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ざまぁ返しを全力回避したヒロインは、冒険者として生きていく~別れた筈の攻略対象たちが全員追ってきた~  作者: ひよこ1号


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斥候の仕事、舐めんな

「はい。右から行きましょう」


左側はすぐ曲がり角なので、右に伸びている通路を進む。

王子はおっかなびっくり歩き始めた。

まあそうだよね。

私もアルトから教わった事と、図書館で読んだ知識くらいしかないから、失敗しながら覚える部分もあるけど。

二人はゼロだからね、知識も経験も。

歩いていると、左に通路が現れる。

そのまま通り過ぎて真っ直ぐすすんで、角に差し掛かった時、安心したように振り返った王子の後ろから石壁が倒れてきた。


「ぐえっ……」


王子は石壁の下敷きになって、倒れている。

そこまでは重くなさそうだが、背負い袋が心配だ。


「アル、動けそう?」

「……いや、難しいな……でも、ミアが罠にかからなくて良かった……」


力なく微笑む王子に、私の胸は高鳴った……りはしない。

私だったら避けてますよ。


「私は罠を見つけて解除する係であって、率先して罠に嵌まって作動させる係ではないです」

「そ、そうだな、すまない……」


王子は眉を下げる。

さて。

どうするか。

梃子の原理で少し壁を持ち上げるのがいいかな。

私は王子の篭手ガントレットを外す。


「ちょっと借りますよ。サーフ、剣を貸して」

「はい」

「鞘ごと」

「あ、すみません」


抜き身だと危ない。

腰のベルトから取り外された鞘ごと、剣先を王子の体の横に差し入れる。

私は篭手ガントレットを足で踏んで押さえた。


「サーフ、剣の持ち手を踏んで、壁を押し上げるから」

「分かりました。踏みます」


ぐっとメガネが体重をかければ、隙間が出来る。

私は力縄ストレングス・ロープを手繰り寄せ、王子も這いながら出てきた。


「はぁ、はぁ、……すまない」

「良いですよ。はい、篭手ガントレット付けて下さい」


私は床に置いた篭手ガントレットを王子に渡し、剣をメガネに戻した。

ついでに王子の腰から力縄ストレングス・ロープを解いて、次はメガネに装着する。

メガネも何か言いたげだが、ニッコリ微笑みかけたら諦めた目になった。

よろしい。


石壁を乗り越えて左に曲がると、すぐに右に向かう道、そして扉が現れた。

罠はなく、鍵はある。

私が開けると、扉から離れるだけで、スッと王子が扉の前に来た。

そして、開ける。


中には何もいない。

捜索したら、宝箱はあった。

罠解除して、鍵を開ける。

中には鉱石が入っていた。


「鉱石ですねぇ」


何の鉱石だか分からないけれど、鑑定は後でいい。

それも王子の背負い袋に入れる。

部屋から出ると元来た通路を戻り、右へ曲がる。

すぐに左に道は曲がり、左側に扉がある。

だが、その扉の向こうに五匹の迷宮子鬼ダンジョン・ゴブリンがいる。


「おっと……」


私はメガネの腰紐を引っ張った。

メガネもそろそろと後ずさりする。


「私が弓で右の個体を狙うので、サーフは左のどれかに火球ファイアー・ボール撃って下さい。アルは迎撃。サーフは接敵するまで魔法、近づいたら剣で」

「はい」

「分かった」


私とメガネは通路に出て、それぞれ弓と魔法で迷宮子鬼ダンジョン・ゴブリンを攻撃する。

ギャッと悲鳴が上がり、こちらに気が付いて走ってきた。

メガネの魔法で一匹は死に、私の攻撃では負傷したまま近づいて来たので、もう一射すると沈んだ。

その間にメガネはもう一度迷宮子鬼ダンジョン・ゴブリン火球ファイアー・ボールで仕留める。

接近できたのは二匹だ。

まずは王子がやってきた迷宮子鬼ダンジョン・ゴブリンと接近戦に入る。

後ろから来た迷宮子鬼ダンジョン・ゴブリンには、正面からはメガネが、背後からは私が襲い掛かる。

戦闘に入ってしまえば、後ろに回りこむのは苦ではない。

王子は迷宮子鬼ダンジョン・ゴブリンと二合程度打ち合っただけで、難なく倒してしまった。

メガネも、私と二人がかりなのですぐに倒せた。


うーん。

棍棒が残ってる。

これは…いらないよね?

いらないけど、王子の手に持たせた。


「え?これで戦うのか?」

「いえ、敵が近づいてくるまで暇そうだったので、どうせだから投げたらいいんじゃないかと思って」

「そういう事か。ふむ、投げてみよう」


何だか嬉しそう。

男子ってそういうとこあるよね。

さて、邪魔者は排除したし、部屋でも漁るか。


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