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婚約者令嬢と王太子

作者: 星宮雪那

「王太子殿下、何故家庭教師から逃げるのです?」

「婚約者令嬢よ、別に勉強などせずとも生きていける。そう騎士団長子息に習ったのだ。

だからそこをどくのだ。」

「…アホの子」

「ぬ?」

「我が国の王太子殿下は将来アホの子になったと影でバカにされたいのなら、どうぞどうぞ。」

「それはいやだ!

でも勉強もいやだ!」

「貴族王族は腹黒、タチの悪いものになればなるほど命や地位を狙ってきます。

例えば男性相手なら飛び切りの美女や美少女、女性相手なら飛び切りの美形なイケメン美少年素敵な老紳士とかあたりを用意してチヤホヤしたり誘惑、いわゆるハニートラップ仕掛けていいなりにしたり、とかもありますわね?

商人は金持ちの隙を狙って金銀財宝をもぎ取って行きます。

そういったバカタレに騙されないためにも学ばないと、特にアホの子は狙われるのですわよ?」

婚約者令嬢の話は難しかったのか少し怖くなったのか、王太子殿下は目がぐるぐるしている。

そしてまんまと勉強に向かわされるのだった。


それから10年後、貴族の通う学校に行った王太子殿下は、ハニートラップにも引っかかる事なく。

悪い貴族王族商人にも引っかかる事なく。

優秀な王太子殿下として傍の婚約者令嬢と仲睦まじく卒業するのであった。


その2年後、第二王子が見事にアホの子拗らせて、ハニートラップな男爵令嬢に引っかかり。

婚約者令嬢を冤罪で婚約破棄宣言とかやらかして、逆に王位継承権喪失して庶民となった。

男爵令嬢は他国のスパイ疑惑取り調べられ転生者バレで修道院行き。

後に、セルフィア学園乙女ゲーム事件簿と呼ばれる転生者やらかし事件である。


「良かった…アホの子にならなくて。

君のおかげだね。」

「うふふ(旦那様が乙女ゲームに巻き込まれないように頑張りすぎたかしら?

弟君は生贄になったのじゃ?)」

婚約者令嬢もとい、王太子妃も又転生者なのだが、誰にもバレていない。

因みに、前世の記憶を持つ転生者は時折現れる。

この世界の各国の上層部には定期的に転生者トラブルが発生する為、代々対策マニュアルがひっそりと伝えられていたりする。

多分対策マニュアル作ったのも転生者の可能性が高い。

転生者同士でガチバトルでも有ったのかもしれない。


異世界からの記憶持ちの転生者は、その時代その世界からズレて不可思議な行動を何処かで必ずやる。

犯罪紛いな行動するパターンや、世界に恩恵をもたらすパターンに別れたりする。

ひっそりと行動出来る者は前世も有能か善良だったのかもしれない。

なお、ここの世界での転生記憶持ちと言うのは、今の所発見されて居ない。

異世界記憶保持者の出没時期は、時代の変遷時が最も多く。

それ故に、神々の気紛れ・神々の悪戯・神々の試練などとも言われている。


その3年後、王太子はその国リッペルガー王国の王に即位し、王太子妃は王妃となった。

2人の間には3人の王子と4人の娘と言う子沢山で3人の側室が王妃が妊娠時あてがわれ。

姫がそれぞれ三人づつ誕生すると言う王位継承に関わらないミラクルで、退位まで安定した王政だったと言われている。

尚、王妃と側室達は学園からの親友で、王がヤキモチを妬く程仲睦まじかった為円満な関係を築けた様だ。



それから16年後。

隣国のテレジーヤ公国のハルマナ学院で、第2王子婚約破棄事件が発生する。

相手はリッペルガー王国の側室腹の第四王女だった。

第四王女は王妃からコッソリ影の護衛や隠密を用意されており。

他者からの暗殺や悪い噂の元など調べ尽くされていた為、即座に冤罪と判明。

留学と婚約破棄をして転移で帰国させた。

その後、テレジーヤ公国からの多大な慰謝料踏んだくった後に国内の堅実な騎士公へと嫁いだ。

浮気性で気短の第2王子に幼い頃から泣かされていた気弱で大人しい第四王女は、彼女の護衛役だった騎士公に良く慰められていた為、なる様にっなったカップリングだった模様。

騎士公は後にその強さと堅実さで辺境伯に出世し、妻との間に三男二女を設けた。

側室も持たず妻を愛した為、周囲からは美女と堅物辺境龍とか言われていたらしい。


尚、テレジーヤ公国は、リッペルガー王国から元々他国との戦争借金を負っており。

かなりの火の車で、ぶっちゃけ第四王女の嫁ぐ時の結納金や持参金を当てにしての婚約だった。

にも関わらず、王子がやらかしたのだ。

残って居た有能な配下や土地を手放して、何とか賠償金を捻出した頃。

公国は国というより、リッペルガー王国の属州状態へと成り下がっていた。

反抗する戦力も財力も人望も人脈も無いのだから、仕方のない事だった。

現実を直視する間も無く、王位継承権を第2王子は喪失した。


異世界ファーブラは、そんな感じの転生奇譚が日常的に良く発生する。

転生者の記憶を完全に忘却させないのは、創造神パニマがわざとだと言われている噂があるが真実は神のみぞ知る。

「その方が、世界が楽しそうだもの。」

と世界を眺めて笑うパニマ。

「僕のファーブラがどれだけ進化出来るか。

どれだけ物語よりも素敵になれるか。

君達次第なんだよ?

頑張って生きてね?」


さぁ、次の新たな転生を始めよう。

君の新しい未来に祝福を!



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