表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

8/90

一角兎にぶち切れた

午前の練習が終わって、昼ごはんを食べに私は意気揚々と宿屋へ引きあげた。

リサさんとリヤちゃんと、台所の端っこで賄いを食す。

うまうま。

昨日の煮込みスープの残りとパン。

だけど、めっちゃくちゃ美味しい。


「とっても美味しかったです。じゃあ薬草摘み行ってきますね!」

「いってらっしゃい」

「いってらっしゃーい」


優しい声と元気な声に背中を押されて、私は東門から薬草を摘みに外に出た。

この前とはちょっと違う所に行こう。

少し離れた所まで足を延ばす。

草原が広がっていて、左右に森があるのが東エリアだ。

真ん中には街道があって、時折馬車や馬に乗った人、徒歩の人間も町へと向かうのが見える。

何とも長閑な雰囲気で、さやさやと草を戦がせる風も気持ちいい。

うっかり、昼寝したい気分に襲われたが、それは不味い。

ここは怪物も居れば、悪人も居る世界なのだから。


目の届く所に兵士が立っている範囲で、薬草を探す。

森の程近くにすぐに、薬草の群生地を見つけた。


「あった、あった」


あー地味に好き、この作業。

私、農家の方が向いてんじゃねえかな?


そこにピョン、と可愛い兎が現れた。

頭に小さい一本角があるが、白くて赤い目の可愛らしいモフモフだ。


んぎゃあああ、かわいいいいい!


はあはあ、と思わず私は不審者のようになりながら、兎に手を伸ばした。

兎は、私を攻撃した。


はああああ!?


いきなり顎を角で突き上げられて、私は仰け反りながらぶち切れた。

腰に括りつけた鞘から短剣ダガーを抜き出すと、もう一度向かってくる兎の首に短剣ダガーを叩き込む。

ギィッと悲鳴を上げて、兎は事切れる。


ん?

あれ?

死ぬのはやない?

もっとこう、死闘を繰り広げるかと思ったのに。

クリッたの?

それとも急所攻撃扱い?

即死攻撃?


よく分からないまま、色々な可能性を考えつつ、取りあえず短剣ダガーを抜いて、兎を草の上に横たえる。

あ、こういう時こそアレの出番だ。

能力開示ステータス


剣がいきなり2レベルになってた。

今朝の訓練か。

蹴られた甲斐があったね。

短剣ダガーも1レベルになってる。

あ、あった。

急所攻撃、それに短剣ダガースキルの急所突きも。


いや、うん。

大体の生物は首が急所だよね。


狩猟も1レベルになってる。やったね。


とりあえず、これどうすっか。

食べれるなら食べたいし、ちょっとリサさんに聞きに行こう。


私は別の袋に兎もどきと短剣ダガーを入れて、宿屋へと急ぐ。

手持ちに水はあるけど、洗うほどは持っていないからだ。

血を処理しないまま鞘に戻すわけにもいかない。


「リサさーん。この兎みたいなのって、食べれます?」

「あら、アルミラージ、とれたてね!新鮮だわ!」


どうやらアルミラージという生き物らしい。

一角兎というところか。


「市場で仕入れるときは煮込みにするのだけど、新鮮だから血抜きして照り焼きにしましょう」


リサさんは嬉しそうに手を叩いた。

兎肉好きなのかな?


兎飼ってたので食べれません。

一角兎は兎じゃない…一角兎は兎じゃない…(呪文)


読んでくださり、ありがとうございます。

誤字報告も感謝です。

少しでも、楽しんで頂けたら嬉しいです。

ブクマ・いいね・★もとても嬉しいです。励みになっております。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ