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当たり前じゃない世界  作者: 鳳蓮荘
第1章 当たり前じゃない少年
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31/75

第三十一話 脱出


ゴゴゴゴゴ……


山全体が激しく揺れる。


「全員!」


「まだ終わってない!」


九条蓮の声が響いた。


その直後。


ドドドドドッ!!


上から大量の土砂が流れ落ちてくる。


「落石!」


黒崎駿斗が叫ぶ。


「散開するな!」


九条は即座に指示を飛ばす。


「隊形を維持!」


「俺から離れるな!」


七人は一斉に身を低くする。


ゴォン!!


目の前に大きな岩が落下した。


土煙が舞い上がる。


「くそっ!」


神童輝羅が拳を握る。


「九条!」


「このままじゃ埋まる!」


九条は周囲を見渡した。


「右だ!」


「右の斜面を抜ける!」


七人は一斉に走り出す。


しかし。


天城楓は痛みに顔をしかめた。


「ごめん……。」


「足が……。」


九条は迷わなかった。


「蒼井!」


「天城を頼む!」


「了解!」


蒼井源太は笑みを浮かべる。


「任せろ!」


ひょいっと天城を抱き上げる。


「えっ!?ちょっと!」


天城は驚いて声を上げる。


「暴れんな。」


蒼井は笑った。


「落としたら笑えねぇからな。」


「このくらい、大した重さじゃねぇ。」


天城は思わず苦笑する。


「ありがとう……。」


如月希は安心したように頷いた。


「楓、無理しないで。」


「まだ冷やしたばかりだから。」


「うん。」


黒崎は先頭付近で周囲を警戒する。


「九条。」


「この先、倒木だ。」


太い木が道を塞いでいた。


「蒼井。」


「行けるか?」


「もちろん。」


蒼井は天城を一度ゆっくり下ろす。


そして倒木へ向かう。


「ふっ!」


両腕に力を込める。


ミシミシ……


巨大な木が持ち上がる。


「うおおおっ!」


そのまま横へ投げ飛ばした。


ドォォン!!


道が開ける。


神童が笑う。


「相変わらず化け物だな。」


蒼井も笑い返す。


「褒め言葉として受け取っとく。」


その時。


湊が足を止めた。


「九条さん!」


「止まってください!」


全員が立ち止まる。


「どうした?」


湊は前方を見つめていた。


「左側の地面……。」


「さっきから少しずつ沈んでます。」


全員が目を向ける。


パラ……


小さな石が斜面を転がる。


次の瞬間。


ドォォォォン!!


土砂が一気に崩れ落ちた。


「危なかった……。」


神童が息を呑む。


九条は静かに頷いた。


「助かった。」


「朝霧。」


「ありがとう。」


湊は照れくさそうに笑う。


「いえ。」


「たまたま気付いただけです。」


九条はすぐに前を向く。


「進路変更。」


「右側を進む!」


「急ぐぞ!」


「はい!」


七人は再び走り出した。


黒崎が炎で前方を照らし、


神童が周囲を警戒する。


如月は蒼井に抱えられた天城の様子を確認しながら進む。


そして九条は先頭で全員を導いていく。


やがて。


木々が途切れた。


「見えた!」


湊が声を上げる。


訓練区域の出口だった。


「あと少しだ!」


九条が叫ぶ。


その瞬間。


ゴゴゴゴゴ……


再び地鳴りが響く。


全員が振り返る。


山の上から。


今までで一番大きな土砂崩れが迫ってきていた。


「走れぇぇぇ!!」


第31話 脱出 完

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