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いつもの日々に  作者: ルウ
実験No.1 結び神
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Serial Experiments 作戦と現状把握

「その方向性で行くなら桂二のアドバイス通りやるしかないな。」

「何かあるのか?」

「助けると言ったら教えてやれって、言われてたんだ。まず絶対守る事は見つからない事、痕跡を残さない事だね。その為には、この札を管理室に紛れ込ませろってさ。」


そい言って拓海が一枚の短冊形の紙を取り出す。そこにはビッシリと図形と文字が描かれている。


「えっと、急急如律令? どういう意味だ?」

「しらない。僕も説明を聞いたんだけど、全然解らない。儀式をプログラム言語にして作り替えた特別製の式って解る?」

「…なんとなく? けどそれは凄い事なんじゃないか? 儀式って昔からある技術だろう?」


とある『儀式』研究家の言葉を借りるのならば。儀式とは能力者の固有能力の模倣であり、固有能力を使う計算式の一部を抜粋したものとされる。

そう計算式だ。

計算ゆえにその力はプログラムとして扱える事が出来ると考えた人間がいた。

儀式の内容を細分化し、数値化する事によって既存の儀式を改造できるようになったのだ。


「何となく解ったが、これはどんな効果があるんだ?」

「話によればこの札は電子機器に同化して乗っ取る力があるらしい。これを管理室に入れてここの映像を改竄するらしい。」


そう言って東哉にその札を数枚渡す。


「俺出来るかな?」

「出来る出来ないんじゃないんだよ、やれ。今から僕はここに、以前学校でやった陣地を構築する、香住屋さんはそれの手伝い。それともお前は彼女に危険な事をやらせるって事か?」

「やらせねーよ!! 斎にそんな事をさせるかよ、どこにこれを持っていけばいいんだ?」

「待て。香住屋さん、話に聞いたけど君は水を操る能力だったよね?」

「ああ。」


拓海が鞄から取り出した紙を広げて見せる。そこには様々な色を塗った幾何学模様の陣が書かれていた。


「これは学校の事件の時使った僕の能力、補助・拡大の為の魔方陣だ。これを設置する、安全な場所はあるか?」


それから三人は作ったトンネルを引き換えして、池の中に作った安全地帯で陣を作る。まず最初に色を付けた水を作る、それを斎に渡して魔方陣の設計図通りに作ってもらう。


「おー、凄い楽。この間はこれ描くの三時間かかったからなー。事前に色を作って能力を使ってやったら一瞬とか凄いね。」


拓海が言った通り、色が付いた水が斎の意思に従って生き物のように動き指定された場所に色を付けていく。全部の種類の色水が一瞬にして魔方陣を構築していった。

これで場が整った。


「僕はここで情報収集して逐一教えていくよ。香住屋さん、パンフレットはあるかい?」

「あ、ああ。ここにある。」


そう言って斎は今日遊園地を遊ぶためのパンフレットを広げると拓海に渡した。


「これを見ながら東哉の動きを教えるから、君が指示を出してくれ。お前はそれでいいな?」

「ああ、解った。それで俺はまず管理室に行けばいいんだな?」

「桂二からの話からば、そう言う事みたいだね。さあ行くんだ!!」

「…なんか俺、自動で動くロボットとか悪の組織の手下みたいだな…。」




とある場所に向かうトラックのコンテナの中、三人の男女が寛いていた。

いや正確には二人の男女が寛いでいて、一人の男がとても忙しそうに三台あるディスプレイの前でキーボードを打っていた。


「桂二、手伝える事は無いか?」

「ないな、むしろ邪魔になるから寛いで英気を養っておいてくれ。」

「そう言われてもねー、桂二君が忙しそうにしていたら気になるでしょ?」


トラックのコンテナの中は以前、莉奈と天子が依頼で移動する時に使ったモノと同型のものだ。違うのは応接セットとは別に、PCデスクに三台のディスプレイとハイエンド型のPCがある事だ。


「それに斎ちゃんと東哉君がテロに巻き込まれたんでしょ? 気になってしょうがないよー。」

「…それもそうだな。まあ、俺は作業しているからそれを聞いて欲しい。東哉達と今連絡がつかなくてな。」

「連絡がつかない? どう言う事だ?」


今回桂二は鳥型の式を数十匹放っており、周囲を囲って数匹を上級から監視させてはいる。いつもの事ならば情報収集させて連絡を密に取り合って盤面を有利に進めていくのだが、今回はちょっと問題があった。


「俺と同じ式神使いが相手にいるらしくてな、下手に動くと相手に東哉達の事を察知されかねないんだ。」

「それはマズいんじゃないの?」

「マズい。それはもうマズイ、その所為で相手の式神と潰し合いをしてる状態なんだ。」

「東哉達は大丈夫なのか?」

「大丈夫だ。電波障害がある前に香住屋さんが機転を利かせてメールを打ってくれたから何とかなった。だが、今回は今の件を片付けるまであっちにリソースが割けないからな、何とか凌げる様に支持を出しているんだが。」


そう言ってはいるものの、ディスプレイの一台には上空からの遊園地の画像と地図が映し出されている。

そしてもう一台には顔写真が数枚。


「その顔写真は何だ?」

「今回の主犯らしき奴らだ。宗教団体『救世の手』の幹部であり思想犯として考案にマークされている儀式使いが混じってる。」

「凄い肩書だな…だけどそんなやつだったらテロリストとしては納得するし、たいそうな事をしそうだ。」

「それだけじゃない。この遊園地の場所と儀式使いの使う儀式が問題なんだ。」


幹部が使う儀式は風水師としての術。彼らの力は大地に眠る力を読み取り、扱う術に長けている。


「この遊園地は小さいながら龍脈…解りやすく言えば大地に流れるエネルギーの流れだな。それが噴き出す穴、龍脈の上に建てられているんだ。」

「うわ、聞いた事があるけどそれはマズいわ。龍脈ってこの地球が発生するエネルギーの流れでしょ?そんな巨大なエネルギーを小さいながら扱えるって事なら…とんでもない事をしそうね?」

「その通りだ。ちょっと今回はマズいかもしれない。今至急、うちの調査班に対抗策を練ってもらってるけど…相手の目的が解らないと、対抗しきれない…。」

「大丈夫なのか?」

「ああ、その為の拓海だ。相手の動きを遅延させるための策は渡して、あいつに情報収集をしてもらう。だから二人にお願いがある。」


桂二はキーボードを打つ手を止めて二人に振り返る。その目は真剣な目だ。


「何としても俺等の作戦を早く終わらせて、とんぼ返りしないといけない…だから、お前らに負担をかけるかも知れない。無茶な作戦で行くけど、頼めるか?」


その言葉を聞いて、誠一と天子は笑って言った『任せろ』と。


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