表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
スキから始まる君と僕の物語  作者: 豊本 高弘
第0章
1/24

プロローグ

 雨が降る夜の街中を走り抜ける一台のシルバーのミニバン。


 金色に輝く短い髪をポニーテールに一目見ると外国人に見間違そうな顔立ちをした若い女が運転している、その隣の助手席に一人と後部座席に二人の少女が乗車していた。


「みんな今日はおつかれさまッ、明日はオフだヨ!」


 前を向いたまま片言の日本語でそう話しながら運転している長い金髪の女。それを聞いているのかわからないが、少女たちの表情は沈んだ表情をしていて重苦しい雰囲気を見せる。


「――どうしたの? らしくないよ、いつもきっちりやってるのに……」


 助手席に座る赤いアンダーフレームの眼鏡をかけた長い黒髪の少女が、背後のシートに座るやや長めの茶髪の少女へ叱っていた。


「ごめん……」


 叱られた少女はすぐに謝るものの、それほど空気は変わらない。


「あの、お菓子……」


 関西訛りで喋る明るい茶色のショートヘアーの少女が手に持っていたスティック菓子を二人へ手渡そうとするが、それを黒髪の少女が止める。

 しばらくして車は広い通りを抜け、大きな建物の地下ロビー横で止まった。


「おつかれさまでした」


 三人が頭を下げながら言った後に車はその場を走り去っていく、それを見送ることもしないまま長髪の少女がエレベーターへ向かった。

 この時茶髪の少女の心の中で、今までを振り返る。

 追いかけていた夢と今ここにいる現実のギャップに違和感を覚え、自分が自分でないのではないかという思いが生まれた。


「どないしたん?」


 関西訛りの少女が声をかける。


「えっ? あ、なんでもないなんでもない! さ、ご飯食べよ?」


 明るい表情で答えたものの、すぐにそれは暗くなる。


「決めた……私、アイドルやめる!」


 誰にも聞こえていないところで決めたことを声に出していた。

 その意思は強く、次の日彼女は姿を消した。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ