表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
4/10

第4話「初めての街、初めての模倣」

僕は、木の枝を剣に見立ててゴブリンを倒し、自分の手のひらを眺めた。そこに宿っているのは、アルベルトの力。僕自身のものではない、模倣された力だ。


「……完璧だな」


僕は、確信した。僕の能力**『遺伝子情報操作ヒューマンエディター』**は、転生者の能力を完全に模倣できる。彼らの才能を、僕自身の才能として利用できる。

これで、この世界で生きていくための足がかりができた。


僕は、脳内のデータベースから、近くにある小さな街「リーベル」の位置情報を確認した。この街は、転生者たちが最初に立ち寄ることが多い、冒険者たちの拠点だ。

この街で、僕はまず身分を偽装し、そして、僕自身の物語を紡ぎ始める。


街へ向かう道中、僕は自分の姿を森の中にある泉に映し出し、確認した。

見慣れない少年の顔。まだ幼い、あどけなさの残る顔立ちだ。

僕は、この少年の顔を、この世界の英雄たちの顔と重ね合わせる。

英雄たちの顔は、皆、整った顔立ちをしている。だが、僕のこの顔は、どこか平凡で、特徴がない。

だが、それが逆に都合がいい。

平凡な顔は、誰にも気に留められない。

僕は、この平凡な顔を、この世界の英雄たちの顔に変える。


僕は、再び**『遺伝子情報操作ヒューマンエディター』**を使い、僕の顔の遺伝子情報を書き換える。

伝説の魔術師、イグニス・フレイアの顔を模倣する。

イグニスは、炎の魔術を操る天才で、その顔立ちは、中性的な美しさを備えていた。


僕の顔の筋肉が、骨が、皮膚が、まるで粘土細工のように変化していく。

数分後、僕の顔は、イグニスの顔と瓜二つになっていた。

僕は、再び泉に顔を映し出し、その変化を確認する。

完璧だ。


僕は、この世界の物語の**“書き手”だった。

そして、この世界では、僕は“語り手”となり、この世界の英雄たちを“演者”**として操る。


僕は、街の入り口へとたどり着いた。

リーベルの街の門は、重厚な石造りで、門番が二人立っていた。

僕は、門番に話しかける。

「すみません、この街に入りたいのですが」


門番は、僕の顔を見て、一瞬驚いたような顔をした。

「お、お前……まさか、イグニス様か!?」

「イグニス……?いえ、私は、レオンです」


僕は、イグニス・フレイアの顔を模倣しただけで、その名前を名乗るつもりはなかった。

しかし、僕のこの顔は、イグニスという伝説の英雄の顔と瓜二つ。

街の人々は、僕をイグニスと勘違いするだろう。


「レオン……?そんな名、聞いたこともないな。だが、その顔は、間違いなくイグニス様だ。どうされたのですか?なぜ、このような場所に……」


門番は、僕をイグニスと信じきっているようだ。

僕は、この状況を利用することにした。

「私は、記憶喪失なのです。自分が誰なのか、なぜここにいるのか、何も覚えていません」


僕は、**『遺伝子情報操作ヒューマンエディター』を用いて、僕の脳内に、イグニスが転生する際に設定された「記憶」**を模倣する。

そして、その記憶を、僕自身の記憶であるかのように、門番に語った。


「……なるほど。そういうことでしたか。イグニス様。どうか、私どもにお任せください。すぐに、この街の領主様に、あなたのことをご報告いたします」


門番は、僕の言葉を信じ、僕を街の中へ案内してくれた。

僕は、この街で、イグニス・フレイアとして生きることを決意した。

この街で、僕は、この世界の英雄たちを操るための「駒」を集める。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ