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スキから始まる君と僕の物語  作者: 豊本 高弘
第3章 始まりの歌
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第3章 side Yuji

 雲一つない青い空が輝く土曜日。

 僕と綾は市内にあるCDショップ、パシフィカレコードへ向かい並んで歩いていた。

 僕がそこで行われる秋山さんたちのミニライブへ誘おうとしたら、待ってましたと言わんばかりの表情で綾の方から誘われた。

 秋山さんに会ったことがあっても歌う曲を知らなくては意味がない、だから一緒に行こうと言ってくれたからである。


「――ねぇ、祐二」


 途中の道で綾が僕に問いかける、なんだよ?


「アイスって、なんでアイスっていうか知ってる?」


 は? なんだそりゃ?

 綾が言うに、アイスというのは秋山さんがいるグループの名前とのこと。

 そのグループ名の由来は秋山さんと、一緒にいるもう二人のメンバーの名字のイニシャルから取って“AYS(アイス)”となったと言う。

 知らなかったと正直に答えると綾は鼻高々な顔して腰に両手を当てる。

 綾はいつもこうで、僕が知らなかったことを話すと嬉しいらしい。


 ――ウィーン。


 そうこうしているうちに僕と綾はあっという間に自動ドアをくぐったらしい、らしいというのは綾と話している傍らで耳に入った機械音から。

 僕にとって生まれて初めて入るCDショップ、最初は緊張で入れなかったらどうしようかと思ったが意外とすんなり入れた。


「うわ……」


 一瞬耳がおかしくなったのかと思った。

 店内で聴く音楽はどんなジャンルなのかもわからない初めて聴くものばかりで、僕にとって衝撃でしかなかった。


「ミニライブまでまだ時間あるからさ、アイスのCD見てく?」


 そう言って綾が僕の手を引いて“J-POP”と書かれた棚へ連れてってくれた、その一角から綾は一枚のCDを手に取る。

 ケースの真ん中に袖がない青い服を着て、澄ました顔をしているのが秋山さん。左右にはそれぞれ短く明るい茶髪でウィンクまじりに活発そうに微笑む袖がない黄色の服の人と、背中まで伸びる長く黒い髪で穏やかな表情をした赤の服を着た女の人が写る写真。

 写真に書かれていてわかった、この人たちがアイスというらしい。

 あの時の秋山さんは帽子と眼鏡姿でよくわからなかったが、この写真を見る限り大人っぽい女性という雰囲気でとても僕たちと同じ年齢とは思えなかった。


「祐二、この機会に買えば?」


 笑顔まじりの綾が僕にCDを一枚手渡してきた、受け取ったものの僕は買おうか買わまいか少し迷いが生まれる。

 でも秋山さんがいるグループの曲。綾の言う通りこの機会に買おう、そう思った時だ。


「あんれぇ? 見たことある二人組!」


 弾んだ声に綾は振り向く、突然のことに慌てて僕はCDケースを元あった棚へ入れた。

 やっぱりと言いながら近付いてきたのは僕らのクラスメート、松崎彰吾。


「この場に大嶋はわかるけど、祐二がいるのは違和感あるな」

「あたしが連れてきた、祐二に流行りの音楽を知ってもらおうと思ってね」


 それを聞いて彰吾は僕の肩を嬉しそうにポンポンと叩く、なんでも堅物そうな僕が流行りの音楽に興味を持つというのはちょっとした事件らしい。


「そういえば今日、ここでアイスのミニライブだろ? 二人も見るのか?」

「当たり前じゃん、あたし今日が楽しみで来たんだし」

「だよな~! 俺、まりやちゃん推しとして今日という日をどれだけ指折り数えたことか!」


 この時僕はここで言う“推し”の意味がわからなかったが、あえて聞かないでおく。

 聞いたら綾も彰吾も物凄くしつこいから。

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