表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
6/109

宇都紗耶香(高校生)【6】

 オクタホテルはカフェと雑貨屋がいっしょになったお店だ。入口側には女性向けの雑貨が綺麗に並べられ、大きな窓に面した側はカフェスペースになっている。カフェでは数人のお客さんが、夕陽のなかで楽しそうにおしゃべりしていた。店に射し込むオレンジ色の光を背に、かわいい装飾の小物やティーセット、輸入物のバッグや帽子のあいだを、おおきな大里くんがきょろきょろしている。

「宇都さん、ハンカチとかってどのあたり?」

「えっとねー、そこのバッグのまえのー」

 ハンカチやタオル類が置いてある一角に歩み寄りながら、去年プレゼントに選んだデザインを思い出す。四隅に蝶々かなにかの刺繍がはいった水色のやつだった。輸入物で、ブランドは覚えていないけれど、値段は確か千円ぐらいだったはず――こんなことなら、もう少しいいやつ買っとけば良かった――いや、そんな動機で選ぶものではないんだけれど……。

「あ、ここか。たくさんあるねえ」

 色とりどりのハンカチやハンドタオルを眺めながら、大里くんが感心したような声をあげた。一枚、二枚とりあげて刺繍や値札を確かめているその姿を、紗耶香は横目でそっとうかがった。

 彼はこういうところが、ほかの男子とは違う。剣道部で身体が大きくて、なんだか威圧感すら感じるのに、話しぶりはとても静かで落ち着いている。女性客向けのこういうお店にも物怖じせずにすたすた入れて、恥ずかしがることもなく母親へのプレゼントを選んでいる。

 さっきも、と紗耶香は思った。駅近くの人だかりで、紗耶香の目のまえに進みでて、事件の現場から離れさせてくれた。そういうふうにさりげなく他人を気遣ってくれるところも、他の男子とはすこし違う……ように思う。あんまりわたしのまわりにはいないタイプだ。

 だからこんなに――いや、すこしだけ――気になってしまうんだろう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ