表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】流星を放つ鷹【鷹の眼の射手】  作者: まっしゅ@
第五章 邂逅と別れ

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

80/200

第七十五射目

「まだあるの……?これ…………」


 本格的に夏を迎えたある日、僕は机の上の書類にひたすら目を通し続けていた。

 そう嘆いた僕がいるここは、ホークアイ家の屋敷の執務室。



 時は少し遡る。

 クランベイン団長がアリアに訪れ、僕が貴族に叙爵した日、そのまま陛下への挨拶の為に、使者の二人と共に王都へ向かって陛下へと挨拶の後にアリアへと戻ったのだが、驚きの連続だった。


 本来、馬車で片道一週間は掛かるその道程をなんと、三日で王都に到着した。

 方舟第三騎士団が誇る騎馬隊の中でも、精鋭部隊が率いていたのがその理由だった。

 その精鋭部隊が乗るのは馬ではなく、竜。

 正確には亜竜種の一種で走竜(ドレイク)種で、十数年前、二つの卵を持ち帰った団員が人工的に孵化させて、育てた事でその団員含む人間に懐いてくれた。

 それらを訓練した結果、騎馬隊ならぬ走竜隊が出来上がった。

 亜竜とは言えそこは竜種。

 リックさんの飛竜(ワイバーン)と同等とはいかなくても、馬など比べ物にならない速度と体力を持ち、馬車?竜車?を引きながらも馬の半分以下の時間で同じ道程を駆ける事が可能だ。

 勿論、個体としての強さもかなりのもので、襲撃の際には上位種の飛来で最初は使用出来なかったが、竜種を僕が射抜いてからは文字通り一騎当千に匹敵する活躍を見せていたらしい。

 その走竜(ドレイク)を人口孵化させた個体はロードランナーと呼ばれ、現在は雄雌合わせて二十頭、その内の四頭を使って今回の使者は来訪したらしい。

 贅沢が過ぎる。ってか、クランベイン団長の職権乱用では?


 陛下から正式に名誉侯爵への叙爵の宣言式と、僕の個人的な要望を承認してもらえるまで思ったよりも時間が掛かり、結局一週間王都に滞在した後、今度は馬車を使ってアリアへと戻った。

 出立間際、ウィルから『屋敷の場所や外観・内観はどのようにいたしましょう?』と聞かれたので、何も考えていなかった僕は『ウィルに任せるよ』と伝え、必要そうなお金と魔道具を渡し、そのまま何の指示もせず出てきてしまった。

 その時は『ウィルに任せたし安心だろう』と考えていたのが、正直甘かったと思い知った。

 いや、その考えは間違いなかったのだが、ウィルとその仲間達の入れ込み具合とその本気度を見誤っていた。

 アリアの住み慣れたの家へと戻ると、ウィルからある場所に案内された。

 そこは元々外壁の近くにある辺境伯邸と真逆の、海に面している何も無い筈の小高い丘だった。

 そう、何者丘()()()んだよ……。


 アリアから丘へと向かう道は綺麗に舗装され、その脇には民家が並んでおり、一部は住居付きの商店や武器・防具屋まである。

 そして、その丘の一番高い所には屋敷と呼ぶよりも砦と呼んだほうがしっくりくる建物が建てられていた。

 思わず、『何処?ここ?』と呟いてしまった。

 ウィルに『アリアですよ?』と言われたが、違う、そうじゃない。

 アリアから王都まで竜車で三日。

 王都滞在が一週間。

 王都からアリアまで馬車で一週間。

 ついでに、途中トルネネにも寄って顔見知りに挨拶回りもしていたのでその滞在が二日。

 合計二週と五日で何故丘までの道が小さな村になっているんだよ。


 その疑問の答えはウィルが自信満々に教えてくれた。

 僕に全権を任されたウィルはまずその場に居たマロさんに話を持ち掛け、手を組んだ二人は、土地を確保する為にそのままノイ様のお屋敷に向かった。

 その話を聞いたノイ様は今現在屋敷がある場所はどうかと提案してくれたんだと。

 何でも、防壁側の守りはディーセス家が受け持つので、海からの危険とと街全体の監視と防衛が可能な場所で防衛拠点を担ってほしいと。

 防衛拠点じゃなく自分の居住する屋敷だよ馬鹿野郎。

 更にそこまでの道の舗装を、ディーセス辺境伯家から正式にモイ商会へと依頼、その道中はホークアイ家が好きにして良いと言われ、二人共二つ返事で了承。

 あとはマロさんのお金と持ち得る全ての物と人材と人脈を総動員した上、ディーセス家の錬金の加護持ちや地の加護持ち・樹の加護持ちを呼び集め、一週間で丘までの道とその脇の民家を整備して建築。

 そこから、ウィルの公爵家で培った知識とまたもやモイ商会の力技によって、屋敷と言う名の砦が完成。

 あとは今現在確定している、屋敷に住む住人の好みの部屋と家具を選び、持ち運んだ。

 ウィルから屋敷を一通り案内されて、更に驚愕の事実が判明。

 実はこの屋敷、屋根が無く、屋上兼展望所兼監視塔な見た目の石造り(正確にはちゃんとした鉱石)の二階建てだが、実は地下がある。

 それも地下五階。

 辺境伯邸と同じじゃないか……。


 屋敷の全貌はこうだ。


 一階には執務室と応接室、なんか凄い厨房と広過ぎる食堂と食堂から繋がっている、食事をする事も出来るテラス、簡易的な倉庫が三つ、更に浴場が三箇所。

 浴場は僕用、それ以外の住人用、これから増える予定らしい住み込みの使用人達用で別れているが、大きさが間違っていると思ったのは僕だけなんだろうか?

 何故、僕用が一番大きいんだろう?

 因みに僕が許可したら僕用も好きに使って良いとの事で、とりあえず居住が決まっている皆には僕用も使ってもらう事にした。

 でも、逆は駄目らしい。解せぬ。

 二階は主に居住部屋となっていて、全室海が見える造りで、一番広い海側とアリアを見渡せる角部屋が僕の部屋、その隣にそれより少し小さな部屋、それ以外はほぼ全て同じ大きさの部屋がなんか凄い数ある。

 わざわざ書いてはいないけど、各所にちゃんとお手洗いがありますよ?


 そして、本題の地下室。と言うか地下空間。

 一階は港にあるような大きな倉庫がいくつも有り、使用目的は主に研究で造られた回復錠(タブレット)回復薬(ポーション)等や、貴重な物を保管する。

 二階は大きな闘技場兼訓練場と観客席。許可された者は好きに訓練場を使って訓練をしても良いみたい。

 三階は工房関係全般で主に研究関係で使う場所。個室もあり、個人での研究や寝泊まりも出来る。

 四階は要らないと思われるが、念の為にと地下牢と警備担当が寝泊まり出来る施設。

 五階は何かあった時用の居住空間と厨房、その他保存が出来る食料や生活必需品が完備してあるが、こちらも使わない事を祈るばかり。

 そして、全ての階層には屋敷に関係する者しか知らない秘密の抜け道や罠・特殊な操作で稼働する魔道具が各所に散りばめられている。

 しかも僕が渡した爺ちゃん譲りの魔道具を使用する事で、竜種の攻撃を二・三発は凌げる要塞仕様らしい。

 ウィルとその仲間達は一体何を目指しているんだろう?と直接聞いてみると『住み良い屋敷とアリアの守護をする完全無敵の要塞です』と言われた。

 やっぱり要塞じやないか……。


 そんなこんなで新しい我が家へと移り住んでようゆく一段落……とはいかず、貴族の習わしとして、屋敷の完成披露会をする必要があり、その準備や確認に奔走する羽目になった。




 それが、冒頭の僕の呟きの原因だ。

 だ・か・ら貴族になるのが嫌だったんだよ!

 僕はのんびり好きな事をして過ごしたかったのに…………。

 と泣き言を言っている部屋にニコニコ顔のウィルが追加書類を持ってきて、僕の徹夜が決定したのだった。

 イメージはギリシャにあるロドスタウンの一部を切り取ったイメージが一番近いと思われますが、皆様の想像にお任せします。

 それにしても地下ってなんか唆られますよね?ね!?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ