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エルがカイさんに隠していた本当の想い。
エルはずっと思っていた。
カイさんはすごい人だと。
音ゲーの画面の中で、
音符が流れてくるたびに、
カイの指は迷いなく動く。
その姿は、
エルにとってまぶしかった。
学校では、エルは生徒会長だった。
みんなから「すごいね」と言われる。
でも本当は——
自信なんてなかった。
本当にすごい人は、
カイさんだと思っていた。
エルはカイの動画を見るたびに思う。
「この人は、きっと世界に行く人だ」
だからこそ、
怖かった。
もし自分がカイの隣にいたら、
カイの夢を邪魔してしまうんじゃないか。
カイはもっと遠くへ行く人なのに、
自分が足を引っ張るんじゃないか。
それが怖くて、
本当の気持ちを言えなかった。
でも一つだけ、
ずっと思っていたことがある。
それは——
「カイさんの隣にいられる人になりたい」
ただのファンじゃなくて。
ただの友達じゃなくて。
カイが世界で一番のプレイをしたとき、
一番近くで拍手する人。
それになりたかった。
でも、その願いは
最後まで言えなかった。




