表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
異世界転移した医師、成り上がりつつポーション革命を起こします  作者: アルゼン枕子
二章 ギルド抗争編 ──安価な奇跡を巡る戦い──
27/41

エピソード026:初の特許料と内輪パーティ

廉価版ポーションの成功は、俺たちの想像を遥かに超える速度で、グライフブルクの街を駆け巡った。


「ケンタ殿、やりましたな! 錬金術師ギルドが、正式にポーションの製法を特許として認定しましたぜ!」


オットーが、ギルドの紋章が入った羊皮紙を手に、興奮気味に報告に来た。俺とアウレオルスが共同開発したこのポーションは、その革新性と有用性が認められ、異例の速さで特許登録されたのだ。


「これで、他の誰にも真似されることなく、俺たちの手でこのポーションを広めることができる」

「ええ。そして、正当な対価も得られます。医療は、慈善事業だけでは成り立ちませんからな」


アウレオルスと俺は、固い握手を交わす。特許料の交渉はココとオットーに一任し、量産そのものは錬金術師ギルドの工房ネットワークに委託する方針を決めた。俺たちは診療所の運営と臨床データの収集に集中する──それが、患者を直接救いながら品質改善を続ける最短ルートだからだ。その結果、特許料の一部が、定期的に俺たちの元へ入ってくることになった。初めて手にした特許料は、決して大金ではなかったが、ずっしりとした重みがあった。それは、俺たちの血と汗と涙の結晶だった。


「よし、今夜はパーティだ! 苦労を共にした仲間たちと、ささやかに成功を祝おう!」


俺の提案に、診療所の皆は歓声を上げて賛成した。


その夜、診療所の食堂は、温かい光と、楽しげな笑い声に包まれた。集まったのは、俺、フローラ、マックス、オットー、ココ、アウレオルス。そして、俺の招待に応じてくれたテレジアと、なぜか彼女についてきたカインツもいた。


「まずは、乾杯しよう。俺たちの未来と、このポーションを必要とする全ての人々のために! 乾杯!」


俺が高らかに杯を掲げると、皆もそれに倣う。カインツだけは、少し不満げな顔で、しぶしぶ杯を合わせたが。(なんだこのリア充空間。昔ハマったエロゲのハッピーエンドCGみたいだ)


テーブルには、フローラと街の料理人が腕を振るったご馳走が並ぶ。マックスとオットーは、酒を酌み交わしながら、昔の武勇伝(ほとんどがマックスの自慢話)で盛り上がっている。ココとテレジアは、意外にも意気投合したようで、都市の経済や女性の社会進出について、熱心に語り合っていた。


「……それにしても、見事なものだな、ミッテルフェルト。まさか、本当にギルドを出し抜いて、新しいポーションを完成させるとは」


カインツが、少し離れた場所で一人酒を飲んでいた俺に、話しかけてきた。


「カインツ殿のおかげでもある。あの時の情報は、本当に助かった」

「ふん、勘違いするな。私は、ギルドのやり方が気に入らなかっただけだ。お前のためではない」


相変わらず素直じゃない。だが、その口元が、ほんの少しだけ緩んでいるのを、俺は見逃さなかった。


宴もたけなわとなった頃、それまで静かに料理を味わっていたアウレオルスが、すっくと立ち上がった。


「……皆さん、少しだけ、よろしいでしょうか」


彼のただならぬ雰囲気に、皆の視線が集まる。


「私は……ケンタ殿を、そして皆さんを、欺いていました」


アウレオルスは、自らが錬金術師ギルドから送り込まれた刺客であったこと、当初は俺の技術を盗み、その功績を独り占めにするつもりだったことを、全て正直に告白した。


食堂は、水を打ったように静まり返る。マックスが、こめかみに青筋を浮かべるのが見えた。


「だが……ケンタ殿と共に過ごすうちに、私は知りました。真の科学とは、真の錬金術とは、誰かを蹴落とし、名声を得るためのものではない。人々の苦しみを和らげ、未来を照らすためにあるのだと」


彼は、俺の前に進み出ると、深々と頭を下げた。


「ケンタ殿! この愚かで、未熟な私を、どうか、あなたの弟子にしてください! あなたの下で、本物の医療を、錬金術を学びたいのです!」


その声は、震えていた。だが、そこには、一片の嘘もなかった。


俺は、ゆっくりと立ち上がると、彼の肩に手を置いた。


「顔を上げろ、アウレオルス殿。お前は、もうとっくに、俺の大事な仲間だ。弟子なんて水臭い。これからも、パートナーとして、共に歩んでいこう」


「……ケンタ殿」


アウレオルスの瞳から、大粒の涙がこぼれ落ちた。それを見たフローラも、もらい泣きしている。まったく、今夜は感動的な場面が多すぎる。


こうして、俺たちの小さな祝賀パーティは、新たな絆の誕生と共に、幕を閉じたのだった。


ケンタです。

いやあ、最高のパーティでした! 特許料も手に入ったし、何より、最高の仲間たちと成功を分かち合えたことが、一番の喜びです。

アウレオルスの告白には驚きましたが、彼の覚悟、しかと受け止めました。これからは、最高のパートナーとして、一緒に頑張っていこうな!

カインツも、なんだかんだで来てくれて、ちょっと嬉しかったです。

さて、これで第二章も一区切り。でも、物語はまだ終わりません。次回、成功の裏で、新たな脅威が静かに忍び寄ります。

評価やブックマーク、感想、いいねをいただけると、パーティの続きが始まるかもしれません!

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ