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スキから始まる君と僕の物語  作者: 豊本 高弘
第2章 その時、本当は…
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第2章 Third Person-1

 夕食を終えたアイスの三人はリビングに集まって雑談していた、内容は主に瞳についてだ。


「いやぁ~、ひぃやんが戻ってきてほんまよかったわ。ウチとれいやん、めっちゃ心配したんやで!」


 右手に持つスティック菓子を指示棒のように扱いながらまりやが笑みを浮かべる。


「こらまりや、ご飯食べた後なんだからお菓子はやめなさい。太るわよ?」


 それを見て玲奈はテーブルに置かれていたスティック菓子の箱を取り上げる、リーダーとして自分だけでなく二人のことも人一倍気を遣っていた。


「あぁ~ん、れいやんのいけず~」

「あはは……もっちゃんごめんね、出かけてる途中に携帯落としちゃってさ」

「えぇっ、大丈夫なのそれ! 誰かに拾われたりしなかった!?」

「大丈夫だよ、出かけたところ全部戻って探したら見つかったもん」


 それを聞いて玲奈はホッとした様子に変わった。

 瞳は今日あった全てを話した、もちろん祐二と綾に会ったこともである。


「へぇ、ファンの人とも会ったのね。瞳、ファン一人一人は大事なのよ。握手やサイン求められても絶対断っちゃダメなんだから」

「れいちゃんそれいつも言ってるよね」

「当たり前じゃない。わたしたちはアイドル、皆に愛される存在じゃなきゃ」


 赤いアンダーフレームの眼鏡を人差し指でそっと上げながら玲奈は誇らしげな表情に変わる、彼女はメンバーの中で一番真面目ではあるが何故眼鏡をしているのかだけは頑なに話さない。


「さ~ってウチは風呂入るわ」


 頃合いを見てか、まりやが浴室へ駆け出す。


「んも~、もっちゃんったら――」

「瞳、わたしにはわかるわよ」


 呆れ顔の瞳に対し、玲奈は確信めいていたことがあったのか真剣な表情を見せる。

 何かを察したのか瞳はとっさにとぼけ出した。


「とぼけたってダメ。瞳、本当は逃げ出したかったんでしょ?」

「うっ……」


 まるで取り調べをしている刑事のように問い詰める玲奈はそっと人差し指で眼鏡をあげて瞳を見つめる、今はウソをつくことが出来ないと悟った瞳は本当のことを話し始めた。

 アイドルから逃げ出したくてオフを利用して寮から出かけ、門限を破ってそのまま帰ることもしないつもりだったことを。


「まったく……本当に帰ってこなかったらわたし承知しなかったわよ!」


 玲奈からの説教が始まる、そう思った瞳は思いっきり目を瞑った。


「まぁいいわ、帰ってきたんだから許してあげる」


 まさかだった、説教を受けなかった瞳は笑顔に変わる。


「ありがと、れいちゃん」


 瞳のお礼に玲奈は気にしない素振りを見せた。

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