と二つの機体が見えた。

「ねぇ、さっきのブザーのタイミング悪くない? ねぇ」

 ですが通常、かっこいい出撃シーンをぶち壊していく人はいますが皆はそっちの気でアリーナが映っていた画面を見ていた。

「あれがカティッサ姉妹の機体、『シュヴェーアト=トイフェル』と『シュヴェーアト=シュヴェーアト』が生で見ると迫力あるな」

「そうかしら?」

「うん?」

 するとどこからか外部通信が入ったがこれはたぶんカティッサ姉妹のどちらかのものだろう。

「えーと、すみません。どちら様でしょうか?」

「えーっと、初めてかな?君と話すのは私は妹のカティッサ姉妹の妹のほうフロル・カティッサだよ? 姉のほうだと思っちゃたかな? かなかな?」

 その話し方は千鶴さんに似ていて一瞬に千鶴さんと同類の匂いがすると感じ取った。

「そして隣にいるのがシャイナ・カティッサ。『シュヴェーアト=トイフェル』の操縦者だよ。今のお姉ちゃんはね……」

「早くしろ。フロル、私は早くそこにいる男と戦ってみたい。だからその女を頼むぞ」

「えー、良いじゃん別に。……まぁ、こういうことだから、早く始めましょうか?」

 え~、敵意むき出しの人と戦えと? それはちょっとだけ戦える方法を得た羊が歴戦の狼に挑むもんですよ?

 ほらー、目がギラギラしていらっしゃる。自分、ちょっとそういうの嫌いじゃないけど気分が乗っていなときにそれは勘弁してほしいかな。

「どうする? 命都、殺る?」

「じゃあ、いつも通りで」

「了解」

 すると優華の『ワルプルギス』は急に加速し、フロルの『シュヴェーアト=シュヴェーアト』に突っ込んだ。

「ふーん、そうね。なら!」

 そんな突進を軽く見切るかのように真正面から掴む。

「やっぱこうでなきゃ」

その目はまるで今までのつまらない娯楽や日常を踏みつぶそうかのような目をしておりこの戦いにこの中でだれよりも渇望していたように見えた。

「あっちも始めたようだが、どうだ?私たちも始めるか」

「そうでした。一応これダブルスでしたっけ、なら観戦したいんですが……あなたの目にはそんなこと関係ないようで」

「あぁ、分かっているじゃないか。なら始めようじゃないか!」

「あぁ~、もう面倒だな。支援しながらとか……もう! ちょっとは試験に付き合ってくださいよ!」

 シャイナの『シュヴェーアト=トイフェル』が加速して命都の『ハントレス』に近づいた。それと同時に両手に持つアサルトライフルを構えた。


 ガキンッ!ガキンッ!

 両者の鋭い剣がぶつかりあい、それは最早一つのダンスであった。

 優華の『ワルプルギス』は大量の短い短剣が肩や腰、それに腕などのあらゆるところについていて それを引き抜きながら忍者のように戦っているのに対して、フロルの『シュヴェーアト=シュヴェーアト』は無数の剣がワルプルギスに牙を向剝く。

「ねぇ、さっきから防戦だよ!これが噂の『ヴァルプルギスの騎士』なの?」

「……うるさい」

「え~? なんだって?」

 激しい戦闘をしながらも、普通に会話している二人は尋常ではないほどの速さで両者の剣劇をさばいていく、それに苦渋を飲まされたような顔をしながらも敵に隙入る場所を探す。

「もっと! ほら、もっと!」

 そういいながら次々と剣を出してくる。

 もう、そんなに剣を出しすぎると困るのは自分というのに……、

「本気出さないと、ミンチにしちゃうよ」

 あぁ~、本当に戦いにくい相手だ。それも自分自身と戦闘スタイルが似ているとなると本当に難しい。

 一度距離をとって、また隙入る場所を探そう。

「へー、距離置いて、また挑むのかい? なら!」

 そうやって距離を置く、するとシュヴェーアト=シュヴェーアトの肩にあった剣の柄がこちらに向いてくる。

 まさか……。

 自分の嫌な予想が脳裏に現れる。

「思っている通りだよ♪」

 ビュン、ドカン!

 その嫌な予想が当たってしまった

 まさか、剣の柄かビームの弾が放たれるとは思わなかった。一瞬の出来事で、そのビームは頬の横 を通り過ぎていき後ろにあるアリーナの壁に当たる。

 その威力は目に見てわかるように頑丈なアリーナの壁がちょっとだけ焦げている。

「……やば」

 すると本能が告げる。あんなものなんかに当たったら碌な目に合わない。

「その顔はやっと危機感を覚えたのかい?まさか!そんなことはないよね。同業者なんだったんだからさ、『ヴァルプルギスの騎士』さん♪」

 するとワルプルギスの出力を上げる。シュヴェーアト=シュヴェーアトのあの肩のキャノンに当たらないようにするためにはこうするしかない。自身の経験が言っているからしょうがないと思う。

「まぁ、そうするよね!」

「ぐっ」

 フロルはそれを予測していたかのように手に持っていた剣を振る。さすがに予測していたとはいえ防ぐと少々、体に来るものがある。

 パキンッ!

「あっ」

 すると、手に持っていた短剣が折れ刀身が粉々に砕けた。

「まぁ……いいかな……」

 それを、どうでもいいかと思いながら短剣を地面に落とすと腰の所についていた短剣を手にとる。

「さぁ……本気で行こうか……」

「う~ん、なんか怒らせたっぽい?」

「うん……『ヴァルプルギスの騎士』をね……」

 言い終わると静かに深呼吸をして、再び敵を見る。

 無数の剣、柄にはビームキャノン、腕の形上、この機体は未完成と見た。

 なら、やることは一つ。

「ただ殺す」

「!!」

 フロルの急に身構える。あぁ、そんなに警戒しなくてもいいのに、一瞬で殺るから‥‥。

 そして、ワルプルギスの一歩前に歩みだす。それと同時にフロルの『シュヴェーアト=シュヴェーアト』は切り付けてきた。

最近、リアルで悲しいことがあったんです。

それがですねとてもじゃないのですがとてつもなく私は怒っているんです。(とある事情で何かとは言えません。不快になる方がいるかもしれないので)

けど、そんな悲しみを嘆く暇があるのならきちんと自分がやることがあると、気づかされました。

ですから、きちんと貢献できるようにいい作品を残してそれで給料が入るような仕事に就きたいです。

そして、自分の作品が大変なことになったら貢献できるような人でありたいです。


なぜ、このような場所で書いたかと言いますと忘れないためです。

忘れっぽいので、私。経験したものではなく見たものを忘れないために………。

読んでくれた方、ありがとうございます。そして、応援してくださるとうれしいです。

………ここで言うのもすみません。ご冥福をお祈りいたします。

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