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浅葱色の春  作者: 冬馬 凪
3/7

伝承Ⅰ

2016年4月10日


月曜日に行われた始業式から4日経った5日目の金曜日。

1限はLHRロングホームルームなので、あれについて決めるのだろうと思っていた。

学級委員の二人が前に立って話始めた。その内容は予想通りで、終桜祭しゅうおうさいの出し物についてだった。

毎年うちの学校では地域の方々と協力して、大きな通りを歩行者天国にして、その通りで出店をやったり、展示をしたりする。

しかしそれは、弥生学園やよいがくえんを含める北側の方針であり、南、東、西で異なった方法をる。つまり四方位で区分けされ、それぞれの運営をしている。

これでは一見、終桜祭という名目を掲げた独立した集団が各々の地域で祭りを行っているように見えるが実際はそうではなく、祭りは一週間行われるので、日にちごとに行く地域を変えたりすることもできる。

その結果、各地域は、他地域に負けないように集客につとめるので、全国的にもレベルの高く知名度も高い祭りになっている。

また学校も祭りの期間中は、授業が午前中のみのため生徒たちにも嬉しいものなのである。

一週間も祭りをするため準備は早めから取り組まなくてはいけない。

そして、無駄に過ごせる時間は限られているのだ。

だから本当は時間の静止について詳しく調べる時間を作れるかさえ怪しい。


委員長たちが本題を話し始めた。


「誰か企画案はありますか??」


誰も企画案を出す者はおらず、そのまま15分が経過した。

周りの人達は周囲の人たちで話し合っており、現に俺と夜明けもそうやって話し合っていた。

すると、隣の席の白音しらねから丸まった紙が投げ込まれた。

彼女はジェスチャーで、「開いて見て」としていたので俺たちは中身を見ると、そこには企画案が明確に記載されていた。

彼女は俺にこの案を発言しろと言わんばかりだったので俺はしょうがないと思い、渋々発言した。


「えっと・・和風カフェなんてどうですかね??和風カフェなら普通のカフェとは被らないし、外でも多少はやりやすいかと」


俺は白音の企画案通りに読み上げた。

周りのから賛成の声が多く上がった。低迷ていめいしていた出し物もこれでなんとかなりそうだ。


「ありがとうな白音」

「助かったよ白音ちゃん」


白音は軽く頷いた。彼女もあのままでは不味いと思ったのだろう。

本当はものすごく面倒見がいいのでは?そんなことを思った。

今回の出し物や時間の静止についてもすぐに協力してくれた、改めてなぜあんな不名誉ふめいよなあだ名が付いたのかさえ分からない。

最近は彼女のことばかり考えている気がする。

気付くといつの間にか役割分担の話になっていた。


如月きさらぎくんには、買い出しに行ってもらいたいのだけどいいかな??」

「あ....ああ」

とっさのことだったので、適当に返事をしてしまって晴れて買い出し担当になってしまった。これには流石に失敗したと落ち込む。

立案者として資材調査してほしいという意図なのだろうが、これは面倒くさい。だが承諾をしてしまった以上投げ出すわけにはいかない。

そう考えていると、夜明が委員長に話しかけた。


「その買い出しに俺と白音ちゃんも付いて行っていい??」

委員長は嬉しそうにその提案を承諾した。そして委員長以外の生徒たちはみんな驚いていた。たぶん白音のことだろう。学校をさぼり続けたそんな彼女が行事に参加しようとしているのだ。


そして当の本人は周りの事など気にせずノートに文字を書き込み、俺に見せてきた。


〈元々私が提案したものだから私も手伝うわ。それと、代弁だいべんしてくれてありがとう〉


このノートの最後の一言にに俺はつい顔が赤くなってしまった。


〈どうしたの?顔赤いわよ?熱でもあるのかしら?〉


彼女は席を立ち俺の目線の位置までかがみこんだ。


「いや、大丈夫だよ」


俺は慌てて椅子を引いて顔を白音から離す。


〈そう?〉


彼女は不満そうに席に戻った。

夜明よあけは終始ニヤニヤしながらこちらを見ていた。


「じゃあ企画案、生徒会に通してくるね」

委員長のその言葉とともにチャイムが鳴った。




放課後俺たちは近くのホームセンターに来ており、何か使えそうなものをリストアップし、委員長にメールで送りすぐに使うものだけを購入した。


「白音。それ重いから俺が持つよ。あとその荷物は夜明に持たせればいい」


彼女は無言で荷物を渡してきた。

そしてホームセンターから出ようとしたまさにその時だった。

まただこの感じ。駐車場で動いていた車は静止し、買い物に来ていた親子は子供をおんぶしたまま止まっている。


「くそっ!また俺だけなのかよ!」


すると後ろから背中をツンツンしている感触があった。驚いて後ろを振り返るとそこには、俺と同じくこの静止下で動ける人間がもう一人いた。


「白音・・・・お前は動けるのか?」


彼女はこくりと頷き、ポケットから携帯を取り出し文字を打ち込んだ。


〈今は何か原因となるものを探すのよ〉


一周見渡しても何も変化はなかった。そして俺は一つ思いついた。


「遥さんに電話をしてみて、ほかの場所も時間が止まっているか確認しよう」


〈試してみて頂戴。いつ時間が戻るかわからないからなるべく早くね〉


俺は遥さんに電話を掛け、繋がったその時。時間の静止は終わってしまった。だが今回は収穫があっただけでも幸いだと思わなくては。

俺以外・・・にも動ける人間が居たのだから。


「どうした蒼人あおと?一旦落ち着け」

「すみません遥さん。でもその・・・」


俺が言おうとしてたはずの言葉を遥さんは先に口にした。


「時間でも止まったか?」


その言葉はすべてを見透かしているような怖さが見え隠れした。心の中の焦りさえも見透かすような。


「遥さん、まさかそっちも時間が止まったんですか?」

「そうだ。今からこっちに来れるか?」

「すみません。今は、緋菜ひながいないんで、明日ならいけると思います」

「わかった待っている」



俺は失礼しますと最後に一言言って電話を切った。

改めて柳瀬遥やなせはるかという人物の一端いったんを再認識した。相手の心情を読むのにけているというか、人間というものをよく観察している。故に魔女と呼ばれる理由の一つなのだが。


そしてふと思った。明日は元々三人で遊ぶ予定だったので、俺たちは集まることはできるが、白音の考慮していなかった。


「勝手に決めちゃったけど明日で大丈夫だったか?」

〈問題ないわ。いつも休みの日は読書しているぐらいだもの〉


彼女には遊ぶ友人もいないのだろう。ならば、俺たちが彼女と一緒に遊んだりすることが彼女にとっての何かプラスになればいいなと先日考えていたことを早くも実行に移す機会が来たのではないだろうか?

後で二人に相談しよう。そう考えていると白音が携帯電話の画面を見せてきた。


〈どうしたの?顔が二ヤついているわよ。何か面白いことでもあったのかしら?〉


「いや。別にー。」

「なんか隠したな蒼人」


急に夜明の声がして俺はすっかり時間が戻っていることを忘れていた。

俺はこれ以上言及されると困るので話を変えた。


「早く帰るぞ委員長たちが待ってる」


「あっ、話変えやがった」


俺たちは急いで学校に戻った。





次の日俺たちは喫茶店に11時に現地集合にしたが、俺が着いた時には既に全員揃っていた。


早速俺は昨日の出来事について話し始めた。


「一応前もって伝えたはずだから分かっているとは思うけど、昨日また時間が静止した」


全員頷いた。その表情は話始める前とは全く変わって真剣な表情をしている。

さすがに二回目となると驚きはしないものの、夢や勘違いで終わらせることはできなくなった。


「そして俺以外にも動ける人はいた。」


「誰なの??」


この場で知らないのは緋菜だけである。夜明はあの後帰り道で話したからである。しかし彼も聞いたときは驚いていた。


「白音と遥さんだ」


緋菜は驚いてすぐに言葉を返すことができなかったが、状況を理解したらしく話を続けてと言った。


「聞きたいことがあるんだけどいいか?白音」


〈いいわよ。何かしら?〉


「前回、月曜日に時間が止まった時は何処どこにいて何をしていた?」


〈ここにいたわ。それはあなたたちもわかるでしょ?何をしていたかと言われると遥と話していたわ。でもあの時は店内に他のお客さんもいなかったし変化に気づかなかったわ〉


「ということは前回は遥さんも気づかなかったんですね」


「ああそうだ。だが今回は店内のお客さんの会話が途絶えたからすぐにわかった。そうだな・・時間の停止は60秒ぐらいか?」


「そうですね。俺もそれぐらいだった気がします。他に何か得られることはないんですかね?」


その時、緋菜がボソッと呟いた。


「静止下で動ける三人には何か共通点でもあるんですかね??」


俺には三人での共通点が思いつかなかった。ふと横に座っている白音を見ていたが何も思いついていない様子だった。

しかし一人の女性は一瞬だけくすりと笑っていた。しかし他の人は遥さんが笑っていたのを見ていなかった。何か思いついたのかと思い遥さんに聞いてみた。


「遥さん、何か分かりましたか?」


「いや、残念ながら期待に沿うようなことは思い当たらなかった」


これ以上意見も出なさそうだったので、俺はこれ以上話を進めなかった。

すると、自然と解散する雰囲気になった。


「今日はここまでにしよう。遥さんまた何か分かったら連絡お願いします」


「分かった。そっちも蒼人。何か分かったら連絡をくれ」


「分かりました」


そして俺たち4人は店を後にした。


店を出るなり俺は白音に話しかけた。


「白音この後暇か?」


〈まあ。家に帰って読みかけの本の続きを読むぐらいかしら?〉


俺は白音に遊びに誘おうとしたが、この後の話す言葉が見つからなかった。目をそらしてしまった俺を見て、二人がフォローを入れてくれた。


「しーら、今から遊びにいかない?」


「いこうぜ白音ちゃん」


俺は二人のこういう一面によく助けられるので、いつも感謝している。

その後三人は駅の方へ歩き出した。


〈いいけど?何するの?〉


その後三人で何処へ行くかなど会話で盛り上がっていた。

俺はその三人の後ろ姿を見て何処となくほっとした。

俺一人では無理かもしれないが、あの二人もいれば白音のことは何とかできるかもしれないと。


「ほらー蒼人も行くよ!早く早く!!」


俺はおうと返事を返し三人の元へ向かった。




魔女こと柳瀬遥は4人が出て行ったあと、考えていた。

あの時間の静止の正体、原因など。そして何かひらめき、独り言を呟いた。


「白音ちゃんごめんね、少なくともこの時間の静止の正体はわかった。

だけど、君との約束があるから、教えることはできなさそうだ。

でも思うこれは私が関わるべき問題じゃない。柳瀬遥としても、観測者・・・としても。君たち2人で解決するべき問題だ。」


遥はそっと目蓋まぶたを閉じて、昔のことを思い返していた。




俺たちは喫茶店を出た後、電車で3駅乗って大きなショッピングモールにやってきた。


〈ここが石坂いしざかショッピングモール・・・広いわね〉


「確かに広いけど服屋とスイーツ店が多いから女子には人気なんだよな」

「そうそう白音ちゃんも見たいところがあれば言ってくれ元々今日は緋菜の買い物に付き合う予定だったからさ」


〈わかったわ。見たいところがあったら言うわね〉


「しーらどこに行く??」


〈この店に行きたいわ。いいかしら緋菜?〉


「もちろん!!」


二人は足早に目的の店に向かった。


二人が向かったのは、カジュアル系の女性服が並ぶ店だった。

今の緋菜の服装、デニムのパンツにスニーカー、上の服はTシャツにパーカーと彼女は比較的カジュアルコーデを好むため納得のいく選択だった。


「二人とも試着するから感想よろしく!!」


そう言うと白音は文字を打つ間もなく試着室へ連れていかれた。


すると夜明が小声で話しかけてきた。


「蒼人。白音ちゃんのことどう思う?」

「えっ。そんなのあれだよあれ。」

「お前が白音ちゃんが気になっていることぐらいわかってる。だがそうじゃなくてあの噂のことだよ」


夜明には見透かされていた。しかしその後の言葉がどうも気になる。


「噂?まだあの噂信じているのか?」

「いや。違う。だが無言については置いといて、無感情についてはどうも気がかりだ」

「そうか?俺にはよくわからん」

「例えばだが、”ありがとう”という言葉の使い方は知っているけどそこには自身の感情が含まれていないっていう感じな気がするんだが?」

「無くなったという表現よりも盗られたという表現の認識でいいか?」

「まぁそんなかんじだ。言葉と感情が一つの線で繋がっているとしてその感情の部分だけ盗られて言葉だけを利用しているが感情という名の相方を失って言葉の意味だけが一人歩きしているように俺は感じた」

「お前の説明くどいな」

「言われてみればかなりくどいわ」


俺たちは二人で笑っていた。こんな日常何年も続けてきたのに何処となく懐かしい気がしていた。


すると試着室で着替えていた二人が出てきた。


「どう?似合ってる??」

〈どうかしら?〉


緋菜は少し長めのスカートに白のブラウスを着て頭にはハットの帽子を身に着けており、これから夏を過ごすにはうってつけの格好だ。

対して白音はジーンズに黒いのトップス、さらに黒いカーディガンを着ていて実際よりもかなり大人っぽく見える。


「うん!二人ともよく似合っているよ!」

「そこらへんのアイドルより断然好みかも」


「二人ともありがと♪だけど夜明それは言いすぎじゃない?少なくとも私にはね」

「そんなわけあるかよ」

夜明はボソっと誰にも聞こえないように呟いた。


「なんか言った??」

「何も言ってない」

「そう」


緋菜は夜明の対応に少し違和感があったらしくこの後もその事で考えていた。


〈蒼人。本当に似合っているのか??〉

「ああ!さっきのはお世辞じゃない。本当によく似合っている」

〈そうか。分かった〉


その後彼女は店のどこかへ歩いて行った。


全員がそのお店から出るとき白音は紙袋を持って出てきた。


「白音服買ったのか?」


〈ええそうよ。普段あまりお買い物には来ないから来た時には買っておくのよ〉


俺はよく服一式買えるお金を持っていたことにびっくりした。

彼女の家はお金持ちかもしれない。



1軒目の買い物を俺たちは広場を通りがかると、妙に人が集まっていた。俺たちは何があるのか不思議に思って近づくと、何かイベントが始まるらしく人混み激しくなってきた。

すると、先ほどから考え事をしている緋菜が人混みに流されていった。

それをすかさず、夜明が追った。

俺と白音はなんとか人混みから抜け出せたが、緋菜と夜明はいまだ取り残されている。

いちおう二人にメールを送ると、夜明から返信が返ってきた。


〈すまん、当分抜け出せそうにないから二人でお店でも回っていてくれ。こっちは緋菜と合流したから、抜け出せたらまた連絡する。二人きりの時間をお楽しみに!!〉


最後に一文は余計だったが、とりあえず二人が合流できていてホットした。


〈二人は大丈夫なのかしら??〉


「大丈夫みたいだけど、抜け出すのに時間がかかるみたいだから店回ってていいよだってさ」


〈わかったわ。ならこの店に行きたいわ〉


彼女は店舗地図の右上の店を指した。


「了解!!」


俺はつい嬉しくて、元気に返事を返した。

夜明たちと合流できるまでお店を回ることになった俺と白音は、目的の店舗へ向かって歩き出していた。


「今から行く店は何を取り扱っているの?」

〈アクセサリーとか小物のお店らしいわ〉 


歩き始めて5分後、目的のお店に着いた。

俺たちは着くなりお店に入ると店内は女性客ばかりであった。

先ほどの服屋も店内は女性客ばかりではあったが、となりに夜明がいたので良かったが、流石に男一人だと恥ずかしい。

周りの女性客たちはこちらの方を見て、ざわめきだした。

客たちは、白音を見て可愛いや綺麗などの本音を漏らしている。この店で彼女は注目の的となった。もちろんその影響はこちらにもくるわけで、視線が集まる。俺は、ちらっと聞こえる声に赤面し、下を向いて歩く。

白音はどうなのか気になって顔をあげて見てみると。

しかし、白音はその周囲の目も気にせず店内を歩き回る。

そして、イヤリングが主に置いてある陳列棚ちんれつだなの前で立ち止まった。

どうやら白音が欲しかったのは、イヤリングだったらしく彼女は気に入るものを探し出した。


5分後、白音は買うものを決めたらしく手に取った。


「そのイヤリングにするのか?桜の花びらをモチーフにしたイヤリングなんて珍しいもの選ぶな」


〈私、桜好きなの。いつ見ても綺麗だわ。〉


「そうなのか、俺も桜は好きだな。見ていると気持ちが落ち着く。昔に見ていて気がするんだ」


〈気がする・・・?見たことすら曖昧なの?〉


「あれだ、記憶喪失ってやつ。昔の記憶が少しばかり無いんだ」


〈ごめんなさい。あまり触れられたくない話だったわね〉


「いいよ。ほら、レジに並ぼうぜ人が列ができる前にさ」


〈そうね。じゃあいきましょ〉


レジの方へ向かうとタイミングが良かったので、すぐに会計をしてもらえた。

店員さんが元気な声で会計の言葉を掛ける。

「1800円になります」


白音はバッグの中から財布を取り出すなり、中身からお金を取り出そうとしたが、お金を取り出しているはずの白音が俺の服の袖を掴んだ。

俺は不思議そうに彼女を見ると、彼女は下を見てと言わんばかりの目でアピールをしてきたので、俺は財布の中身を見てみた。

すると、財布に入っていたのは、1000円札が1枚と100円玉が6枚、10円玉が4枚、合計1640円しか入ってなかった。

俺はやれやれと、自分の財布を取り出し会計を済ませた。



店を出るなりすぐに白音は携帯の画面を見せてきた。


〈お金が足りていなかったわ。出してくれてありがとう。今度必ず返すわ〉

「今度からは気をつけろよ。あとお金は返さなくていいよ。俺からのプレゼントでも思ってくれ」


〈そんなの申し訳ないわ〉


「いいんだよ。これでもお前には感謝してるんだ。これからも巻き込んでしまうかもしれないし」


俺は少し低い声で、淡々と喋った。これからどんな迷惑をかけるかも分からないそう思って。


〈わかったわ。素直に受け取るわ。でも時間の停止については、原因がわからない以上あなたも被害者でしょ?だからお互い助け合うべきでしょ?〉


こういう彼女の素っ気ない言葉が俺の気持ちを楽にしてくれる。

実際に時間の静止は怖い。いつも動いているものが止まる感覚は何処となく気持ち悪いし、いつ来るかも分からない停止は微かに俺を恐怖に導いていた。前とはまた違う怖さが。

だがそんな中、あのたった一言、何ともない行動が俺にとっては救いだった。


この気持ちはなんだ?

なぜ彼女と一緒にいたいと思うんだ?

初めはただの夜明の茶化ちゃかしとしか思っていなかった。

けれど今なら違うと言い切れるかもしれない。

彼女と一緒にいると楽しい。

今だってそうだ。

これからも俺の横にずっといて欲しいと願うのはなぜだ?

俺は悟った。

彼女を好きなのかもしれないと。

まだ会って間もないかもしれない。

だけれどももう何年も好きな気がする。

俺は今まで何度か告白されたが、異性として好きになった人がいなかった。

そんな俺はすっかり彼女の可憐さ美しさ性格などすべての虜になったのかもしれない。

恋とは、こんなふとした結果で始まるものかもしれない。

俺は、口に手を抑えてぼそっと呟いた。


「そういうとこが好きだ....」


〈何か言ったかしら?というかまた顔が赤いわよ?赤面症せいきめんしょうなのかしら?〉


「そうかもな!」


俺は笑って答えた。彼女との出会いに俺は感謝した。


〈変なの。〉


彼女は表情には出ていないが笑って心のどこかで笑っていればいいな。

そう思っていた。


〈どこかでいったん休みましょう〉


「そうだね。そこで夜明たちと合流しよう」


俺は手元の店舗地図を取り出しどこに行くか話し合った。



みなさんこんにちわーっす!! 浅葱色の春の作者の冬馬 凪です。


今回は伝承編ということで、始まり、出会いと続いてきた浅葱色の春(以下あさいろと略)の第3章となります。みなさまあまり伝承と言われてもピンと来ないかもしれませんが(あらすじと始まり、出会い編でちょっと語られたぐらいですからねw)詳しくはこれからも続く伝承編で少しづつ語っていこうと思います。

それと皆様はお気づきかは分からないので、一応自分が使用する鍵括弧かぎかっこについて書いておくのでこれで読みやすくなれば幸いです。

「」会話文(電話等ふくむ)。〈〉メール文(浅葱色の春では重要です!!)。『』叫びや強調したい文(あんまり使わない)。()ルビが打てないやつなどに対する補足用(初心者なのでちゃんとしたルビがわからない)。《》ルビの失敗(見つけ次第教えていただけると幸いです)。以上です!!参考にしてください。

あんまりあとがきっぽくない文でしたねw

最後に宣伝になりますが、まず1つ目!こちらの投稿頻度遅いので、こちらで番外編出します!(本編と同じく不定期ですw)そして2つ目!twitter始めました!更新状況等を呟いていくのでよろしければフォロー願いします。→@ToumaNagiです。


最後にあさいろを読んでいただいてありがとうございました。これからもよろしくお願いします。


花言葉は知っていますか?この小説を書くに当たって自分がイメージした色は青浅葱か緑浅葱です(覚えていません)。浅葱色は露草という植物から染料を作るものもあるらしいです!気になったら露草の花言葉でも調べてみてくださいね。

では今回はこの辺で。  追記100PVありがとうございます!                         

                                     冬馬 凪

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