またお前か!
「あ、そういえばノーツさん、錬金術師のお話、どうなってます?」
「ああ、昨日薬屋に遣いを出して貰った。冒険者ギルドに連絡が来ると思うんだが、寄るか?」
連絡がきてるかもしれないもんね。
私は頷いた。
大通りを歩いて、冒険者ギルドに向かう。
中に入ると、アシンメトリーな髪形をした中々のイケメンがノーツに呼びかける。
「やあ、ノーツ。……悪いけど、待ち人が来たから」
金髪にエメラルドグリーンの瞳の美青年は、隣にいるピンク頭に声をかける。
アリサだ。
またお前かい。
一日中冒険者ギルドに入り浸ってたのかな?
「ノーツ様………あっ……」
ノーツに笑顔で声をかけようとして、アリサは私を見て固まった。
そして、王子やメガネを見てから、更にギッと睨んでくる。
えー何なの。
怖い。
「ああ、ダーヴィド。丁度良かった。紹介したかったのはこの子だ」
「おお、君か!」
「どうも、ミアと言います。早速お話したいのですが、お時間大丈夫ですか?」
私が挨拶をすると、横からどうでもいい槍が入れられた。
アリサさん、空気読も?
「いいえ!私が先に話してたんです!!」
「いや、だから、俺は用事があると言っていただろう?何故初対面の君に俺の行動を決められなくてはならないんだ。俺にとってこの人は研究に必要な人なんだ。君は一体何なんだ?」
一体何なんだ?と言われて、アリサはきょとんとする。
ヒロインですけど?みたいな顔やめれ。
現実的な交渉理由を申し述べてくれよ。
「いえ……だって、私、は………」
流石にヒロインなのよ!って言葉は自重したらしい。
良かった。
言ってたら気が違っていると思われてしまうところだよ。
ダーヴィドは大袈裟な位大きな溜息を吐いた。
「俺にとって時間は貴重な物だ。無駄な事に費やしたくはない。迷惑だから二度と話しかけないでくれ。……待たせて申し訳なかったミア嬢。此処では何だから場所を移そう。連れの方々もお招きする」
「分かった。行こう」
私が答えるより先に、ノーツが答えて、私の背中を大きな掌で押すように外へと促した。
ノーツも彼女に話しかけられたくなかったのかもしれない。
ダーヴィドは先導するように歩いて、馬車に乗り込む。
大きな馬車なので乗り込めたが、ダーヴィドとノーツが並んで、向かいに私が王子とメガネに挟まれて座る。
「先程の方は、ダーヴィドさんのお知り合いじゃないんですか?」
「……ああ、違う。ノーツに伝言を貰ってギルドに行ったら突然話しかけてきたんだ。最初は錬金術についての話をしていた筈なんだが、どうもあまり知識を持っていないようでね」
やっぱり何か胡散臭い子だ。
多分転生者で、何かしらの乙女ゲームやそれに付随する何かの世界観の登場人物なのだろう。
この世界がどうとか、そういうのはどうでもいいけど。
学園とかであれば、恋愛とか友情とか深めたり、悩みを解決してあげたりで楽々すすめそうでも、現実的に大人の男性を口説きたいなら相応の立場や、専門知識が必要になる場合もあると思う。
特に研究者を相手にするのに、何も知りませんでは興味すら惹けないんじゃないかな。
まあいいか。
どうせ目をつけられてしまったし。
てか、今日一日で3回も会うってどういう事?
男だったらストーカーだと思ってるとこだよ。
あ、でも私も錬金術師としてはぺーぺーだな。
一応確認はとっておこう。
「私もまだ錬金術と呼べるものは一度しか経験がないので、知識もそんなに無いと思います。お時間が無駄にならないと良いんですけど……」
マジで、薬品作ったのは一回だけだし、100%育成した薬草ちゃんのおかげなのだ。
それなりに苦労はしたけど、アーヴォ的な意味では。
でも、錬金術師を名乗れる程に何かをやったわけではない。
「いや、その一回で製作したものに興味があるんだ。それを聞けるだけで無駄ではないよ」
アリサへの対応と違って、人の良さそうな笑みを浮かべるダーヴィドに安心する。
少なくともこの人は、自分の手を刺して大声で笑ったりしなさそう。




