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スキから始まる君と僕の物語  作者: 豊本 高弘
第3章 始まりの歌
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第3章 Third Person

 アイスのステージが終わり、綾と彰吾の二人はミニライブの余韻に浸りながら帰り道を歩く。

 その三歩ほど後ろには祐二もいたが、楽しかったというものとはまた違う何かがあった。

 街はすっかり夕暮れ時で、三人の影は長く伸びている。


「いやぁ、アイスのミニライブよかったな!」

「ほんとほんと。途中で秋山瞳が、歌うの詰まってたけどね」


 綾はミーハーである、本人がいない前ではこうして各メンバーをフルネームで呼ぶ。


「あん時瞳ちゃんがこっち見てたよな、なんだか急にボーっとしてた感じだったぞ?」


 そう言って彰吾が不思議がった、このことは綾も同様のようで腕を組んでうんうんと頷く。

 一方で祐二は一人、何故瞳があのようになったのかわからず考え始める。


「――なぁ」


 顎に手を当てしばし考えたが、自分一人だけではわからない。

 そう思った祐二は綾と彰吾に尋ねることにした。

 かつて瞳があのようにぼんやりとすることはあったのか、あるとしたらどんな時だったのか彼なりの視線で気になったところを挙げた。


「あたしが知る限りだけど、秋山瞳がああなるの見たの初めてかも」

「俺も。それにしても、まりやちゃんかわいかったなぁ」


 彰吾は瞳のハプニングよりも、彼女の隣で歌っていたまりやを目の前で見られたことに喜んでいる。

 祐二にはまりやがどちらのメンバーかはわかっていない、同時に聞かなきゃよかったかと思いながら心の中で呆れた。


「それじゃ俺こっちだから、じゃあなっ!」


 しばらく歩いた帰り道の途中、祐二と綾は住宅街にある十字路で彰吾と別れた。


「もしかして……」


 彰吾が見えなくなったところで綾が口を開いた、思い当たる節が見つかったのだと言う。


「秋山瞳はさ、祐二に気を取られたんじゃない?」


 祐二は始め、まさかと思う。

 一度会って今日再会となれば、瞳は祐二の顔を覚えているはず。

 だからすぐに気付いたのではないかという。

 それを聞いて祐二は信じられない気持ちになった。


「――なぁんてねっ」

「えっ」

「んなことある訳ないじゃんっ、ただ何か考え事しちゃってボーっとしてただけで、その目線の先にあたしたちがいたってだけでしょっ」


 やれやれと付け加えて言うと綾は両手を広げた後、再び歩き出す。


「はは……そ、そうだよな……」


 祐二は苦笑いしながら納得すると、綾の後ろへついていく。

 この時彼の携帯には瞳からの着信が入っているが、それに気付かず携帯の背面液晶は不在着信を表すランプが点滅していた。

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