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いつもの日々に  作者: ルウ
幕間 学園都市
21/175

学園都市 前編

能力者。

世界人口の約10パーセントと言われる超常の力を操る者の総称である。

超常の力は大小・様々であり、千差万別と言われるぐらい種類が多いが大まかに分けると三種類である。


一つ、感知型の能力者『識者』

森羅万象を細分化し、彼等彼女等のフィルター越しに世界を識る者たちの総称である。

二つ、操作型の能力者『導士』

あらゆるモノを操り、世界の流れを導く力を備えた者たちの総称である。

三つ、法則型の能力者『法師』

世界の法則を定め、法則を支配する神に最も近い絶対者の総称である。


この三種類の能力者の総数は世界人口の約10パーセントではあるが、そのほとんどは覚醒していない状態か、もしくは幼少期から覚醒しているが生活している中で自覚していない状態の為に使いこなせるのは能力者総数の100分の一と言われている。




「導士で一番多いのはこの『パーツ』と呼ばれる体の一部を増強する能力者で…」


大きな講堂の中でスーツ姿の男の講義が、備え付けられたスピーカーから流れるチャイムに止められる。

男はため息交じりに手元の資料を閉じると、教団に置いてあるノートパソコンを操作しでスプレイ型の黒板の電源を落とす。


「次回は能力者の力の強弱の物差しの章から始める」


男はそう言い残すと、講義室を立ち去る。それに合わせるように生徒たちはそれぞれ動き出した。

その中でも講義室の生徒席の一番後方で一人の少女が頭を抱えて突っ伏していた。


「なんか思ってたのと違う」


只今、逃亡中…? いや、潜伏中の菊理莉奈である。自分でも今何をしているのか全然わかっていない状態の彼女は今、一企業のサイファグループが築いた学園都市の中にある専門科練の中の更に特別な講義に出ていた。

「莉奈ちゃん、付いてこれてる?」

「私達より二つぐらい年下だっけ?大変よね」

「は、はは。私が望んだことですから…」


あの日あの街中で能力を使い、逃げ出した研究所からの手が伸びるのを恐れて逃亡するのを選んだ莉奈。逃げている途中で天子に匿われ、その時紹介された男、名を三剣みつるぎ 風文かざふみと言う彼に連れられサイファ警備保障の呼ばれる警備会社の地下で二・三日近く匿われた。その間、事情を聴かれたりトレーニングエリアで体を鍛えたりしていたら、再び風文が現れてこう言ったのだ。


『君は年齢的にも知識的にも未熟だ。それは能力者的にも未熟という事だ、だから勉強のついでに講義を受けてきなさい』


と言われてそのまま電車を乗り継ぎ行くこと四時間、このサイファ学園都市にたどり着いた。

高見原と言う町で隠れ住んでいた莉奈が知らなかった事だが、ここ十数年能力者の数が激増しているらしい。先ほど聞いていた講義によれば、以前の能力者の数は世界人口の約五パーセント超すか超さないかぐらいだったがここ十数年で倍の10パーセントに上がっているらしい。この数は明らかに異常。その所為で裏表の世界そろって不可解な事件が連続して起こっているという。

調べてみれば、不可解な事件や犯罪のほとんどは未成年の未熟な能力者たちが引き起こしているのが分かった。それは能力を制御できずに暴発させたり、強力な力を突然自覚した途端に気が大きくなったのか無軌道な行動を取る若者が多かったのが調査して解ったのだ。

この事態を重く見た裏の世界の住人たちは、この状態を打破すべくある手段を取った。能力者による組織を作り、その組織による教育機関を作るという事だ。

それに賛同したのが同じく裏の世界に置いての古くから続く能力者たちが運営する研究機関達だ。ヨーロッパの大英博物館の収集機関、地中海の海底に存在すると言われるアレキサンドロ図書館、中東のバベル、東アジアの崑崙。そして一番新しい日本のサイファ学園都市。

ここまで語ればわかるだろう、このサイファ学園都市は専門分野を教育すると言う表向きの顔を隠れ蓑にした、能力者たちを教育し社会生活とどう付き合っていくかを教える場所である。


「本当に大丈夫ですよ松隈さん、稲葉さん」


この学校に入ってきた少女に興味津々なのか、二人の女性が莉奈に話しかけていた。

見た目はどこでもいるような女子大生だが、この場にいるという事は能力者である。自分以外の能力者、しかもこんなに沢山の能力者に莉奈はここに来てから終始戸惑ってばかりだった。今までの生活では、能力者であることを隠し見つかる事に怯え、莉奈は抑圧された生活を送っていた。しかしここでは、能力者の事を隠さず学び、同じような人たちに囲まれ気を使われる。


「私、ここに来れてうれしいんです。色んな初めてがあって、生まれて初めて心から安心できたんです」

「莉奈ちゃん…」


その言葉に松隈と呼ばれた女性は、莉奈の今までの生活を想像して少し涙ぐむ。


「莉奈ちゃん、もういいんだよ我慢しなくて。私がついてるからっ。何かあっても私がこの能力『凍みる雨』で氷の驟雨を降らせてやっつけるんだから」

「相手下手したら死ぬからやめなさい。とはいえ撃退するのはありかも、私の能力『虚ろの空』なら一撃だから」


なんとも物騒な会話であるが、莉奈は心の温かさを感じ、少し笑った。


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