予想。
短いです。
坂が凍っている。
普通の坂でも十分に気をつけなければならないが、ここは地元でも有名になるほどの急な坂。自転車で登ることはほぼ不可能であり、車で登る際には途中でバンパーに傷がつくことがあるほどの急勾配。その上、凍っているこの時期には避けて通る。だが目的地は下りてすぐの場所。遠回りして行くのは面倒臭い。
どうにかできないかと見回すと、道端には溶け残った雪が積もっている。歩くには少々不安があるが、仕方がない。一歩、右足で雪の上に踏み出す。しっかりとした感触に、注意しながら左足を地面から離した。
しかし、しっかりとした感触は氷だったらしい。周りにつかめそうなものはなく、体勢を崩しながら滑り落ちていく。危機的状況だが、これが長い坂であれば楽しめたかもしれない。
束の間、バランスを保っていた体は前のめりになり、宙に投げ出された。普通の道であれば多少の怪我をして終わりだろうが、見えるのは川。このままでは数メートルを落下し、身を切るような冷たさに沈むことになる。まずい。
一瞬の判断で体を猫のように丸め、半回転。手前にある転落防止用の手すりに着地し、衝撃を逃がしつつ蹴り飛ばした。
…ピシッ。
空中でくるりと回って着地し......転んだ。
周りを見渡して誰も見ていなかったことを確認し、ため息を吐きつつも立ち上がる。そのまま歩き出そうとした、その時。
バキバキッ……ッバァァァン!
堤防に沿って設置されていた手すりの一部が壊れたらしい。先ほど着地したところを中心に落ちていく手すりを見守りつつ、ジーンズのポケットからスマホを取り出した。
「あ、すみません警察ですか?今、目の前で堤防の手すりが崩落したんですけど、どうすればいいですかね?」
————なんて予想ができるから、今日行こうと思ってた用事はやめようかな。
初投稿です、はじめまして。
まだまだ未熟ですが、少しでも楽しんでいただけたら嬉しいです。
※ちまちま直してます。