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【完結】流星を放つ鷹【鷹の眼の射手】  作者: まっしゅ@
第五章 邂逅と別れ

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第七十三射目

 そこから更に一週間と少し。


 ノイ様の予想通り、陛下からの使者がうちを訪ねてきた。

 来たのだが…………。


「お久しぶりです。クランベイン第三団長、セルハ副団長」

「久し振りです。また会えて嬉しく思います」

「げ、元気そうで何よりです……」

「何で二人共敬語なんですか?」


 あれ?

 年明けにも同じ様な挨拶をクランベイン団長とした気がするけど。

 そして二人の態度がなんかおかしい。


「それはそうですよ。何せ貴方は陛下より【流星(ミーティア)】の二つ名を授かった御方ですから」

「うわぁ。なんか凄く鳥肌が立つので辞めて下さい。今まで通りで構いませんので」

「き、貴様!団長になんと言う口の聞き方を…………されるのですか?少々失礼だと思います…………」

「セルハ副団長も違和感しか無いので前と同じで大丈夫です」

「ははっ。ありがとう。じゃあそうさせてもらうよ、ユウリ」

「すまん、助かる……」


 クランベイン団長、絶対楽しんでる。

 ノイ様とクランベイン団長は見た目こそ違うけど中身が同じだからやりにくいんだよねぇ。

 良い人なのは分かってるんだけど。


「それで?陛下からの書状はどんな内容なんですか?」

「いきなり本題とは連れないな。私とユウリの仲じゃないか。あんなに激しくやり合ったのに……」

「いい加減にしないと見えない所から射ますよ?」

「よし、本題だ」


 フラン、訝しげな目でこちらを見ているのは勘弁してほしい。

 僕は清廉潔白の身だ。


「まずは、家名と家紋は考えてあるかな?」

「はい。家名は二つ名からホークアイと名乗る事にしました。家紋はこちらにする予定です」

「ミーティアじゃなく、ホークアイの方にしたのか。セルハ、家紋が使えるか調べてくれ」

「はっ。お調べいたしますので少々お待ち下さい」


 家名は問題無く受理されたが、問題は家紋。

 基本的に制限はあまりないが、それでもいくつかの決まりがある。

 まず、貴族家以外も含む、その他の家紋と違うものにする事。似ている場合は納得出来る理由でなければならない。

 次に、王国や王家を侮辱するもの・他国に関連があるとみられるもの・盗賊海賊等を匂わせるものは却下、場合によっては処罰対象となる。

 他にもあるにはあるが、この二点を守れば大体通る。


 今回、僕が(正確には第二回ホークアイ家会議で)考えた家紋は、鷹が羽を広げて円を型取り、その中に弓と矢に見立てた流星を弓に番えたものだ。

 因みに書いたのは万能執事のウィル。

 本当に何でも出来るな。


「団長、確認終わりました。家紋に問題はありません。ユウリ殿の家紋は分かりやすくて良いな」

「ありがとうございます、セルハさん」

「じゃあこの二つの件は終わりだ。こちらから問題無いと報告させてもらう。君は今日この時をもってユウリ=ホークアイと名乗ってくれ。家紋も直ぐに使ってもらって構わない」

「はい、ありがとうございます」


 クランベイン団長がこの二件の権限は陛下より託されているので、許可をもらえればその時点で決定となった。

 ここからが本番だ。


「続いて、これはディーセス辺境伯家のご令嬢であるフラン様や、この家に住んでいる者も関係あるので心して聞いてほしい」


 皆に関係あるという事は立場が何かしらに変わるという事だ。

 皆、静かに次の言葉を待つ。


「陛下からのお言葉だ。『【流星(ミーティア)】の名を持つ者、ユウリよ。この書状にて、貴殿を名誉侯爵に叙爵する。これ以降、貴殿が名を名乗る時は、ユウリ=ホークアイ名誉侯爵を名乗る様に』以上だ。はい、これが書状ね」


 嘘でしょ?

 爵位が貰えるとは分かっていたけど、高くて二つ名と同程度の伯爵位だと思っていたのに……。

 むしろ侯爵位になんか名乗って良いのかな?

 王族の血筋が名乗る爵位なので、侯爵といえば長年王国の繁栄に最も貢献してきた一族に送られる、実質最高位だ。


「なんで自分が侯爵なのか?って顔してるね。陛下や周りにも散々言われてるだろうけど、ユウリはこの国の危機を救ったんだ。言い換えれば滅亡を止めた。こんなの侯爵になるに決まっているだろう?」

「でもたった一矢を放っただけですよ?」

「でも、その一矢がこの国と国民を守ったんだ。君に侯爵は相応しい。むしろ、現当主が何もしてないのにふんぞり返ってる方がおかしいんだよ」

「団長、それは流石に言い過ぎです」

「でも本当の事だよ。何もしてない者よりユウリの方が遥かに価値がある存在なんだから」

「まぁ……団長の意見には私も賛成ですが……」

「えぇっと……。申し訳ありません、クランベイン第三団長。一つ質問をよろしいでしょうかか……?」

「勿論だ。何だい?フランお嬢様」

「あの、ユウリが侯爵になるのであれば、私の父と実質的に同等の爵位となりますよね?王都以外で同じ領地に同等の地位の者は居られないって事になっておりますけど、その辺りは……?」

「それに関しては渡した書状に書いてあるけど、あくまで永代貴族ではなく名誉貴族。知っての通り、辺境伯の方が位は上だ。それで、名誉貴族は領地を与えられる事は無い。だから本来は王都に居を構えるべきなのだが、生憎王都には今空きが無くてね。だから今回の亡命者の事を踏まえて、この海上からの防衛拠点ともなるアリアを辺境伯と共に守ってほしい」

「つまり、ユウリはこの街に居られるんですね」

「そうだね。正確に言えばこの街に居なければならない。陛下がそう()()()んだよ」

「ありがとうございますっ!」

「お礼を言われる事じゃないよ。()()ながら空いてないだけだ。そうだろう?ユウリ」

「そうですね。でも()()空いてないお陰でここに残る事が出来たので助かりました。でも、侯爵なんてそんな簡単に増やしていいんですか?」

「あぁ、その事か。名誉侯爵だからそこまで考えなくて大丈夫。それに、ある侯爵家の当主が()()()()でね。色々良くない噂があったか、存続を検討中なんだ。あ、これは内緒で」

「団長、喋り過ぎです」

「ごめん、ごめん。でもそういう事だから気にしないで良い」


 きっと陛下やクランベイン団長が気を回して僕をここに居る様に仕向けたのだろう。

 王都に住むのは勘弁だから、有り難くその任を受けようと思う。

 それにしても、ある侯爵ねぇ。

 きっと王都襲撃の際に捕まっていたあの侯爵の事だろう、きっと影に消されたのかな?

 ま、その辺は触らぬ神に祟りなしだ。


 その後も侯爵位の権利と義務が今度はセルハさんから説明された。

 しかし、永代貴族と違って一代限りだし領地も持たないので、功績を踏まえた上で、義務としては国の防衛に特化したものとなっていた。

 納税義務に関しては、貴族の年金の受け取りを辞退する事で相殺になるらしく、僕は有り難く辞退させてもらった。

 年金貰わなくても生活は問題無いしね。


「叙爵の件はこれで終わり。では最後の話だ。ユウリにとってはこれが一番重要かもしれないな」





 とうとう最後の件、亡命者の処遇だ。

 流石のウィルも緊張しているのが視えた僕は、改めて姿勢を正して、どちらに転ぶかの返事を一言も聞き逃すまいと真剣な眼差しをクランベイン団長に向けた。

 某天弓「ある侯爵はユウリの予想通り、第五十八射目で別室に連れて行かれたあのハーヴェル=カイエナ侯爵だ。襲撃との直接的関与はまだ確認されていないが、数多くの不正が見つかったので拘留。ただ、侯爵消さともなると中々王国に処分を困ってしまい、またもやユウリの予想通り、国王の影の右腕に処分されてしまったんだ」

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