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異世界転移した医師、成り上がりつつポーション革命を起こします  作者: アルゼン枕子
三章 陰謀疫病編 ──黒幕の野望と民の救い──
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Episode 039: 新時代の夜明けとレオノーラ恋心

疫病終息から1ヶ月後、王都の宮殿謁見の間で、ケンタは国王に謁見していた。


「グライフブルクの疫病終息は見事であった」


ケンタの頭上からしぶい声がかかる。王様の声だ。


「汝の医療技術は王国の宝である」


まさか王様から呼び出されるなんて。


「多くの民を救った功績は計り知れない」


、、、そろそろ頭下げるの疲れてきた。これって、不用意に頭上げたらヤバい?よね。


国王からの正式な召喚状による謁見の儀で、格式高い宮殿での国王との面会が行われていた。


「これからは、ケンタ・ミッテルフェルト男爵と名乗るがよい」


まじかー、騎士から男爵になってしまったぞ。


「そなたにノイシュタルト村を汝の領地として与える」


男爵位の授与と領地の下賜が行われた。


「光栄に存じます。民のために尽力いたします」


ケンタは答えた。


最高レベルの社会的認知、貴族としての正式な地位獲得、ノイシュタルト村の正式領主化が実現した。




同じ頃、治癒術師ギルド本部でカインツがギルド幹部に昇進していた。


「カインツ・フォン・シュヴァルツを上級幹部に任命する」


ハイマン失脚後の組織再編で、異例の若さでの大出世、改革推進の責任者としての昇進発表が行われた。


「当然の人事だ」


「若すぎるのではないか」


「実績は認めざるを得ない」


改革派、保守派、中立派のギルド内の反応はさまざまだった。


社会的成功への満足、ケンタとの医療パートナーシップも確立され、テレジアへの想いは変わらずという心境だった。


(おめでとう、カインツ)


カインツの大出世を知ったケンタは純粋に祝福していたが、カインツの複雑な感情にはまだ気づいていなかった。ケンタは人間関係の機微に関しては鈍感だった。




数週間後の夕方、男爵位を拝領したケンタが辺境伯邸を訪問していた。


「この度は、正式にご挨拶に伺いました」


格式高い応接間で、ケンタは辺境伯に謁見していた。


「ミッテルフェルト男爵、疫病終息の功績は見事であった」


「ありがたく存じます。このたびのことは、テレジア様の多大なご助力があってこそと考えております。」


「そうか、娘が役になったならなによりだ。」


辺境伯は嬉しそうだ。


「辺境伯家の寄り子として、末永くよろしくお願いいたします」


ケンタの正式な挨拶に、辺境伯は満足していた。


「君のような優秀な人材を得られて光栄だ」


寄り子関係の正式確立で、政治的な後ろ盾を得ることができた。


「テレジア、レオノーラ、君たちも同席してくれ」


辺境伯の呼びかけで、二人の女性が応接間に現れた。


「ケンタ殿、改めてお祝い申し上げます」


テレジアの上品な祝辞に、ケンタは礼を返した。


「テレジア様のご支援なくしては、ここまでこれませんでした」


「レオノーラ殿も、いつも影から支えてくださって感謝しています」


ケンタの感謝の言葉に、レオノーラは静かに微笑んだ。


「当然の任務でした」


「でも...本当に立派な方だと思います」


レオノーラの素直な感想に、テレジアは頷いた。


「私も同感です。真摯で誠実な方ですね」


二人の女性の視線がケンタに向けられる中、ケンタは相変わらず人間関係の機微に気づいていない。


(この人たちの視線がなんだか...でも、きっと気のせいだな)


「今後ともよろしくお願いいたします」


ケンタが深々と頭を下げると、レオノーラの内心で想いが湧き上がった。


<いつからか、この方のことを考えている時間が増えた>


<監視任務が終わると思うと、なぜか寂しい>


<これは...恋なのか?>


<でも、あの方にはフローラ殿がいらっしゃる>


<私の気持ちは胸の奥にしまっておこう>


恋心の自覚が静かに行われた。




テレジアもまた、心の奥で似たような想いを抱いていた。


<彼の真摯さに心を奪われてしまった>


<でも、幸せそうなフローラ殿を見ていると...>


<想うだけで十分なのかもしれませんね>


二人の女性の間で、言葉にならない共感が生まれていた。ケンタへの一方的な恋心を、互いに理解し合う静かな瞬間だった。




数日後、グライフブルク診療所で通常の医療活動が再開されていた。


診療所の待合室には、いつもの活気が戻っていた。


「先生、腰の痛みがだいぶ良くなりました」


老婆が笑顔で礼を言う。アウレオルスが調合した新しい鎮痛薬が効いているようだ。


「ケンタ先生、また新しい取引先を見つけてきたよ!」


ココが意気揚々と契約書を振りながら入ってきた。


窓の外では、マックスが荷馬車で薬品を運んでいる姿が見える。オットーも地方の商人たちと熱心に話し合っていた。


みんなが自分の役割を見つけ、生き生きと働いている。


「みんなが成長して、素晴らしいチームになった」


「私も立派な医療者になれたでしょうか?」


アウレオルスの成長に、ケンタは満足していた。


「今後、アウレオルスにこの診療所を任せたいと思う。」


「本当ですか?」


「ああ、俺はしばらく男爵就任の件で、忙しくなる。アウレオルスなら十分に運営できる。」


「ありがとうございます。がんばります。」


アウレオルスは力強くうなずいた。






「でも、まだ解決すべき謎がある」


(男爵って何をすればいいんだ...?)


ケンタは貴族になったことの実感が湧かず、どんな責任があるのかも理解していなかった。医師としての知識は豊富だが、政治や貴族社会のことは全く分からない。


「それに、異世界転移の仕組みも調べてみたい」


忙しさにずっと後回しにしていたが、そろそろ本格的に調べてみよう。




同日夜、診療所の屋上で、ケンタが一人で夜空を見上げながら思索していた。


「村での出会いから始まって、ここまで来た」


「多くの仲間に恵まれ、多くの命を救えた」


「でも、まだ分からないことがたくさんある」


屋上で星空を眺めながら、これまでのことを振り返っていた。


「なぜ俺が異世界に転移したのか?この神殿とゲートには何か秘密があるはず。時間制限の理由も知りたい」


転移システムへの疑問が生まれた。


「街のことが一段落したから、本格的に調べてみよう」


「まずは森奥の神殿から始めるか」


「フローラも故郷の村には一緒に来てくれるだろう」


新たな調査への決意が固まった。


「健太様、こんなところにいらしたんですね」


フローラが屋上に上がってきた。ケンタの隣に腰を下ろす。


「ああ、なんか寝られなくてね。」


「そうなんですか。」


「思えばいろいろあったけど、俺がこっちにきたゲートについてまだ何も知らないなって考えていた。」


「そういえば不思議ですね。」


「これから、一緒に謎を解き明かそう」


「もちろんです、健太様」


二人は誓い合った。




翌日、ケンタは早速行動を起こした。


「テレジア様、お願いがあります」


辺境伯邸を訪れたケンタは、テレジアに頭を下げた。


「辺境伯家の書物庫に入らせていただけませんか?ノイシュタルト村の神殿とゲートに関する文献を調べたいのです」


「ゲートですか?もちろんです。私も一緒に調べましょう」


テレジアは快く承諾してくれた。


数日後、古い書物に囲まれた書物庫で、ケンタとフローラ、そしてテレジアが調査を開始した。


「この古い文献に、神殿について何か書かれているかもしれません」


分厚い魔法史の本を開きながら、テレジアが説明する。


調査の最中、レオノーラが慌てて書物庫に駆け込んできた。


「テレジア様、大変な知らせです」


「どうしたの、レオノーラ?」


「元上級幹部のハイマンが...下層街で刺されて亡くなりました」


一同に衝撃が走った。


「何だって?詳細を聞かせてくれ」


ケンタが身を乗り出す。


「身分を剥奪されて追放された後、彼は下層街の安宿に潜んでいました。しかし、感染症で家族を失った住民たちに見つかってしまったようです」


レオノーラが報告を続ける。


「『あいつのせいで治療が遅れた』『俺の妻子が死んだのはこいつのせいだ』という声が上がり、複数の住民に取り囲まれました。そして...」


「因果応報というべきか...」


テレジアが複雑な表情で呟いた。


「封建社会では、特権階級の義務違反は民衆の報復を招く。歴史的に見ても、民を裏切った支配者の末路は悲惨なものが多い」


「でも、私的制裁は法の秩序を乱す」


ケンタは医師として、暴力による解決を好まなかった。


「確かにそうですが、下層民の怒りは理解できます。妨害工作により、どれほど多くの命が失われたか...」


レオノーラの言葉に、一同は黙り込んだ。権力と責任、そして民衆の正義について考えさせられる出来事であった。


「せめて、これで本当にすべてが終わったということにしよう」


ケンタが重い口調で言った。


気分を切り替えるように、調査を再開した。


「『古代魔法陣の謎』...これは興味深いですね」


フローラが別の本を発見した。


それがまさか、あんな大変なことになるとは今は知る由もなかった。

どうも、ケンタです。ついに第三章が完結しました。


国王陛下からの男爵位授与、ノイシュタルト村の領主就任...まさか異世界に来てから貴族になるとは思っていませんでした。現代日本の一般的な医師だった自分が、ここまで社会的地位を得られるなんて。


カインツのギルド上級幹部への昇進も、彼の努力の結果です。複雑な感情を抱えている彼ですが、正義感と能力は本物です。今後の活躍に期待しています。


レオノーラさんとテレジアさんには、監視任務や政治的支援で本当にお世話になりました。特に書物庫での文献調査では、テレジアさんの協力なくしては実現できませんでした。二人とも、なんだか最近よく話しかけてくれるようになって、ありがたいことです。


今回の疫病編を通して、みんなが大きく成長したと思います。チーム一丸となって困難を乗り越え、多くの命を救うことができました。


しかし、新たな謎が待っています。異世界転移のメカニズム、あの神殿の秘密、時間制限の理由...解明すべきことはまだたくさんあります。フローラと一緒に、これらの謎に挑んでいきたいと思います。


第四章では、どんな冒険が待っているのでしょうか。期待と不安が入り混じりますが、仲間たちと一緒なら、きっと乗り越えられるはずです。


読者の皆さん、最後まで第三章にお付き合いいただき、本当にありがとうございました。評価やブックマーク、感想、いいねをいただけると、今後の執筆活動の大きな励みになります。第四章もお楽しみに!

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