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いつもの日々に  作者: ルウ
実験No.1 結び神
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Serial Experiments 世界の始まりと魔の手

世界の始まりは、神話や言い伝えなどで色々な形で描かれる。

例えばとある国では世界はカオスと呼ばれるモノから生まれたと言われたりする。他にも死んだ神の死体から生まれたり、卵の中から生まれたり泥から生まれたり

この国においては日本書紀から引用すれば、初めは混沌としたモノがあり軽く澄んだ物が上へと集まり、重く淀んだ物が下へと集まった。軽く澄んだ物が天となり、重く淀んだ物は大地となった。これが俗に天地開闢と言う。




「ふーん。俺この国の神話を初めて知ったな。」

「自分の国の簡単な神話ぐらい覚えていなさいよ。ちょっとこの国に興味がなさすぎない?」


展示用のパネルを眺めながら東哉が呟く。ここは高見原の南、電車で30分ほど離れた隣町にあり敷地面積は300万平方メートルの広大な敷地を誇る複合型の巨大テーマパーク神野オレンジパーク。敷地内には色々な施設やアトラクションがあり、施設はゴルフ場・温泉・サッカースタジアム・ホテルなどが入っている。中は博物館や美術館なども入っており、地域活性化にも一役をかっていると言う。

そんな施設の中の一つ、神野国立博物館に二人はいた。


「にしても、遊園地じゃなくて良かったのか? 向こうの方が面白いと思うんだけど。」

「あー言うところは何時でも行けるけど、今日のここの展示は来たかったんだ。」

「ふーん。斎は真面目だねぇ。」


自分には理解できない趣味だなと考えながら、展示物を眺める東哉。

入り口の紹介とテーマを流し読みしながら、一つづつ眺めていく。

ここの企画展示室は『世界創造神話』だ。


「世界創造と創世? どう違うんだ?」

「そこに書いてるだろうが。世界を神が作ったのが創造神話、世界が出来てからの流れが創世だって。」


企画展示室のマップを見れば地域における創世と創造、その種類などが書かれていた。


「ふーん。」


展示物を見ながら東哉は思い出していた。桂二が言うには能力者は神の末裔であり、今に生きる神の一人であると。

そうやって見ると少し興味が出てきた。そうやって少し楽しみながら見て回ると、日本の神話の区画になる。


「こうやって見るとなんだか日本の神だけちょっと異質だな。」

「異質?」

「数が多いのもそうだが、他の国の神と違って分類が細かい。…私達、能力者の様にな。」


そう言って斎は他の客に見えない様に、指の間に手品の様に挟んでいる水の球を見せてきた。斎の能力者覚醒の話はこの間、修業から帰ってきて聞いたばかりだった。あの時はとても驚いたと思いながら、斎の言う事に同意する。桂二から聞いてた東哉と違い、その話を聞かないでそれに考え付いた斎は凄いなと東哉は思った。


「…もしかして、神話は能力者の歴史なのかもしれない。…なんてね、そろそろ遊園地の方に行こうか東哉。とても退屈だしね。」

「ばっ、退屈じゃねーよ。俺だって知的な話くらい出来るぞ。」

「フフッ。はいはい、東哉は少年の心を忘れないよね。」

「それって俺が子供っぽいって事かーっ!!」


二人はワイワイとじゃれ合いながらその場を去る。




真っ暗な閉塞した部屋の中で、大勢の人間が集まっていた。

その人数は約50人近く、彼らの服装は揃っていなかったがコンセプトは一緒だった。

タクティカルベスト・マスク付きヘルメット・ホルスターに入った拳銃、そして自動小銃。

普段静かで薄暗いその場所は、物々しい雰囲気の空間と化していた。

その部屋の端で一人だけそのコンセプトにはずれた男がいた。部屋の隅で座る和装の男、他の人とは違いあからさまな装備もなく、あるのは肩に立てかける様に抱えたただの一本の棒だけである。

その出で立ちに妙な空気を感じたのか、周りにいる人間は話しかけたりもせず遠巻きに見ていた。

しかし、そんな男に物好きな男が一人近付く。


「よお、兄さん。珍しい恰好してるな。」

「なんだお前は。」

「いやいや、今回の仕事で一人だけ妙な男がいれば気になるだろ? それに今回の依頼が依頼だ、こういう時は情報収集が大切ってね。」


男は他の人と同じような装備に迷彩色のスカーフを付けた何となく軽薄な男だった。口元はスカーフで隠れているが声色と喋り方で、チャラチャラして笑っている感じがしていた。

その男は握手を求めるように手を出すと、だれも頼んでないのに自己紹介を始める。


「俺の名前はバルトロメウ・シルバ。この業界じゃ名の通った傭兵だ。」

「自分で言うか…。」

「ぶふ、ははっ。正直に言ってくれるねぇ、だれも言ってくれないから自分で言ってるだけさ、バルトロメウって言いにくいならバルトだけでいいぜ」


ハハッと軽薄に笑う男と出された手を一瞥すると、棒を持った男は呟く様に答える。


土小路つちこうじ 有為ありため、しがない式神使いだ。」

「おー、式神ってあれだ。俺、日本の映画で見たぜ、二本指で口に当ててなんやかんややるやつだろ!!」

「なんやかんやって…ああ、あながち間違いじゃないが。俺は映画みたいな事は出来ない。期待させたところで、何もできないぞ。」

「いや、そんなつもりじゃなかったんだが…。」


どうもバルトは興味本位で近づいてきたと思った有為はすげなく対応するが、そんなつもりじゃなかったバルトは妙な反応を返して有為に見えないが微妙な顔をしてしまう。


「あんたも知っているだろけど。今回の依頼は、この国では…。」

「またせたな、これから君たちに仕事の話を始めさせてもらう!!」


バルトが話をしようとしたその時、部屋に数人の男と一人の少女が現れた。

リーダー格であろう男とそれに従う数人の男達、その男達に囲まれている病院の入院患者が着る病衣を羽織った目が虚ろで立つのがやっとな少女が一人。


「今回の仕事は今からの行く場所の制圧と、拠点の構築。その後に我々の実験をする為、私達の邪魔をする者たちを排除する仕事だ!!」


朗々と狂った笑みで語る男。

その内容は、その表情と同じように狂った内容だ。


「この実験は我々『救世の手』が、世界を救うための第一歩となる!! これは崇高な使命であり、神より与えられた命題である!!」


男が語る組織の名にバルトは顔を引き攣らせ、有為は諦めたかのように溜息を吐いた。


『救世の手』。

それは、世界を救うために手段を選ばない、日本においてテロリスト団体と認定された世界に知られた悪名高い宗教団体だ。


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