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異世界転移した医師、成り上がりつつポーション革命を起こします  作者: アルゼン枕子
三章 陰謀疫病編 ──黒幕の野望と民の救い──
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Episode 038: 特効薬完成と疫病終息

早朝、グライフブルク診療所でアウレオルスとケンタが1週間の臨床試験結果を総括していた。


「では、最終データを発表しよう」


ケンタが分厚い冊子を紐解く。


驚異的な効果が確認された。回復率はなんと95%で12名中11名が完全回復、副作用は軽微な一時的倦怠感のみ、効果発現時間は平均6時間で症状改善した。


「すごい!」


「ついにできたぞ!」


対感染症ポーションの完成の瞬間だった。




「本当に治った!」


「ケンタ先生、ありがとう!」


患者たちの歓喜に、オットーは感動していた。


「俺が紹介した人たちが、みんな元気になった」


「これで商品化に移れる」


成功の確信を得たケンタ。


「ついに...ついに成功したんですね」


フローラも安堵していた。


同日午前、ココの商会で緊急流通網が構築された。


「これは商売というより、社会貢献だ」


「でも、採算は確保しないとね。そして効率的にやらなきゃ意味がない」


ココが商会のスタッフを総動員し、戦略会議を開いた。


錬金術師ギルドと交渉し、工場をフル稼働、材料調達ルートの確保でマックスや他の冒険者と連携、品質管理体制の確立で量産計画の発動が行われた。


グライフブルク全域への配布計画、治癒可能な重症者から優先順位の設定、流通網の構築も完了した。希少な材料を用いるため、どうしても薬価は高くなるが、辺境伯家からの公的な援助の申し出があり、販売価格は貧困層でもなんとか働いて返せる額に抑えられた。


「半年で都市全域カバーの計画だ」


「ケンタさんの成功を、みんなの成功にしたい」


「この薬で、本当に都市を救える」


「商人として最高の仕事だ」


(みんなすごいな...俺一人じゃ絶対に無理だった)


ケンタは改めて仲間たちの能力の高さに感嘆していた。医療は得意だが、流通や政治的な調整は全く分からない。


ココの商才発揮で、全員一丸となった緊急対応が開始された。


同日午後から夕方にかけて、グライフブルク各地で特効薬が都市全域に配布開始された。


ココの流通網により薬が各地に到着。トリアージに従って、治癒可能な重症感染者から優先的に治療、カインツの治癒術師ギルドも協力、レオノーラの情報網で効率的な患者特定が行われた。


「奇跡だ」


「本当に治る」


次々と回復していく患者たちの声で、恐怖から希望への転換が起こった。


感染拡大の完全停止、下層街に活気が戻る、人々の表情が明るくなることで都市の変化が実感された。


3ヶ月後、新規感染者ゼロ、既存患者の90%以上が回復という状況が確認され、疫病終息の目処が立った。


疫病終息宣言の前日、辺境伯邸の大広間で重要な公的処分が行われた。


「ハイマン・フォン・グロスハイムを呼び出せ」


辺境伯の厳格な声が響く中、憔悴しきったハイマンが広間に引き出された。


「ハイマン・フォン・グロスハイム、お前は治癒術師ギルド上級幹部として、民の生命と健康を守る義務を負っていた」


辺境伯の裁定が始まった。


「しかし、お前は私利私欲のために医療妨害を行い、疫病の蔓延を助長した。これは封建契約における重大な背信行為である」


テレジアが辞令を読み上げる。


「よって、貴族身分を剥奪し、全財産を没収する。グライフブルク領からの永久追放を命ずる」


「特権階級であることは、民を守る義務と表裏一体である。その義務を放棄した者に、特権を与える理由はない」


ハイマンは言葉を失い、ただ膝を突いていた。数日後、彼は護衛もなく、下層街を通ってグライフブルクを去ることになる。


翌日、グライフブルク中央広場で辺境伯による疫病終息の公式宣言が行われた。


「疫病の終息を宣言する」


ケンタの医学的功績、アウレオルスの技術貢献、ココの流通業績、カインツのギルド改革、全員への感謝状授与でケンタチームへの公式感謝が示された。


「やったね、みんな」


広場を埋め尽くす市民からの感謝と称賛で、チーム一同は達成感を味わった。


喧騒の中で、ケンタとフローラは視線を交わした。


「今夜は二人だけで、ゆっくり話そう」


今夜の約束が交わされた。




深夜、診療所の居住部分の寝室で、二人だけのささやかな勝利祝いが行われた。


「健太様、本当にお疲れ様でした」


「君がいてくれたから、ここまでこれた」


静けさの中で、達成感を共有する二人。


「これからも一緒に、多くの人を救っていこう」


「ご一緒します、健太様。」


「君となら、どんな困難も乗り越えられる」


将来への誓いが交わされた。


静寂の中、フローラが立ち上がって窓のカーテンを閉めた。月明かりがわずかに漏れる部屋で、彼女は振り返った。


「健太様...もう、我慢しなくていいんですよ」


いつもの恥ずかしがり屋の面影はなく、決意に満ちた表情だった。


「フローラ...?」


「ずっと、健太様は私たちのために頑張ってくれました。今夜だけは...私が健太様を癒したいんです」


そう言って、フローラはケンタの手を取った。その手は少し震えていたが、温かかった。


「君も疲れているだろうに...」


「違います。これは私がしたいことなんです」


フローラの瞳には、今までとは違う強い光が宿っていた。長い戦いの中で、彼女も大きく成長していたのだ。


二人は見つめ合い、言葉はもう必要なかった。数ヶ月間の不安と緊張、そして互いへの想いが、この瞬間に結実していく。


窓の外では、疫病から解放された街に、穏やかな夜が訪れていた。

ついに、ついに疫病を終息させることができました!


95%の回復率という驚異的な結果には、自分でも信じられませんでした。臨床試験の成功、そして3ヶ月で都市全域への配布完了...みんなの協力があったからこそ実現できたことです。


ココの商才と流通網、アウレオルスの技術力、カインツの改革されたギルドとの協力、そしてレオノーラさんの情報網...チーム一丸となって取り組んだ結果です。


中央広場での疫病終息宣言の時は、正直涙が出そうでした。市民の皆さんの感謝の声、歓声、そして希望に満ちた表情...医師として、これほど嬉しい瞬間はありません。


そして、フローラとの特別な夜...あの時の彼女の積極的なアプローチには、正直驚きました。普段は恥ずかしがり屋の彼女が、あれほどまでに...いや、これ以上は言えませんね。読者の皆さんの想像にお任せします。


でも、本当に大変だった日々を一緒に乗り越えて、二人の絆がより深くなったことを実感しました。


次回は、国王陛下からの召喚、そして新たな展開が待っています。レオノーラさんの想いにも注目してください。


読者の皆さん、長い疫病編にお付き合いいただき、ありがとうございました。評価やブックマーク、感想、いいねをいただけると、本当に励みになります。次回もお楽しみに!

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