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【完結】流星を放つ鷹【鷹の眼の射手】  作者: まっしゅ@
第五章 邂逅と別れ

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90/200

第八十五射目

 珍しく月曜に更新です!

 祝日だし、暇つぶしのお供にどうぞ。


 ここからシリアス展開に入っていきます。

 内容がジェットコースター並みに動きますが、なるべく分かりやすく書いていこうと思いますので、応援よろしお願いします。

 翌日、予定よりも遥かに早く遺跡の調査を終えた仮眠中のロビンさんを除く僕達は、朝食を取りながら今後の事を話し合う。

 それにしても先程までお説教を喰らっていたせいで僕は今、とても眠い…………。

 足の痺れもまだ取れてないし…………。

 何故ソーラさんはあんなに元気なんだろう。


「ユウリ、本日からはどうするんだ?陛下より依頼された遺跡の調査は終わったのだろう?」

「そうなんですよ。遺跡の内部を全て調査した訳では無いですが、正体が分かったのでその事を報告すれば多分問題無いかと」

「この島自体も見て回ったが、特に何も無かったからこれ以外調べる事も無さそうだ」

「一応二週間の予定だったのに、まさか二日で終わって、しかも大精霊様とお会いするおまけ付きとは……。流石ユウリだね」

「それ褒めてます?」

「どちらかと言うと水平の彼方までドン引きしてるかな?」

「それは引き過ぎでしょう……」


 水平の彼方は言い過ぎだけど、確かに海に潜って帰ってきたら大精霊様とお話してて帰りが遅くなりましたなんて聞かされたら僕もドン引きする。

 そうなるとリックさんの比喩はあながち間違いではないんじゃ……。


「やらなきゃいけない事は終わったけど、まだ休みがあるならもう少しゆっくりして帰らない?ユウリは侯爵になってからずっと働いてたから休む暇も無かったでしょ?少しは休ませてあげたいし……」

「ん?僕は大丈夫だよ?戻ったらやる事も残ってるし」

「だ・か・ら!休みなさいって言ってるんでしょ!?ユウリって誰かが声を掛けないといつまでも何かしてるんだもん!」

「ははは……。つい…………」

「ユウリがやるべき事は多いだろうが、ちゃんと休まないと部下や従者も休み辛くなるぞ?『侯爵様が働いているのに我々が休む訳にはいかない』とか言って」

「それは良くない。僕は良いけど、皆は休まないと」

「ユウリも駄目に決まってるでしょ!」

「真面目だね、ユウリは。まるで先輩みたいだ」

「リックさん、それはどちらにたいしても失礼では?」

「そうかもしれないけど、抜ける時に抜いとかないと続かないよ?そんな人程、大事な時にヘマしちゃったりするんだ」

「……はい、肝に銘じておきます」

「うん、よろしい」

「なんか…………リックさんにまともな事言われると何故かモヤッとしますね」

「それこそ失礼だからね?」

「それはお前の日頃の行いのせいだ。反省しろ」

「副隊長まで……」


 やらなきゃいけない事も無いので、朝食後もダラダラと談笑を続けていた。

 途中ロビンさんが戻ってきたところで、フランが浜辺を見たいと言い出した為、皆で向かう事にした。

 特に何がある訳でも無いが、昨日ゆっくり眺める暇が無かったので丁度良かったかもしれない。

 大陸と逆側の浜辺に着くと、見渡す限りの大海原が飛び込んでくる。

 更に、加護で視ても何処までも続いている。

 ここにも大昔は大陸が続いていたのかと、昨日の話を思い出して感慨に耽ける。


「ここも昔は陸だったんだよね……。信じられないなぁ……」


 フランも同じ事を考えていたらしい。

 ウンディーネ様から聞いた話は、この世界の常識を根底から覆す様な話だった。

 うっかり口を滑らしてしまえば、教会からは即刻異教徒認定され、周りの人間からのどんな目で見られるか分かったもんじゃない。

 一緒に来てくれた三人には話したが、こればかりはノイ様含め誰にどこまで話すかを慎重に決める必要がありそうだ。


「ん?あれは……?」

「どうしたの?」

「まだ遠いけど、船が近付いてきてる」

「迎えにしては早いから漁船?」

「いや、違う。フラン、悪いけど皆を呼んできて」


 アリアから一直線にこちらに向かってくる一隻の船。

 船に乗る二人の乗組員からは焦りの表情が視て取れた。


「どうしたんですか?とりあえずこれを飲まれて下さい」


 風の魔法を使って全速力でここに来たのか、船頭さんは魔力切れで顔色が悪い。


「も、申し訳ありません。有り難くいただきます」

「少し休んでいて下さい。それよりもまだ予定より早いですが……」

「そ、それが……。王家の方々が暗殺―――」

「暗殺!?ルナは!?ルナは無事なの!?」


 ソーラさん達を呼んできてくれたフランの耳にも届いたのか、いの一番に親友であるルナの心配をし、その後ろで聞いていた三人も表情を曇らせる。


「落ち着いてフラン、話を聞こう。すみません、続けて下さい」


 ルナが心配なのは僕も同じだが、ここで取り乱して話を遮る訳にもいかない。

 一応この中で一番身分の高い僕が代表して対応する。


「は、はい。暗殺自体は未遂に終わりまして、皆様無事です」

「それで?犯人は分かっているのですか?」

「申し上げにくいのですが……。現在首謀者であろう第二王子のエドワード様が行方をくらましております。話を聞いたところ北へと向かったらしいのですが…………」

「北へ……!?それに何故第二王子首謀したと?」

「詳細は聞き及んでおりませんが、他の王家の方々が暗殺を仕掛けられた際には既に王都を出ていたみたいです。そんな予定はおろか、真夜中にその様な事をする筈が無いと……」

「状況的にそれが一番濃厚か……。それで?何故ここに?報告の為だけに来た訳じゃありませんよね?」

「はい。昨夜事件が起きてから、陛下からの指示で日が昇る前に騎竜にて王都からアリアへ。その後船頭に頼んでこちらに参りました。ホークアイ侯爵閣下に陛下からの勅命がございます」

「言ってください」

「はっ。『ホークアイ侯爵。現在、シンフォニア王国第二王子であり、余の息子でもあるエドワード=フォン=シンフォニアに王家の殺害を企てた容疑が掛けられている。卿はこの話を聞き次第、至急王都に参上されたし』との事です」

「……分かりました。急いで向かいましょう。フラン、予定を切り上げてアリアに戻っておいて。ソーラさんとロビンさんは拠点を片付けて下さい。必要最低限で構いません。船頭さんは少し休んだ後、皆をアリアまで送り届けて下さい。追加の報酬をホークアイ侯爵家からお渡しします。そしてリックさんは―――」

「王都まで連れてけ。だよね?任せてよ、侯爵閣下」

「ありがとうございます。騎竜隊の方、ロードランナーはどちらに?」

「申し遅れました。私はモリアと申します。私の騎竜は魔道具の中に入ってもらっていますので問題ありません」

「ではモリアさん。僕とリックさんと一緒に、直接王都に向かいましょう」

「かしこまりました」


 僕の指示で皆それぞれの支度を開始する。


「ユウリ、私も一緒に行っちゃ駄目?」

「フラン…………」

「ユウリの邪魔しないから。ちゃんと言う事聞くから……」


 本音を言えばフランが一緒に来てくれるのは嬉しいし、心強い。

 だけど今回ばかりは、侯爵家当主として心を鬼にしなければいけない。


「フラン、悪いけど君を連れていく事が出来ない」

「ユウリ…………」

「本当は一緒に来てほしい」

「じゃあ……!」

「でも、それは出来ない。邪魔だなんて思わないし、むしろ心強いとまで思う。けど、僕はホークアイ侯爵家当主になった。当主として、フランを連れて行く訳にはいかない」

「そう……だよね…………」

「だから、誰よりも信用しているフランにお願いしたいんだ。僕の代わりに僕達の家を、アリアを守ってくれないかな?もし北が動いたなら、アリアにも被害が及ぶ可能性もある。その時に僕とフランの両方がいないとなれば、大変な事になるかもしれない。勿論、不沈艦の皆も信頼しているよ?それでも僕はフランにそれをお願いしたいんだ。それじゃ駄目かな?」

「そんな言い方されたら断れないじゃん。狡いよ、ユウリ……」

「ごめんね」

「ううん、大丈夫。私が我が儘言っただけだから。ユウリの信用に全力で応えるよ!」

「でも無茶だけはしないでね?」

「単独で竜に立ち向かうユウリよりは無茶なんかしないよ?」

「それを今ここで言うかな?」


 どちらからとも無く、両手の指を絡ませて握りながら、二人で笑い合う。


「イチャイチャするのも良いけど、そろそろ皆準備出来るよ?お二人さん」

「「っ!?」」


 急に掛けられた一言で急いで離れる僕達。

 それを見てリックさんは苦笑しながら話を続ける。


「続きはユウリが帰ってきてからゆっくりお願いしますね、お嬢様」

「あ、あの…………はい……」


 顔を真っ赤にして、俯きながら答えるフラン。

 それを見てると僕まで恥ずかしくなってきた。




「じゃあ行ってくる!フラン!皆さん!後はよろしくお願いします!」

「うん!任せて!気を付けてね!」

「あぁ。こちらは任せてくれ!アリアもお嬢様もしっかりお守りする事を誓おう!」

「命を懸けて使命を全うしよう」 

「今回ばかりは先輩の真面目さが頼もしく見えますよ!じゃあユウリ、モリア殿。飛ばしますんで、しっかり捕まっていて下さいよ!」


 リックさんの黒い飛竜(ワイバーン)(名前はクロらしい。そのまま過ぎないか?)に乗って、僕達は最短最速で王都を目指す。



 この時の僕は知らなかった。

 この選択を後悔する事に。

 侯爵になり、陛下からの使命を優先し、元の自分の想いを忘れてしまっていたのかもしれない。

 自分のこのちっぽけな手で出来る事なんて限られているなんて分かっていた筈なのに…………。

某調教術師の団員さん「元々黒い飛竜には名前は無かったんだけど、一々呼ぶのも長いからとりあえず黒って言ってたら、いつの間にか自分の名前をクロって勘違いして覚えちゃったみたいなんだよね。頭が良いのか悪いのか……」

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