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いつもの日々に  作者: ルウ
悪意の残響
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悪意の残響 合流

ドタドタと廊下を走る音が放課後の学校に響く。


「おい桂二‼」


バンと大きな音を上げながら引き戸を開いた東哉を見るのは、教室に残って勉強をしていたいつもの三人組だった。桂二はどうしたと頭を傾げ、寝ぼけた目をした拓海は顔を向けた途端睨み付け、誠一は目を丸くして驚いていた。


「どうした東哉、殺人事件の現場を見てしまった目撃者の様な顔をして」

「何その的確な表現!?」

「桂二~、そんなお子ちゃま放っておいて勉強の続きしようよ。」

「そしてなんでそいつは毎度毎度、俺に突っかかるわけ?」

「それは仕方がないと思う…あー東哉だったか、頭大丈夫か?」

「どういう意味っ!?」


三者三様で東哉に声を掛ける。色々と言いたい事があるが、東哉はグッと我慢して話を続けようとしたが、ここで話をしようと思ったが説明するにはちょっと出来ない事に気付く。


「えー。桂二実は…何て言えば良いかな? アレだ、アレに関する話をしたいんだ…」


東哉は桂二に能力者の事をぼかしながら伝えようとする。能力の事は仲間内ならともかく、こんな危険な事は秘密にしないといけないだろうと言う心理が動いたからだ。

それを察したのか、桂二はああと頷く。


「そういう訳だから、ちょっと…」

「大丈夫、俺以外は能力者だ」

「おおぃ」


気を使ったら肩透かしだった事に、東哉は肩を落とす。


「何度かあった事があるんだけどな、お前は多分覚えてないから改めて紹介しよう。こっちは水上みずかみ 誠一せいいち、導士系の能力者で拳法家だ。」

「よろしく」

「んでこっちは、美波みなみ 拓海たくみ、識者系の能力者で新進気鋭の絵画専門の芸術家だ。後、莉奈ちゃんに告白した奴でもある」

「何っ!?」

「よろしくしなくていいよ。」

「なん、だってー‼」


自己紹介から流れるように口げんかに発展していく二人、それを横目に誠一と桂二はやれやれと溜息を吐いた。



どうにか拓海と東哉を宥めすかした誠一と桂二は、むくれた拓海を少し離しておいて取調室の刑事の様な話を聞く体勢を取った。


「それで? 誰が死んだ?」

「それ引っ張るのかよ…まあ、似たようなもんだけど。」


話を引っ張り笑う桂二に憮然とした表情で返す東哉は、先ほど聞いた声の事をかいつまんで説明する。


「不穏な声か」

「桂二、この学校にも能力者はいるのか?」

「いるっちゃいるんだが…聞いた所で該当する奴は、俺の知っている奴の中ではいないな」


学校の中で桂二が把握している能力者は少ない。調査の為に手を回そうと思っていたが、この学校のスポンサーが複数のために話が通しにくく調査がうまくいっていない。地道に調査していても、能力者の特有の事情が関係している為なかなか見つからないのだ。

前述したが(21話 学園都市 前編を参照)能力者は世界人口の約10パーセントになる。今の世界人口に対して能力者の人口は8億人程、10人に1人という事は30人のクラスなら1クラスに3人いる計算になる。だが実際のところは能力が使える人間はそうはいない、なぜならば。


「能力を自覚してない奴がほとんどなんだよ。大体能力ってのは覚醒してからが本番なところがある。東哉お前、自分が能力者って自覚したのはいつだ?」

「えっと、ああ。確か林間学校の1日目の深夜だ。」

「お前、それ以前は能力者使えたか?」

「ああ、そう言う事か。」


東哉より先に誠一が気付く。能力者は漫画と違って常に光ったり風が出たりとエフェクトが出ている訳ではないのだ。覚醒して能力を使っていれば解るのだが、四六時中使う馬鹿はいない。


「あー確かに、使えるようになった前と後で見た目全然変わんないわ、分解するって言っても常に使う訳じゃないし。」

「そういう事だ。しかしまいったな、校内の知らない能力者はちょっとマズイな」

「そうだな、もし敵対ないしは俺等の障害になる場合は対処が難しいだろうな。知らない奴にいきなり横合いからぶん殴られるのは遠慮したい」


もし、彩や天子と今やっている事を邪魔もしくは学校に居る間に攻撃されたらマズイ。誠一は探っている時に不意打ちされる事を危惧した。


「潜在的な敵ってのが一番厄介だ。最優先で見つけなきゃいけないな…」

「えー、放っておけばいいんじゃない? そいつがどうなろうが僕関係ないし。」

「拓海、いいかげん暗黒面から帰って来いよ」

「断片的だが、東哉が聞いた事は相手は多分、能力者をターゲットにしてる可能性が高い」

「どういう事? 僕には無差別に感じるけど」


拓海が疑問を口に出す。その答えは簡単だ、声は『無敵の能力』と口に出したからだ。


「普通の人間相手なら能力者ってだけで過剰なんだ、攻撃性のない識者の能力者でも励起法は使えるだろうが。無敵の能力って言えるって事は相手も能力者の可能性が高い」

「なら、それを総合するとその声の主の標的は能力者って事だ…俺はともかく拓海だった場合は危険だな。」

「そう言う事だ」

「うー…解ったよ。僕も協力するよ、調査なら僕の能力が適任だろう? ただし、これはそいつの為にやるんじゃないぞ、誠一や莉奈さんが帰ってきた時に安全に過ごすためだかんな」

「ツンデレか」


などとワイワイやりながら3人は話を進めていく。それを黙ってみていた東哉は顔を引きつらせながら呟いた。


「居場所がない…」

「そう言うなって、お前のお陰で危険人物が炙り出せたんだ。仲良くやろうぜ。」

「水上…」

「そうだ、東哉。誠一と一度、手合わせしてみろ。こいつ能力者の中じゃかなり強い方みたいだから、いい経験になる」

「えっ?」

「誠一、殺ってしまえ」

「拓海、俺の手を汚させるなよ」


そうしてなし崩しに、話は進んで行く。東哉の不憫と共に。


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