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崎山優城(高校生)【2】

 ――今日は珍しいことが続く日だった。

 同じ剣道部の大里浩一とはよく登下校が一緒になるものの、今日はそこに女子たちが加わっていたのだ。宇都紗耶香と霧島愛璃、そして羽島史織の三人。みんな同級生だが羽島さん以外はクラスが別なのでよくは知らなかった。この三人がよく一緒にしゃべっているのは見かけたので、名前くらいは知っていたのだけれど。

 顧問の長崎先生がここ二日ほど休んでいるので剣道の練習もおやすみ。今日も今日とて大里と帰ろうと思って声をかけたところ、女子三人と帰りに駅のショッピングプラザに寄らないかという話だった。

 理由がよくわからないままに頷いたものの(大里は羽島さんと仲いいっていうか、幼なじみだからだろうが)、夕陽がアスファルトを赤く染める道を歩きながら、崎山はさっそく居心地の悪さを感じていた。特に親しいわけでもない女子二人もそうだが、特に羽島さんがすこし苦手なのだ。

 容姿も成績も運動神経もよく、誰とでも気軽に話せて(だって俺にもこんな屈託なく話しかけてくる)、明るく華やかな雰囲気を振りまいている。男子からの人気も高いという。いつもクラスの中心ではしゃいでいるというわけではないが、まぎれもなく、彼女はスクールカーストの上位者だった。そんなきらきらした女の子を前にすると、話す言葉が詰まったり、手が勝手に変な動きをしだしたり、要するにあがってしまうのだった。一方の崎山は? こんなことを考えるくらいなのだからあえて言うまでもない。

 いまも自己嫌悪に苛まれながら、胸の澱みを吐き出すように息をつき、いまだ背後を振り返っている。

 あれも珍しい出来事だった――血まみれの事件現場に居合わせるなどそうそうない。

 最初は事故だと思った。二重三重の人だかりの向こう、傾いだ電柱の根元に食い込むようなワゴンが見えたからだ。こりゃまた盛大に突っ込んだな、と崎山は口の端がひきつれるのを感じた。運転席はほとんど潰れているように見えるが、乗っていた人は大丈夫だろうか。

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