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ざまぁ返しを全力回避したヒロインは、冒険者として生きていく~別れた筈の攻略対象たちが全員追ってきた~  作者: ひよこ1号


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79/90

マッチング成功

結局、ダーヴィドさんのお宅で豪華な夕食も頂いてしまった。

王子とメガネは久しぶりの高級料理に夢中だ。

ノーツは、マナーなんて分からんぞ、と言っていたけどモリモリ食べていた。

私も勿論美味しく頂いた上に、お土産のクッキーもこれまた沢山頂いてほくほくだ。

おやつ、嬉しい。

時々貰いに来ようかなってくらい美味しい。

レシピ貰ってリサさんに作って貰うのでもいいな。

自分で作れたら作ってみたいけど。


ノーツがギルドに契約書を届けてくれるので、馬車でギルドまで送ってもらって、暢気に会話しながら中に入ると、まだ、居た。

アレが。


「ちょっと、何なのよアンタ!イケメンばっかりゾロゾロ連れて、いい気になって!」


びしりと一本指を立てて、私を指し示すアリサ。

私が振り返るとおっさん冒険者がいる。


「美男をゾロゾロ連れてて羨ましいらしいですよ」

「まあ、俺も美男子だからなあ!」


おっさん達がゲラゲラ笑うので、私も笑ってしまった。


「違う!あんたよあんた!そこのピンク頭」

「お前もピンクじゃん」


私が言い返すと、また一瞬固まる。

いやだから、言ったら言い返されるの当たり前でしょ?

言葉のキャッチボールしたことないのかな?


「はあもう。ちょっと話してきますね」


男連中を置いて、アリサの襟首を掴んで端っこに連れて行く。


「な、何よ、暴力女……っ」

「ねえ、良いですか?私は、貴女が何をしようと心底どうでもいいんですよ」


じっと、壁に押し付けて見つめる。

アリサは、確かに可愛いけれど、何でこんなに本性むき出しなんだろう?

もっと可愛く、あざとく出来んかな。

こんなんじゃ落とせるものも落とせないでしょ。


「貴女が醜く喚いてるだけで、好きな男に振り向いて貰える訳ないでしょ?私は別に貴女の邪魔をしてるわけじゃないの。私に構わないで、男だけ追いかけてろ。分かった?」

「…え、え……だって、貴女が邪魔してるんじゃないなら一体…」


一体じゃねーよ。

鏡見ろ鏡。

客観的に俯瞰して自分を見てみなさいって。


「知り合いでもない人にいきなり追い掛け回されて、喜ぶ人いる?大きな声で喚いてる貴女見て好きになるの?私がいなくても貴女がそんなじゃ無理でしょ。私は友人としてしか付き合ってない。これからどうなるかは分からないけど、私は今恋愛なんてしてる余裕無いの。分かった?」

「……え、あ…はい」


私の勢いに負けて、アリサは頷いた。

でも。

私もそこで良い事を閃いた。

閃いてしまったのだ。

天才か?私。


「貴女、もしかして光魔法の回復キュア使える?」

「……あ、うん、使えるけど?」


よっしゃあ!

ヒロイン適正だな!

これで彼女の行き先は決まった。


「だったら、聖堂騎士団に行くと良いですよ。イェレミアス様だったら、貴女の回復の力を知れば、騎士団に入れてくれると思う。騎士団の姫にでもなればいいよ」


姫という言葉に、アリサは顔を輝かせた。

そりゃそうだろう。

この数日?散々空振りしてたもんね。

まあ、自業自得なんだけど。

アリサは言った。


「あなたって良い人だったのね?私誤解してたかもしれない……」


うるせぇ。

姫プしたいなら、姫らしくしろ。

面倒ごとはもう嫌だから、もう一つ釘をさしておく。


「一つだけ私と約束して?騎士団に入ることが出来て、イェレミアス様とうまくいったら、私を含めて他の人にちょっかい出さないで?男性は別にいいけど、女性に対しての貴女、行き過ぎてる」

「分かった。……もうしない、と思う」

「もしまた面倒に巻き込んだら、私、その貴女の唯一、ぶち壊すからね?」


笑顔で言えば、アリサは黙って頷いた。

少なくとも一人は手に入ると言う光明が差したのだ。

私は私で、ティアとして過ごす間、厄介事には巻き込まれたくない。


「男性に色目使うのは別に構わない。貴女の恋愛興味ないし。でも私を含めて女性を敵視したり陥れたら、許さないからね?」


もう一度言うと、アリサは素直に頷いた。

でも、信用はしていない。

人は欲張りな生き物だ。

一つ手に入れればもう一つ、と欲が出る事もあるだろう。

アウリスなり、ダーヴィドなり、金持ちイケメンを落とすなら落とせば良い。

ノーツだって、彼女を選ぶならそれでもいい。

私の為に駆けつけた二人だって。

自由意志は尊重する。

でも変な企みや、思惑に巻き込まれるのは本当に勘弁して欲しい。

そんな時間ねぇんだよ!


私は襟を掴んでいた手を放した。


「じゃあ、頑張って」

「あ、ありがとう!」


良かった。

これで勧誘してくる騎士団と、騎士団に入り込みたいピンクとのマッチング成功だ。

明日からはまた平穏な日々が戻ってくるだろう。

戻ってくるといいな。


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