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いつもの日々に  作者: ルウ
女の子の冒険
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女の子の冒険 結界


「ねー、私必要?」

「必要かと言えば微妙だけど、ここで待ってても危険度は変わらないと思うよ。むしろ今さっきの奴らが来る可能性の方が高いから、私の近くの方が安全だと思うけど。」

「ゔっ。」


トレーラーの中で着替える莉奈は、どうしても出たくないので天子に言って見たが、希望をあっさり潰される。言われてみればそうだ、さっきの奴らはフレイヤと天子の作戦で一掃された。しかし、あれが最後だと思えない。諦めていくしかない、と第三部隊戦闘服に袖を通した。


「それに行かないと多分、風文さんから特別訓練が追加されると思うよ?」

「どっどういう事!?」

「………気付いてなかったの? …………世の中知らない方が良い事もアルヨ。」

「いきなり片言!? ねえ、天子、ちょっと天子!? どういう事なのーーー!!」


同じように意匠が違う戦闘服の袖を通している天子は、これから起こるかもしれない莉奈の未来に涙した。縋りついてくる彼女に対してある気持ちは、早く服を着なさい位だったりする。


「ご歓談中すみません、本隊と連絡が付きました。今から隠蔽班が入るので、出撃するなら急いでくださいとのことです。あと隊長から連絡用のこちらを付けるようにと指示がありました。」

「私と莉奈ちゃんの骨伝導式ヘッドセットと情報端末ね。了解、すぐに出る。フレイアさんは?」

「私は先ほど到着した指揮車両に移動してサポートに移ります。」

「了解、よろしく頼みます。…ほら、莉奈ちゃん~いつまでも引き摺ってないで行くよ~。」


うーっと涙目になりながら着替える莉奈を宥めながら外へと連れていく天子との姿は、何となく母子を連想させてしまう。その姿を見たフレイアは思わず、微笑んだ。


「フレイヤさん今…。」

「なんでしょうか?」

「…ううん、何でもない。」


この間までちょっと受け答えがおかしかったフレイアが、私達を見て微笑んでいた気がしたのだが気のせいかなと思った莉奈だったがよく見るとやっぱり無表情だった。風文さんが言うように経験を積ませるには、コミュニケーションが足りないかなと思った。




霧島一族の戦闘服は上下同じ色の袴に胴着は、黒と言うより黒雲をイメージする様な色に染められている。儀式による機織りで有名な『秦氏はたし』が織った特殊な編み方で作られたその服は物理攻撃に破格の防御力を見せる。

第三部隊の部隊員の戦闘服の資材も同じ、普通の布地に見えるが『対物理』『対化学』『耐熱変動』と盛りに盛っている。

とまあここまで装備について説明したのは、この場所の異常性を言いたい為だ。


「ぐっ…なんなの、この空気。」

「莉奈、励起法を最大深度で維持…これ『結界』だ。」


莉奈と天子は身体にのしかかる様な重さと、息苦しくなる程ドロリとした空気に膝をつきそうになっていた。

ここは天子が結界針の道から導いた神社、入り口から一歩踏み入った場所。


「昨日聞いた結界針って奴と違うの?」

「結界針は結界の一部、結界針は領域を作る起点になるもの儀式の一部でしかないの。でもこれは別、結界針を使わないとても古い儀式の一つよ。」


結界針は結界と名前がついているものの、ただ空間に作用する儀式道具に過ぎない。しかし、ここの空間は違う。

本当の結界とは何か、古くはインドの空間にエネルギーが満ちた場所と言う概念。それは日本の古い神道にも同じ概念がある、神のいる場所を護る『神域』と常世を分ける境界と言う意味だ。


「それって。」

「そう、私達が使う神域と同じモノをその地に使う儀式。それが本当の結界。」

「それじゃあ。ここに…。」

「ええ、いると思う。この一連の事件の黒幕が。」


古ぼけた神社の鳥居を抜けてすぐの場所、二人は神社の境内を睨む。そこには無数の人影、二人が戦ったゾンビ達がこちらを向いていた。


「莉奈ちゃん、やる事は今さっきと同じ。私がこいつらを受け持つ。その間お願い。」

「え…うん、解った。」

「私はヒット・アンド・アウェイを繰り返して注意を引き付ける。莉奈ちゃんは外から回って本殿を目指して。」


神社のつくりは大体同じだ、鳥居を越えたら参道でそこから拝殿、そこから奥に神の御座す(おわす)本殿に続く。であれば、元凶は本殿にいる可能性が高い。そしてそこに向かうには障害がある。一つが無数にいるゾンビの群れ、いくら天子が引き付けるとは言え一割程は莉奈へと行くだろう。二つ目が拝殿を囲む壁だ、越えるのはいいが問題なのがその向こうだ何があるか解らない。

しかしやらねば、この状況を突破できない。


「解った。」

「お願い、この結界の起点を探して壊してきてね。」


合図もなく天子が突っ込む、励起法最大深度の目に映らぬ程のスピードは瞬間移動したかのようにゾンビ達の目の前に現れる。

刃は収めたまま腰を落とし、腰だめに佩いた仕込み刀を抜き放った。


切祓きりはらへ『波波木はばき』!! 霧島神道流『群雲の雷』。さあ、付き合ってもらうわよ!!」


瞬時に目の前のゾンビを切り刻む天子、それに群がるゾンビを横目に莉奈は走る。

それでも数体のゾンビが莉奈へと近づいてくるが網の目を縫うように抜けると腰につけていたナイフを投げる。

突き立つのはゾンビではなく壁、刺さった瞬間に莉奈がナイフに能力を使用して壁とナイフを結合させる。


「よっ、はっ、とっ!」


ナイフを階段のように使い励起法で強化した瞬発力で一気に壁を駆けあがる。


「直接戦わなきゃいいだけよっと!!」


壁を乗り越え飛び降りる。ここで莉奈はミスをする、着地する場所を確認せずに飛び降りたのだ。その結果は、大量のゾンビしかも武器を持っている者ばかりだ。


「うわ、うわわわわっ!!」


着地と同時に振り下ろされる鍬や鋤。莉奈は横っ飛びに跳んで避けるが、とっさの行動のせいで体勢を崩してしまう。立ち上がり次の行動を起こす前にゾンビが集まる。


「マズいっ。」


逃げようとするが間に合わない、莉奈は励起法全開で受けようと身構える。が、身体に衝撃が来る前に莉奈は浮遊感に包まれる。

この感覚はアレだ、訓練の時に嵌った落とし穴にかかった時の…。


「なんでぇー!?」


菊理莉奈、結界内で消えてしまう。


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