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異世界転移した医師、成り上がりつつポーション革命を起こします  作者: アルゼン枕子
二章 ギルド抗争編 ──安価な奇跡を巡る戦い──
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エピソード020:フローラとココの調査協力

都市の喧騒は、診療所の窓を閉めても微かに聞こえてくる。朝焼けが窓から差し込み、埃の舞う室内に淡い光の筋を作っていた。俺は、机の上に広げられた薬草の図鑑と、試作段階のポーションの残骸を前に、深くため息をついた。廉価版ポーションの開発は、想像以上に難航していた。


「健太様、また徹夜ですか?」


優しい声が聞こえ、顔を上げると、フローラが心配そうに立っていた。その手には温かいハーブティーが湯気を立てている。


「ああ、フローラ。ありがとう。でも、どうにもうまくいかなくてね。薬草の配合も、魔力の定着も、どれもこれも壁に当たってるんだ」


フローラはそっと俺の隣に座り、図鑑を覗き込んだ。


「この薬草は、確か魔力との相性が難しいとされていますね。でも、この組み合わせなら、もしかしたら……」


彼女は指で図鑑のページを辿り、いくつかの薬草を指し示した。フローラにとって薬草は、村にいた頃から生活に密接に絡んでいた。彼女には、経験に裏打ちされた豊富な知識があった。


「フローラ、君の知識を貸してくれないか? 俺一人では、どうにも限界がある」


俺の言葉に、フローラは少し驚いた顔をした後、ふわりと微笑んだ。


「もちろんです、健太様。私にできることなら、何でも」


その日から、フローラは診療所の仕事の合間を縫って、ポーション開発に協力してくれるようになった。彼女は村の生活で培った薬草の知識を活かし、様々な組み合わせを提案してくれた。時には、俺が思いつきもしないような奇抜な発想で、新たな可能性を示してくれることもあった。


しかし、薬草の知識だけでは解決できない問題もあった。それは、市場の動向と、ポーションの需要に関するデータだった。


「ケンタさん、このポーション、本当に売れるんですか?」


ある日、ココが診療所に顔を出し、試作中のポーションを興味深そうに眺めながら言った。


「ああ、廉価版だからな。多くの人に届けたい」


「ふーん。でも、いくら安くても、本当に必要とされてるのか、どんな層に響くのか、データがないと難しいですよ。商売ってのは、勘だけじゃどうにもならないんですから」


ココの言葉は、まさに図星だった。俺は医師としては経験を積んできたが、商売に関しては素人同然だ。ココは行商人として、この都市の市場を熟知している。彼女の商業的な視点は、今の俺に最も欠けているものだった。


「ココ、君の力を借りたい。この都市の市場のデータを集めて、分析してくれないか? どんなポーションが求められているのか、どんな価格帯なら受け入れられるのか、統計的なアプローチで開発を支援してほしいんだ」


ココは腕を組み、少し考える素振りを見せた。


「うーん、ケンタさんの頼みなら、仕方ないですね。でも、タダじゃやりませんよ? ちゃんと報酬は弾んでくださいね」


そう言って、ココはニヤリと笑った。その笑顔には、いつものちゃっかりとした商売人の顔が覗いていたが、その奥には確かな信頼と、俺への協力の意思が見て取れた。


フローラとココ、二人の協力は、ポーション開発に新たな光をもたらした。フローラは薬草の専門家として、ココは市場の専門家として、それぞれの視点から開発を支援してくれる。


フローラは、診療所の裏庭に小さな薬草園を作り、様々な薬草を育て始めた。彼女は毎日、薬草の成長を観察し、その特性を記録していく。その姿は、まるで植物と対話しているかのようだった。


ココは、都市の市場を駆け回り、薬屋や治癒術師ギルドの動向、人々の間で噂されている病気や怪我の傾向など、あらゆる情報を集めてきた。彼女が持ってくるデータは、俺が想像していた以上に詳細で、市場のリアルな姿を浮き彫りにした。


「健太様、この薬草は、この地域の土壌だと少し成長が遅いみたいです。でも、魔力を含む水を与えると、成長が早まることが分かりました」


「ケンタさん、面白い数字が出ましたよ。市場で最も売れているのは“効かない傷薬”でした。理由は単純、安いから。――効かなかった苦情は? 皆さん“まあ、こんなものだろう”で済ませているとか」


フローラとココ、二人の報告を聞くたびに、俺の頭の中では新たなアイデアが次々と生まれてくる。フローラの薬草知識とココの市場データ、そして俺の現代医療の知識が融合することで、廉価版ポーション開発の道筋が少しずつ見えてきた。


もちろん、開発は依然として困難を極めていた。試作を繰り返すたびに、新たな問題が浮上する。しかし、俺はもう一人ではなかった。信頼できる仲間が、俺の隣で共に戦ってくれている。


夕暮れ時、診療所の窓から見える都市の灯りが、一つ、また一つと増えていく。俺は、フローラとココ、そしてこの都市の人々のために、必ずこのポーションを完成させると心に誓った。

皆さん、こんにちは!ケンタです。

廉価版ポーションの開発、なかなか手強いですが、フローラとココの協力で少しずつ前進しています。特にココの市場調査は、目から鱗の情報ばかりで、商売の奥深さを改めて感じています。

次回は、街で偶然の再会が……? お楽しみに!

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