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【完結】流星を放つ鷹【鷹の眼の射手】  作者: まっしゅ@
第五章 邂逅と別れ

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第八十三射目

 少しややこしい話になります。

 書いていて矛盾が発生してないか凄く不安な作者です。

 ウンディーネ様はオスリア大陸の事を教えてくれた。


 太古の昔、何も無かったこの世界に神が強い力を持つ二つの生命を創り出す。

 しかし何故か二つの生命の内、片方が更に二つに別れた。

 黒の生命と白の二つの生命、これがこの世界の始まりの命。

 その三つの生命はお互いに協力して、様々な生物。創り出した。

 まず初めに強い魔力に魂を宿して創った生命を。

 それが今現在も存在し、目の前にいる大精霊。

 その大精霊はそれぞれの力を使い、無の世界に光を灯し、影を落し、海を広げ、大気を流し、大地を創り、火を起こし、木々を芽吹かせた。

 そこに小さな生命の欠片を振りまく。

 それはやがて竜となり、獣となり、虫となり……最終的には自分達とそっくりの命を創り出した。

 黒の生命の力を分け与えられた、黒の魔力を持つ魔族。

 白の二つの生命の分け与えられた、白の魔力を持つ天使。

 それぞれが我が主の使命を守り、更に生物を生み出した。

 数百年の時が経ち、天使の白の魔力を色濃く受け継ぐエルフが生まれた。

 更に数千年の時が経った頃に黒の魔力を色濃く受け継いだ生物、魔物が生まれた。

 そこから更に数万年が経った頃になると、白の魔力も黒の魔力も持たない無の魔力を持ち、その一つ一つが種の特徴を持つ同系統の生物、人間が生まれる。

 この時はまだ見た目や種族を気にする事無く、お互いに手を取り合って暮らしていた。

 やがて、大陸全土において一番の力を持つようになった。


 しかし、ある時に白の二つの生命がある事を考える。

『我らが生み出した白の魔力持つ者を黒の魔力を持つ者や無の魔力を持つ者が害さんとしているのではないか』と。

 実際に白の魔力を受け継いだのはエルフのみであり、そのエルフは天使に似て長命の分、個体数がとても少ない。

 その為、いずれはこの世界は黒と無の魔力しか残らず、我々の眷属は滅んでしまうのではないかと。


 そこで、白の二つの生命は地上より遥かに上、空の上に雲の大地を造り、そこに天使やエルフ達、白の眷属を住まわせてしまおうと考えた。

 だが、そこには問題があった。

 天使はまだしも、エルフは食料が必要となる。

 しかし雲の上には生物はおろか植物すら無く、いくら長命のエルフと言えど生きてはいけない。

 その為には大地に降りる必要がある。

 しかし、大地には黒の眷属と無の眷属が蔓延っており、既に白の眷属が降り立つ場所が無くなってしまっていた。

 その事に憤りを感じた白の二つの生命はその大地を奪うべくして、黒の眷属と無の眷属に戦いを挑む。

 戦いは熾烈を極め、数百年の間終わる事が無かった。

 黒の眷属である魔族は魔物の中でも自我を持つ生物と力を合わせ、奪わせるものかと必死に戦い続けるものの、無の眷属である人間達は、二つの眷属の圧倒的な力の前に為す術無く、ただただ終結するのを祈るばかり。

 その時に建てられたのがそれぞれの大精霊を祀る神殿だった。

 その戦いは大地の七割を海に沈め、数多くの生命を滅ぼしながら、白の眷属が勝利を掴み取る。

 しかし、失った大地と生命は戻って来る事など無く、何も生み出す事が無い、失う為だけの戦いだと気付いた白の二つの生命は、エルフを残った大地へと降ろし、天使を引き連れ雲の上に戻っていった。

 自分達の住処の殆どを奪われた黒の生命と魔族達は、残った大地の殆どを少ないながらも自分達と共に過ごしてくれた無の眷属へと譲り、何処かへ去っていった。

 これが今から数万年前に起こった天使と魔族の名も無き戦いであり、このオスリア大陸の歴史だった。




『そして、その戦いで沈められた大地にあったのがこの水の神殿です』

「そうだったんですね……」


 正直眉唾ものだが、悠久の時を生きる大精霊が言うのであれば、間違いないんだろう。


「でも、ミリアム教の教えでは、女神ミリアム様が魔族からこの大地を守る為に戦ったと伝えられていますよね?」

『ミリアム教の始祖はエルフです。白の眷属であるエルフは無の眷属である人間を味方に付ける為に事実を隠して、後世に伝えていったのでしょう』

「そんな……」

『今では人間の中でも純粋な無の眷属の子孫、所謂人族を頂点とし、少なからず黒の魔力を持つ獣人達を差別しているのはその為でしょう』

「元は同じ人間なのに……」

『そうですね……』

「つまり、人族至上主義は基本的に白の眷属かそれを崇拝する者、シンフォニア王国の様に他種族を受け入れている者は、黒の眷属か無の眷属でしょうか?」

『それは半分場正解であり、半分は間違いです。白の眷属はそうかもしれませんが、それ以外は元の大地の姿、つまり本来の黒・白・無の眷属が共存する在り方が正しいと誰に言われずとも、心の中で理解しているんでしょう』


 遥か昔の事なのに、今の今までその考えが根付いているとは。


「知らず知らずの内に僕達も黒の眷属の命を奪ってしまっているんですね」

『魔物の事でしょうか?それでしたら、問題はありません。魔物は黒の生命が創ろうとして創った訳では無く、黒の魔力に共鳴した獣が独自に進化したもので、昔から討伐されていました。今の人間で言う害獣みたいなものです』

「それなら良かった……のかな?」

『はい、ユウリさんが気に病む必要はありません』

「あの、話が変わってしまいますが気になる事が……」

『何でしょう?』


 おずおずと、しかし何故か挙手しながらフランが質問をぶつける。


「私達が十歳で受ける神託の儀って一体何方から授かっているんでしょうか?」

「神託の儀?それは初めて耳にしました。どの様なもの何でしょう?」


 ウンディーネ様は神託の儀を知らなかった。

 長い間人族との交流が無かったのであれば、知らないのも無理は無い。

 永遠と等しい時間を生きる大精霊の昔は、僕達の昔と比較にならない事は先程の話で改めて実感した。


『成る程。今はその様なものがあるのですね。多分それは誰からでもありませんよ』

「「え?」」

『先程教えていただいた魔法陣は白でも黒でも大精霊でも縁の無いものでした。それであれば、答えは二つ。この世界を創造した神か、その個人が元々の持っている素質か』

「でも誰からでも無いって言われたって事は神である可能性は無いのですよね?」

『おそらく。神はこの世界を創造しましたが、その後は一切関わっておりません。それなのに、いきなり神託の儀だけ関わる事は考えにくいでしょう』

「となると、元々の素質しかない。と」

『はい。素質とは言いましたが、生物であれば遺伝もあるでしょうね。神託の儀という名前も白の眷属が教会の権限を強くする為に名付けたんだと思われます。神託の儀で授けられた属性以外に使えないのは単純に相性の良し悪しでしょう。その職種というのは剣が選ばれて槍が使えない訳では無い。剣よりは槍が苦手程度かと』

「つまり、加護はともかく職種は神託によって縛られてる訳では無く、ただの得手不得手とその思い込み……」

『その可能性が高いですね。事実、ユウリさんは弓使いなる下級と呼ばれる職種であるのに、その実力は世界一だと』

「世界一!?誰がそんな事を?」

『あら?マリンの記憶ではフランが『ユウリの弓の腕は世界一凄いんだよ!』と言っておりましたが?』

「フラン?」

「だって本当の事じゃん。ユウリの弓は世界一だよ」

「あ、ありがとう……」

『仲睦まじいですね、ふふっ』




 それからも時間を忘れて、昔の事や逆に今の事をお互いに教え合い、親睦を深めていった。

 何か忘れてる気もするが、気の所為だろう……。

 仲良い事は良い事。

 爆発しろ、リア充め!

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