死のカード、追憶、そして・・・
私がたどって来たのは生と死の交錯する空間だった。
最後に生をつかみ取るのは敵か、自分のいずれかでしかない。
そんなギリギリの間隙をすり抜け続ける事が、私の辿るべき、唯一の道だった。
そうして一つのクェストをすませ、短い休息についたとき、ふと、未だに生きながらえている自分を見い出す。
数えきれぬほどの戦い、その中で、己がこれまで一度も死の
カードを引き当てずに済んでいた事を考えると、ヒヤリとした冷たい感覚に襲われることがある。
――けれどもそれは、ほんのひとときの事でしかなかった。
私には、そんな感慨に捕らわれている暇などなかったし、そもそも自分にとって過去とは、
振り返るべきものではなかったからだ。
仕留めた獲物の数が増すにつれ、闇の世界の住人共の抵抗も、また増す。
最後の門を抜け、物言わぬ石像群の視線を浴びながら・・・・・
「あるいは、今度こそ、カードを引き当てるやも知れぬ」
そんな思いがよぎる。
――だが、振り返るまい。
今は、ただ、更なる高みを求めて進むのみ。
もはや、引き返す事の叶わぬ身なれば・・・・・
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養父の手記は、ここで途切れていた。
あたしに残された物は、このノートと、わずかばかりの路銀、そして、古ぼけた武器、防具。
あたしもまた、彼の地へと赴く。
養父の足跡を辿り、遺志を受け継ぐ為に・・・・・