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ざまぁ返しを全力回避したヒロインは、冒険者として生きていく~別れた筈の攻略対象たちが全員追ってきた~  作者: ひよこ1号


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はじめてのおしごと

王子とギルドに行って、採取した鑑定を査定して貰う。


「えっ?10銀貨?」


価格上がりすぎでは。

でも、私価格だった。


「それがね、この街一番の錬金術師のダーヴィド様から、ミアちゃんの薬草なら二倍の価格で買取するって連絡があったの。だから、アルク君の薬草採取もとても助かるわ」

「確かに」


ていうか、元々薬草採取の価格が低いんじゃないかと思う。

まあ、危険もないし無料の草を引っこ抜いてくるだけの簡単作業だけれども。

ちなみに王子の稼ぎは、価格が少し引き揚げられて、やっと私と同じ「3銀貨」

掌に乗せられた三枚の銀貨を見て、しょぼん、としていた。


「どうです?一日一生懸命働いて、銀貨三枚ですよ」

「……労働とはこんなにも大変だったのか……」


何だか思いを馳せてますけどね。

やっと、一日の宿代ですよ、それ。

多分分かってないよね?

だって、宿代何か月分か払ってくれただろうしね、王家の人が。

え、幾ら払ったんだろう?

金貨どさって置いて、これでいつまででもいさせてくれ…!とかやってないよね???


「ねえ、アルの宿屋ってどれくらい先払いしてるの?」

「ふむ、確か一年だが?」


いや、どんだけ甘やかされてんの!

金貨12枚くらいかな……まあいいけど。


「今日貰った3銀貨が、アルや私の宿の一日の代金ですからね」

「……なっ、そうなのか……!」


驚いてる。

そりゃ、色々な甘やかしがなかったら、とっくに路頭に迷ってるもんね。

まだまだ、お金もあるし宿代は実質無料だから、まずは実力を付ける事を優先出来そうで良かった。

小さい頃から記憶あるとかチートならいいけど、私達は完全に途中参戦ですからね。


「だから、そろそろ二人で別の依頼も受けましょうか?」

「……ふむ、それもそうだな」


鹿爪らしく、王子は頷く。

偉そうだけど、大した依頼ではありません。

多分、動物にちょっと毛が生えたくらいの魔物討伐が精々だよ。

それでも一歩前進だから、よしとしよう。


そういえば、そろそろノーツが戻ってくる頃だ。

王子にも紹介して、鍛えて貰わないとなぁ。


「あと、そろそろ迷宮からアルにちょうどいい剣の先生が帰ってくるから、鍛えて貰わないとね」

「そうか。昨日の試合も中々面白かったぞ。……いや、まだ全然勝てはしないのだが、勉強になった」

「そっか。それは良かったです」


私のいない所でも成長してくれてる!

何これ、ちょっと感動。

幼稚園楽しかったよ!って報告されてるみたいだけど。

私も倒れた甲斐があったってものだ。

……ああ、でも明日大聖堂行かなきゃなのかぁ。

面倒だなぁ。

アルトは明日から迷宮だし、午前中に行ってお昼に戻って依頼こなすのがいいかも?

王子はその間まだ託児所ギルドに預けておこう。


二人で明日の相談をしつつ、私の宿で夕ご飯を食べる事にした。

早速、リサさんの好意でクレープというデザートが夕飯につけられていて、私と王子は舌鼓を打つ。

美味しい。

生クリームとベリー系の果実と、甘いジャムのハーモニー。

王宮のデザートを食べなれた王子も、目を丸くして驚いている。


「これは美味だな!ミアの発案なのだろう?」

「そうですよ。クレープっていうんです。中の具材を変えれば食事としても楽しめますよ」

「ふむ、これは美味しい」


声のでかい王子の言葉に、周囲にもその美味しさが伝わったのか、注文する人が何人かいた。

ちょっと王子が役に立ったのである。

えらいね。

美味しそうに頬張る姿を見て、私もクレープを口に運ぶ。

うーん、本当に美味しい。

ケーキよりも全然手軽に作れるし、道具さえあれば野外でも作れそうだなぁ。

王子の持ってた背負い袋にも余裕で入りそうだし、注文して調理道具作ってもらおうかな。


「ねえアル。その内冒険に出ると思うんだけど、街の外でもこのクレープ食べれたらいいよね?」

「む……そんな事が可能なのか?」


驚いた様な顔をする王子に、私はニコッと微笑む。


「道具さえあれば作れると思う。今度市場見てみて、良い道具があればそれで、無かったら鍛冶屋とかに注文してみようかと思う」

「それは素晴らしいな」


材料も必要だから、その辺りも考えて道具を買い揃えよう。

王子の金はまだたっぷりあるのだ。

けれど、それとは別に、生活手段である金策は欠かせない。

今欲しいのは魔力回復薬だ。

良い物を作れれば、今後の金策にもなるし、あの枯渇しかかった時の倦怠感からも解放される。

服用間隔が縮められれば、迷宮攻略にも有利となるだろう。


私は錬金術の本から写し取ったレシピと、薬草大全を見比べて薬草を探す。


「うーん。魔力回復の薬草は迷宮内か、高山……これは厳しいなぁ」


手にいれるにしても、時間がかかりそうだ。

市場でもし売られていても、乾燥した薬草では意味が無い。

一度育ててみない事には。

ぱたん、と私は大きな本を閉じる。


「一朝一夕って訳にはいかないか」


……うーん。

ダーヴィドという錬金術師は、迷宮にも潜ってるのかな……?

一度話を聞きたいかも。

あんまり錬金術師に良いイメージないけどね。

アーヴォのせいで。

それに、冒険者と取引して薬草を得るのもいいけど、自分が冒険者なんだから、そこまで到達したい。

まだ、先の話だけど。

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― 新着の感想 ―
[良い点] 託児所と書いてギルドと読むのが毎回ちょっと笑っちゃいます。 だんだん王子が可愛く思えてきました。
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