表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
いつもの日々に  作者: ルウ
実験No.1 結び神
120/178

Serial Experiments 分析とターニングポイント

水底の安全地帯、そこでは魔方陣の中心に座り込んだ拓海が周辺の精神波を探知しながら携帯電話を扱っていた。

それを見た斎が連絡用のヘッドセットを外して拓海に尋ねる。


「同時に聞いて頭痛くならないか?」

「大丈夫。この能力が発現した時に無意識に長時間使ってたらしくて、大分慣れたんだ。聞いた話だと能力者は能力を使えば使うほど最適化され効率よく使えるようになるらしいよ。」

「使えば使うほどか…。それより携帯で一体、何を見ているんだ?」


拓海は携帯の音量を上げ、画面を斎に見せた。そこには数人の覆面を付けたテロリストが、犯行声明を上げた動画だった。


「…なんか、TVで見た事があるテンプレの様な声明だな。」

「確かに…ニュースに出てるような声明文。だがテンプレの様なこの説明は…桂二が言う様に多分…別の目的を隠す様だね。」

「別の目的か。」


桂二は拓海に一通り話をしていた。今回のテロリストの一件は目的が別にあるんじゃないかと。


「美波は人の心の声が聞こえるらしいが、何か解るか?」

「…さっきから聴いているんだけど、解らないんだ…。」

「どう言う事だ?」

「今まではラジオのスピーカーみたく聞こえてたんだけど、今回は酷いノイズで声は聞こえるけど内容が解らない感じなんだ。」


拓海の固有能力『レディオリスナー』は周囲の人間の精神波を集め受信する事によって、人間の思考を読み取ることが出来る。この関係は電波を出したラジオとそれを聞く人間の関係に似ている為、拓海はこの固有能力を『レディオリスナー』名付けた。

だがその関係から何かの妨害があると、この様に能力で聞けなくなるのだ。


「という事は、何かしらの妨害があるという事だな?」

「そう言う事だね。ただ、聞こえないとかじゃないところ見ると普通の妨害じゃない…この感じは。」


そう言って拓海は耳を澄ませる様に目を閉じる。


「…うん。やっぱり動いている奴の精神波は解るけど、言葉としては聞こえない。何て言えば良いかな、大きな音が近くにあって声が聞こえない感じかな?」

「会話している時に隣で騒音をたてられたら聞こえないって感じか?」

「そうだね、それに近いかな? そしてその中心は多分。」


拓海はそう言って再び携帯電話に目を戻す。そこにはループして何度も流れる犯行声明。

その動画の声明を言っているテロリストの端側に映る、白い病院服の少女の後ろ姿が見切れていた。

拓海はそれを拡大して斎に見せる。


「この状況においてとても不自然な服装だ。確かにそれは可能性が高いな。」

「可能性は高いって事だけだよ…ん? 香住屋さん連絡してくれ、東哉がそれ以上進むとかち合う!!」


話している間、東哉の進行方向に巡回している傭兵が近づいて来ている事に気付いた拓海が斎に警告を出す。

拓海の脳裏には東哉が出す精神波と傭兵が出す精神波が近づいていた。




それに気付いたのは拓海からの連絡が来たと同時だった。建物の角を曲がる直前、能力者の神域に引っ掛かった存在に東哉は気付いた。

東哉は慌てて生垣の陰に隠れ、能力を使い来た人間に見つからない様にアスファルトに穴をあけ隠れる。

暫く潜んでやり過ごすつもりだったが、足音と神域にはまだ引っ掛かったままだ。


「動かない?どうしてだ?」

『倒すなよ、気付かれたらアウトだ、何かあったら人質に危害が加わるかもしれん。』

「人質? 何か解ったのか?」

『さっきそいつらの犯行声明がWEBに上がった。刑務所に囚われている仲間の解放と引き換えと逃亡資金、逃走用の車両と飛行機の手配だそうだ。』

「なんて奴らだ…倒してしまって気付かれたら人質が不味い…。どうすればいいんだ?」

『やるなら一気に、スピード勝負になる。もし何かあったとしても人質に手が出せない程に一気呵成に詰めないと。』

「スピードか…だけど俺一人じゃ無理だぞ…。」

『それに対しては今さっき桂二から一つ連絡があった。『花』を探せって。』

「花?」

「なるほど、こっちに探りを入れているのは君たちの仲間だったか。」


突然聞こえる第三者の声、一瞬固まる東哉だったが周りを見回すが誰もいない。


「こっちだこっち。」


少し気だるげな声をする方、足元を見れば。いつの間にかに掘った穴に入り込んでいた小さく細い狐のような頭を持つ生物がいた。


「なんだ? 動物!?」

「最近のサブカルを考慮すれば、使い魔って奴だ…気にするな。」


よく分からないと首をかしげる東哉に、若者とのコミュニケーション間違えたか?と管狐が頭を項垂れている。


「最近の若者とは話が難しい。」

「何か落ち込んでいるところ悪いけど、あんた何なんだ?」

「言ったろ? 使い魔、他にもファミリアとか使役霊とか…式神とかそれの仲間だよ。」

「式神!!そっちは知ってる。」

「そっちは解るのか…最近の子は解らん。」


落ち込む管狐。ちなみに解るのは桂二が使っているからであって、最近サブカル方面で流行っているからではない。


「それよりも、お前ら今『花』を探せって言っていなかったか?」

「え、俺と斎の声が聞こえていた?」

「この管狐は元々修験道の呪術の一種でな…情報収集に長けてるものなんだ。だから、骨伝導の音波も聞き取れる高性能なんだ。それで、花を探しているなら…多分俺だ。」

「どう言う事だ?」

「…俺の職業的には明かす事は、本当は出来ないんだが…そっちにいる俺と同じ式神使いにはバレている上に、ちょっと不味い事になっていてな。君たちに協力を仰ぎたい。」


小さい狐の顔で苦虫を噛みつぶした顔をするなんて凄いなと東哉は思う、それ以上に彼は一体何なんだと疑問が浮かぶ。

その疑問は足元の管狐がすぐに解消する。


「俺はこんななりだが人間だ。所属は内閣情報調査室、秘匿されている六番目の課。通称『六花機関』の潜入捜査官だ。」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ