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プロローグ
私は私が生きるために彼女を殺した。
本当なら私が死ぬべきだった。頭の中では分かっていたが、生存本能がそれを拒否した。こんな私にも生存本能が、生きたいという感情があるのだと、あの時は高揚感さえ覚えた。
彼女にとってはそれが救いだったのかもしれない。彼女はこの世界に生きるにはあまりにも消耗し過ぎていた。
いや、これは言い訳だ。私が私のために、自分勝手な理由で彼女を殺したことには変わりない。
さて、これから話すのは贖罪の物語。私が犯した罪について語るにはやはり一年前から始めなくてはならない。私がどうして彼女を殺すに至ったのか。
これを話し終えたら断頭台にでも向かおうか。生憎、生きる意志などもう残っていないもので。
ああ、私の名前ですか?黒谷祐希と言います。一年前に姉を失った普通の人間ですよ。