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小千里母思想

作者: かずとん。

今回は第二弾となります。是非読んでみてください!

小夜叉「ちぃ、何が待ち合わせだっつーの。一緒の長屋の癖に一緒にでりゃいいーだろーがよーっ」


オレは今、剣丞と『でぇと』とやらをする為に長屋から離れた小さな橋の上で一人待っている。何故その『でぇと』ってのになったのかは昨日の夜のことだ。



剣丞『なぁ小夜叉?たまにはどっか一緒に出掛けないか?鬼討伐のあとからなんもしてないだろう?』


小夜叉『はぁ?また唐突じゃねぇか、ゴロツキでもぶっ殺す(ぶっとばす)のか?』


剣丞『そんなことしないって、そもそもそういうのはナシだ、ナシ。』


小夜叉『じゃあ何すんだよ?鍛練か?!』


剣丞『だーかーら違うってば。デートだよデート』




と、こんな感じだ。何故か理由を聞いてもヒョロイ顔で内緒とかいいやがるしよー。アイツがたまに何考えてるかわからねぇ。


小夜叉「おせぇ……来てから日差しが少し天に指し始めてんぞ」


オレは橋の手すりに座る。あの鬼討伐を終えてから城下町は賑やかになった。これを手に入れるためにオレたちは血にまみれても戦ったんだ。


剣丞「悪い悪い!!待たせちまった!」


小夜叉「おせぇよ!!!何ちんたらしてんだぁ?あ!?」


オレは柵から飛び降りガン飛ばすが………


剣丞「本当に悪かったって!!この通り!!」


頭を下げて手で拝む。昔のオレならまっぷたつにしてるとこだが、今のオレは。


小夜叉「ちぃ、んでどーすんだよ。でぇと?とかいうのはよ」


剣丞はパッと拝むのをやめて少し歩き出す。


剣丞「金ヶ崎へいこう」


小夜叉「は?なんでだよ」


剣丞「ほら、所謂報告をしにだよ。まだあれから行ってないじゃないか」


小夜叉「そりゃそうだけどよー」


剣丞「んじゃ早く行こう、時間だって限られてんだしさ。ほらほら」


小夜叉「ちょ!押すなってば!わかったから!」


オレは剣丞に押されるがまま、金ヶ崎を目指し歩き始めた。途中休憩しながらだが金ヶ崎にたどり着いた


剣丞「あれから大分たったからかなぁ、草木がいい感じに生えてるな。桐琴さんのお墓は、あったぞ」


小夜叉「そうみてぇだな」


剣丞が見つけたお墓は、墓石とかじゃなく。土で小さな山にして、(はは)の脇差(小刀)が刺してある簡単な物だ。オレも剣丞の横に立つ


剣丞「桐琴さん、久しぶりだね。来るの遅くなってごめん、あれから街や国の(まつりごと)で忙しくてさ、もっと早くに来たかったんだけど。今日は小夜叉も居るんだ」


剣丞がオレの腰を軽く片手で押す、ちょっと照れくさかったオレは


小夜叉「お、押っ忍……母、久しぶりじゃねぇか。」


剣丞はクスクス笑いやがる。オレは無視して


小夜叉「母の言ってた言葉、ちゃんと守り抜くぜ。剣丞や皆を必ずな」


オレは母と何回もぶつかった、時には一緒に喧嘩をしにいったり。楽しくない日なんてなかった。だからこそ、母は無敵だ。死ぬはずなんてない、あの鬼を余裕でぶっ飛ばす力があるから。

絶対に死ぬ筈なんかって、オレは思った。だけど



剣丞『小夜叉………桐琴さんは、死んだ。』


小夜叉『はぁ!?なにふざけたこと言ってんだよ!母がやられるわけ無いだろぉッ!!』


剣丞『桐琴さんが、最後に残した言葉を小夜叉に伝えろって。』


【桐琴】『いいか小僧ッ!老いた人間がいつまでも餓鬼を見てられる訳はがねぇ!世代は変わる!お前達は前だけを見て進めッ!餓鬼はまだまだひよっこだが、死ぬ気でやりゃ人生なんとかなるもんだ!何事も諦めずにやれや、以上だ。……剣丞、小夜叉を、頼んだ。デケェ男になれ』


小夜叉「なぁ、母。オレも変われるか?オレもちゃんと前向いてあるけるか?」


墓は何も答えてはくれない、だが吹く風が答えを教えてくれた気がした。


小夜叉「そっか、わかった。うっし、帰るぞ剣丞ぇ」


剣丞「おい、もういいのかよ?まだ話したいこととかさ」


小夜叉「んなもんもーねぇよ、ちんたらしてたら頭に怒られんぞ」


オレが歩き出す、その時だった。


???『クソガキ、てめぇは変わったな』


小夜叉「ッ!?!?……は、母?」


突然声が聞こえた、周りには何もない。だけど確かに…


剣丞「今の、桐琴さん?」


小夜叉「は、母!!どこだ!どこにいんだよ!!」


しかし、風が吹く音ばかりで何も聞こえやしない。


小夜叉「オレは…オレはまだ母となんもしてねぇッんだぞッ!!!まだやりたいことあったんだぞ!?オレは……んぐ」


剣丞に抱きしめられた。普通なら蹴りとばすのに、オレはなんもしなかった。剣丞の匂い、温もりが気持ちよくて。離したくなかった。


剣丞「なぁ、小夜叉は桐琴さんを超えるんだろ?だったらそんな悲しくしていいのかよ?負けを認めるのと同じだぞ」


小夜叉「……うるせ、ばか……はぁ、もういいって大丈夫だって」


オレは剣丞から離れると墓に向かって槍を突きつける


小夜叉「母、オレは誰にも負けねぇ。もちろん母にもだ、必ず強さを示してやる。またな母」


オレはさっさと歩き出す。剣丞も慌てて付いてくる


剣丞「ちょ!ちょっと待てよ、どうしたんだよまた」


オレはまだ言ってなかったことがある、剣丞に。そろそろ言ってやっても良いかなって。だから――


小夜叉「おい剣丞ぇ。一度しか言わねぇかんな?」


剣丞「はい?」


顔がヒョロイ感じになった。まぁわからねぇだろうな、こいつは……

小夜叉「………好きだバカ野郎。」


日の本一の鈍感男だからな。



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