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エア・クラフト・スチール  作者: 山鳥のハラミ
蒼と鷹の目と狙撃銃
15/22

ep02 Question・Self-introduction・Transfer student〈転校生と自己紹介と尋問的質問〉

なんやかんやで、学校は企業の依頼を受けていた。

企業の他にもあるらしいけど…………。

そんな中、このAS育成学校に一人の転校生がやってくる。

今度こそ、生粋の転校生!変な時期だけども転校生!

だがこれのせいで徐々に変わり始める。


 地獄のような休日を過ごすと、月曜日がやってきて学校に来い、というような日の光を照り輝く。

「おはよー」

「おはようございます」

「おはようさん」

「おはよ……」(真っ白の命都)

 綺麗な白い制服を着ていた彼女(優華)達の中に白く燃え尽きていた命都の姿があった。

「うおっ、いつもよりやばくないか……?」

「白っ」

「大丈夫ですか!?きちんと朝食べましたか!?」

 さすがに命都の姿を見て、優華達は驚いたような顔で見てくる。

「た、絶えたよ」

「『絶えたよ』っ!?えっ、食べたよ、ですよね!?」

「あちゃー、こりゃあ、大丈夫か?」

「大丈夫じゃない」

「冷静で見てないで助けてあげてください!?」

「えー、だって」

「「無理だし」」

「仲良しですか!?」

 優華達が、そんなコントをしている間でも命都の姿は徐々に白さが増していき項垂れていく。倒れそうになった命都の身体をシリルは支える。

「えっ、これどうするんですか!?これっ!?」

「そんな時は千鶴お姉さーん!!」

 すると優華達の後ろから聞きなれたウザい声が聞こえ、振り向くとそこにはメンテナンスルームの管理者、暮内 千鶴がいた。

「もう、誰だー。ウザいっていった悪い子は~」

「うわ、うざっ」

「ウザいな」

「え、えっと、気持ち悪いです」

「おっと、最後の言葉が一番傷ついたぞぉ!?」

「んなこといいから、用があったから来たんだろ。あんた」

「まぁね。にしてもシリルちゃん達、仲良くなったね」

「さっさとしろ、年齢詐欺」

「ねぇ、一応君たちの先輩たちなんだよ?優華ちゃん?」

 人生の、が入っていないが。

「えっと、本当に何しに来たんですか?」

「おっと、そうだったね。命都君が大変なんだろう」

「そ、そうです。助けてください!」

「ふふっ、なら私の命令に従うことだな」

「さっさとしろよ。年増」

 鋭い詩音の一撃が千鶴に入る。

「ねぇ、本当に君達、先輩として私のこと敬っている?私、一応、生徒会書記だよ?」

「もう、そういうの良いから早くしてください!」

「そういうの!?ま、まぁ、良いかな。なんだか一番、失礼なのはシリルちゃんだと思うけど良いかな?良いよね?うん、なら命都君を助ける方法を与えよう!」

 そう言って千鶴はポケットの中に手を入れるととあるものを取り出す。

「てってれ~、ドーピング療法!」

 千鶴がそう言いながら取り出したのは栄養ドリンクだった。

「「「えっ」」」

「なに、驚いているの?普通でしょ?」

「えっ、いやいや、栄養ドリンクで命都さんが復活するんですか」

「大丈夫大丈夫、安心安全鷲のマークの所の栄養ドリンクだから」

 確かに千鶴が持っている栄養ドリンクにはリ〇ピダンD、と書かれていた。

「えー、本当に大丈夫なのか」

「心配なら目にも見よ!これが栄養ドリンクの力だー!」

 そう言って千鶴は命都の口に栄養ドリンクの飲み口を突っ込み、そのまま飲ませる。

 ゴクッゴクッ

「……んっ、あれ?なんでシリルが俺の体を支えているんだ?」

 命都が全部、飲み終えると意識が目覚めいつものようなテンションでシリルに話しかける。

「ほ、本当に目覚めましたー!」

「おい、大丈夫か」

「分かるなら俺らの名前を右から言ってみろ」

「は?シリル、優華、詩音、人でなし、これで全員だよな」

「うん、大丈夫だな」

「あれ、ちょっと待って私の事貶されなかった?」

「大丈夫ですね」

「え、本当に大丈夫なの?そうなの?心配だよ?」

「……あー、はいはい。そうですね。てかさ、シリルはさっさと離してくれない?」

「す、すみませんっ!」

 騒いでいる皆の中心で命都がシリルに静かに言うと、シリルは慌てて離す。

「って、もうちょっと優しい感じで話してくれないかな……?」

「お、立てるまで元気になったのか」

「何?ダメだった?」

「いーや、大丈夫だぜ」

 命都は詩音のその無駄に余裕な姿を見て、小さく口が動く。

「‥‥‥‥フリル」

「うっせー!」

「「「!?」」」

「くっ、先に行っている!」

 急に大きな声で叫んだせいか、周りにいた生徒たちも驚いてシオンのほうに向く。

「……へっ」

 命都は急いで先に行った詩音を見ると鼻で笑ったが、千鶴がとあることに気付く。

「先に行っているって……詩音ちゃん、命都君達と別のクラスだよね」

「まぁ、良いんじゃないですか。てか、千鶴さんも行かなきゃ駄目でしょ」

「まぁね、じゃ!」

「なんだったんだ。あれ」

「まぁ、良いんじゃないかな」

「………行きますか」

 千鶴がそう元気の良い短い返事をすると、残った命都達はそのまま自分達のクラスの教室へと向かった。


「今日は、転校生を紹介する」

「……」

 まぁ、分かっていた。こうなることは。

 自分たちが教室に入り、朝のHR(ホームルーム)が始まろうとした瞬間、なんだかいつもとクラスの雰囲気が違かったから察したよ。

 そして薫子先生が入って教卓に出席簿を置くと、第一声が「おはよう」とかはない。

『今日は、転校生を紹介する』、だ。

挨拶より先にだ。

もう、色々と突っ込みたいところがあるが黙っていよう。面倒なことになる。

「どうした、葛葉。何か言いたそうだな」

「なんで俺だけ!?」

 名指しで指されてしまい、椅子から勢いよく立ち上がってしまう。

「顔に出ていた」

「俺だけじゃないでしょ!」

 ほら見ろよ!他の人も顔に出ているだろ!

 おい、みんな目を背けるな!

「ま、落ち着け命都。転入生が入れなくなる」

「……はぁ、わかりました」

 薫子先生にそうなだめられるかのように言われると、静かに自分の席に座る。

「じゃあ、静かになったな。ということで入っていいぞ」

「は、はい!」

教室の扉から聞こえる声はどうやら緊張しており、声が裏返っていた。

 そして、そのまま入ってくる転入生は教卓の横に立つと、白板に名前が映し出されその前で転入生は自己紹介をし始めた。

「えっと、ぼ、ごほんっ、わ、私、私立東野高等学校から来ました。(あい)(ぞめ) (かぐ)()といいます。よろしくお願いしまう!」

 転入生、藍染 月姫と呼ばれる彼女は、地味な丸っこい眼鏡を掛けていてサイズに会っていなさそうな程のパツパツの制服、そして一番目を引くのが胸、その大きな胸部だ。

 クラスの男子生徒たちはその胸に釘付けになり、女子生徒たちは何人かは親が彼女に殺されたかのように睨みつけている。えっ、優華とシリル?優華は自分の胸を見比べて、なんだか安堵の息を吐いていたけどシリルはまず見ていないからね。

「……東野?」

 ざわついているクラスの中に優華は何かに気付いたような声を上げる。

「おーい、静かにしろーお前ら。……よし、静かになったな。じゃあ、藍染。草加の隣に座れ」

「は、はいっ!」

 薫子先生に言われると藍染は、裏返った声で返事をし、指された席に向かって歩き、席に着くと隣にいる夏目に軽い挨拶をして座る。

「よし、座ったな。なら、授業を始めるぞ。藍染の質問は休み時間や放課後にするように、だが本人に迷惑をかけるなよ」

「「「はーい」」」

「返事は短くていい」

「「「はい」」」

「よし、授業を始める。今回の内容は『ASの特殊兵装と利用されている粒子学について』だ。まずここは、前回の続きの……」

 薫子先生がそう説明をし始め、白板に次々と映像と画像が映って来ていた。

 藍染もそれを熱心に聞いていたようで、机の上に置いてあるキャンパスノートに次々と文字が書かれていく。

「……ということになる。ふむ、時間だな。よし、お前らに主題を出す今回の『ASの特殊兵装と利用されている粒子学について』に出てくる核エンジンの粒子回転速度とASの第一世代型微分子エンジンの粒子回転速度の差と問題点のまとめについての報告書(レポート)を提出するように分かったな」

「「「「はい!」」」」

「よし、ならば解散。挨拶はいらん」

 薫子先生はそう言いながら教卓に置かれている教材をまとめ出ていくと、クラスはざわつき始める。

「ねぇねぇ、藍染さんって私立から来たんでしょ!そっちの学校はどんな感じなの!?」

 すると一瞬で、藍染の周りに集まり、藍染に質問タイムに突入する。

 まったく、周りのことも気にしなさいよ。はら、隣にいる夏目も迷惑、あっ、その質問メンバーに入ってたわ。本当に好きよね、そう言うの。

「え、ええっと、ぼ、わ、私、ま、前、いた学校は、商業系、でしたから……け、けど、普通の一般校と、変わらない、で、です!」

「へぇ~、商業系なんだぁ~。どんな事勉強すんのぉ~?」

「えっと、経済のこと、とかぁ、流通、とかぁ、あとは普通の学校で習っていることと同じです!」

「へー、そうなんだー。それにしても緊張しているねー」

「まったく、皆さまがそう藍染さんを見ているからですよ」

 そう言いながら藍染を囲っている集団を掻き分けながら藍染の目の前に立つ夏目。その集団の中にいたのは君だけどね。

「あ、そうだったらごめん。藍染さん」

「だ、大丈夫です!」

「それにしても東野高校なんですってね。藍染さん」

「!!」

「…………」

 やっぱり、そこ突いたか。

「そう言えば、夏目さん。東野、とはどこでしょうか?聞いたことない名前の学校ですが……」

「私立東野高等学校というものはね、清水さん。大手経営者の跡取りとが入る、割と名の知れた学校なんですよ」

「えっ、そうなんですか!」

 えっ、そうなんですか!

 え、えー、初めて聞いた。えー、そうなんだー。

「それなら、なんでこの学校に来たのー!?」

 まぁ、この会話の流れ的にそりゃあ、気になる内容だよな。

「そういえばなんでかしら。気になるわね」

「あ、え、えっと、えっと………………」

「……………」

 藍染が言い淀む。

 だが誰も途中で入り込まない。ここはASの学園だ。可笑しく、不思議で、怖い、誰にも言えない理由がたくさんある。例えば親に虐待されたから逃げるようにやってきたとか、親族に命を狙われたから来たとか、いろんな理由がある。

「何しているの?」

「「「「!!」」」」

 すると集団の後ろから、聞いたことある声が響く。

「優華さん……」

「通路の邪魔だから。どいてくれない?」

「ご、ごめんなさいっ!」

「………」

 集団が通路から退くと優華は、そのまま自分の席に戻る。

「えっと、あの人は……」

「え、えっとね、彼女は『篠原 優華』さんって言うんだけどね…さっきの様に少し冷たいんだよね」

 優華に疑問を持つ藍染がいうと、清水はすんなりと答える。

「やっぱり特待生って怖いのかな~?」

「それなら私もですよ?清水さん」

「あっ、………ごめんなさい、夏目さん」

「………はぁ、そうですね。彼女のことをよく知っているのであればあそこでタブレット端末をいじりながら聞き耳をしている命都さんですかね」

 あっ、ばれてた。

「命都さん?」

「はい、ほらあそこに」

「あの人が………」

 そういって夏目は、自分の方に指をさしてくる。それに続くように藍染の視線が刺さる。

 キーンコーンカーンコーン

「あ、もう時間だ」

「次の授業の準備しなきゃ」

「じゃあ、次も時間も質問させてね♪」

「では、と言っても隣の席ですが」

 そう言って質問していた集団は次々と去っていき、タイミングよく次の担当教師が入って来た。

「おーし、授業始めるぞー。席につけー」

「「「はーい」」」

 座っていない生徒たちが席に次々と座ると担当教師は授業を始めた。

久しぶりですねこの投稿方法。

今までは分割でしたからね。

あと、報告です。今後、投稿が遅くなる予定です。理由なのですが、自分が改めて遅筆ということが気付きつつ、モチベーションの低下、かつ続きを書くのが長くなるためです。

本当に申し訳ございません。そうならないためにも、頑張ってみます。

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