追悼と憧れ
この命を、一瞬で燃やし尽くす事が出来るのならば、それはどれだけ良い事なのか。その命を燃やし尽くしてまで何かを残せる事に、憧れ、焼き焦がれ、そのまま使い果たす事に。
命の杯、薄めて薄めて、長く生きる事に、意味はあるのでしょうか。その、薄い命で何が出来るのでしょうか。ただただ、虚ろに続く事の、悲痛、悲鳴、諦観を抱く人間にとっては、とてもまぶしいものでした。
どうか、本を書ききってください。裏表紙を飾ってください。薄いか、厚いか、そんなのは関係が無いのです。焼き尽くしてください、命残らぬくらいに焼き尽くしてください。そうでありたいのです。命なんてものはその程度のものなので、どうか永久に生かさないでください。どうか永久に活かしてください。
この命を燃やしきる事の出来ない事に、どうやって表現したらいいでしょうか。悔いなく燃え尽きる事の出来るモノは、まだ、そこまで出来ていないという事でしょうか。もどかしい、もどかしい。
それでも、信じています。この虚ろな命であっても、一つの為であれば、燃やし尽くす事が出来るという事を。願わくば、それが遺るモノであれば幸い、ですが、そうではありません。燃やし尽くすほどの最後は、きっと満足出来るものになると思うのです。
その、終わりに。喪失を感じ、悲しみを背負うのでは無く。美しさを感じ、憧れを抱きます。