ep01-4 vivid next morning〈一騒動の鮮やかな翌朝〉
あらすじ
おふざけが過ぎました。ごめんなさい。(By山鳥のハラミ)
今回は、再び命都の視点に戻ります。……自分の中ではそのような感じです。
追う優華たちととうとう食堂で合流などしますよ。
戦闘?ごめんなさい。まだないです。
命都とシリルは先ほどと同じように話を続けていた。
「………っていうことなのよ。分かった?」
「そうですか……」
先ほどのファーストコンプレックス社の他にも命都はシリルからの質問を一つずつきちんと答えていた。
けれど、命都は疑問に思っていた。
「なぁ、シリル」
「はい?なんでしょうか?」
「なんでそんなに質問するんだ?」
「えっ?」
(………あれっ、これ言葉の選択……間違えた?)
固まったシリルの顔を見て命都は先ほどの質問がおかしかったことに気付く。
「えっ、それは、どういうことでしょうか?」
さすがに言葉の選択を間違えた命都に、シリルは困惑した顔で見てくる。
「‥‥あ~、すまん。言葉の選択を間違えた」
「えっ、そ、そうなんですか!?」
「えっと、言い直そう。君は特別留学生なんでしょ?という事は、俺から聞かなくても本国から色んなこと、習った筈でしょ」
「………」
「どうなの?」
「はい、確かに習いました」
「じゃあ、なんで聞くの?」
「私は確かに本国からASについて習いました。けれど、足らないんですよ」
「足りない?何が?」
シリルのその言葉は、命都の理解ができなくなる。
「はい、足りません。本国にいたときは、ただASの知識を詰め込まれました。けれど、現場に出てみれば全然、教わった事と違うのです」
「ほう、何が?」
「命都さんの言う、ASのパーツやギアの組み合わせやプログラム設定方法によるAS本体の性能の変化や千鶴さんの言う集団による戦闘方法。ここは一杯、実戦的な方法が積まれているんです」
「……そう?」
「はい、私が知るASは学術的な物で本物の銃の構造だけを知らされているだけですけど、命都さん達が知っているASは武器で兵器で機械、本物の銃を触って分解して組み立てて頭より体で理解しているものですから」
「そうかぁ?」
「はい、逆になんで理解できないんですか?」
「いや、理解はできたよ?けれど、理解できないのが一つ」
「何でしょうか?」
「ASが機械ってどういうことだ?」
「えっ?」
命都の言葉にシリルは驚く。
「俺らにとっちゃ、ASは武器であり兵器であり一種のパートナーだ。だからこそASって奴は機械じゃねぇと思うんだよな」
「そうですか?」
「ま、ただの目測だ。気にするな」
「……」
命都はそう言って、手をひらひらさせながら歩いていく背中をシリルは不思議そうな顔で見ていた。
「……おい、早くしやがれ。特別留学生殿。俺は腹減っているんだ。それに報告書も俺のことを待っていやがる」
「は、はい!」
けれど、シリルは思った。
この人は本当に自身の予測を超える不思議な人だな、と。
学生寮の食堂に着いてからは、着いてきていたらしい優華達に絡まれ、何か追及されたが適当に相槌をして朝飯を終わらせると、自室に戻りデスクの前に座り、続きの報告書を書き始める。
「……で、オズ・トレントは運用テストが終わることをここに証明する、っと」
命都が小さなため息を吐きながらデスクトップパネルから目を離すと目頭を掴み、目を休ませる。
「疲れた……もう無理ぽ」
そういいながらデスクに顔をくっつける。
(けどなぁ……)
本当に疲れるのはここからだ、と心の中で泣き叫ぶ。
「あ―、やりたくねー」
それはまるで駄々をこねる子供のようにベッドに飛び込みゴロゴロと転がり続ける。
「逃げよっかな」
そう考えるが、一瞬でその考えをやめる。
「……例え、あの人が許してもぜってぇ、〆られる」
命都がつぶやくと諦めたかのように再びデスクトップパネルの前に立ち、画面を見る。
「……さぁて、次の報告書ちゃんは?」
諦めた命都は死んだ魚のような目でデスクトップパネルからファイルを開き頼まれていた報告書を開いた。
そのファイル名に書かれていたのは……。
『黒鹿』の戦闘データ報告書、と書かれていた。
定期的に出したい。けど出せない。そんな強い気持ちがあります。