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【完結】流星を放つ鷹【鷹の眼の射手】  作者: まっしゅ@
第五章 邂逅と別れ

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第六十九射目

 本日、間違って金曜日分を投稿してしまいました。

 その為、今週は一話分投稿が増えます!

「久し振りだね……。ウィル、ケティ」


 懐かしい顔ぶれと鉄格子越しの再開。 

 出来れば再開は食卓越しとかが良かったけど、贅沢は言っていられない。


「二人共、五年も経ったのに僕の事を直ぐに分かってくれて嬉しいよ。ただ、久々の再開を喜びたいところだけど、今はそんな場合じゃないのは分かるよね?」

「はい。私達がここにいる理由ですよね。ユリウス様」


 二人が直ぐに僕と分かったのは嬉しいが、今はウィルが言っている理由の方が先だ。


「ウィル、ケティ、ユリウスは死んだよ。今ここにいるのはシンフォニア王国で国王陛下から【流星(ミーティア)】、このアリアの当主、ディーセス辺境伯から【鷹の目】の二つ名をそれぞれ授かっているユウリだよ。今後一切ユリウスと呼ぶ事は禁止する。良いね?」

「はい、その様にいたします、ユウリ様」

「私も了承いたしました。ぼっ……ユウリ坊ちゃま」

「…………その坊っちゃまも禁止で」


 真面目な話をしたいのにケティがさせてくれない。

 いちいち反応していると、キリが無いので強制的に話を進める。


「今からする発言は【流星(ミーティア)】として発言する。本来なら国印付きの短剣を提示するけど、二人なら必要無いだろう。ウィリアムが全て答えてくれ。ケティの発言は禁ずる」

「「はっ(はい)」」

「単刀直入に聞く。ここに来た理由は何?あと、ここから先はこの魔道具で全て録音させてもらう。後に他の者にも尋ねるから、嘘は言わないほうが良いよ」


 この地下牢に向かっている間に、ガルシア団長から渡された魔道具を起動する。

 後々他の者に話を聞く際に、矛盾点を無くすのと僕が口頭での説明をする場合に、間違った事を伝えないようにする為だ。

 団長は『ユウリなら問題無いだろうがな!』と笑っていたが、正直難しい話だと全部は覚えていられない。


「ユウリ様に嘘など語る事は決してございません。簡潔に言えば、私達はイース公国からの亡命でこちらに参りました。正確には、ブルーローズ領からシンフォニア王国への亡命。今回の乗組員は全てブルーローズ領の者達です」

「ブルーローズ領からの……?今イース公国はどういう状況に……?」

「話せば長くなるので、簡単になりますが……」


 ウィルは現在の僕の生まれ故郷の状況を教えてくれた。


 僕がブルーローズ家を追い出された翌年、予定通り五代公爵の名をかけてブルーローズ家は長男であり僕の兄であるカリウス=ブルーローズを代表とし、ブラックローズ家に挑戦した。

 しかし、結果は惨敗。

 またもや十年間の奉公公爵として、ブルーローズ家は他家に仕える事になる。

 戦いの結果、手も足も出ず、文字通り完敗したカリウスは自信を粉々にされて、精神を病んでしまう。

 そして、今回の敗北により、父であり、現ブルーローズ家当主のシリウス=ブルーローズは他家の命令により、オスリア大森林を挟んだ南の地、シンフォニア王国を侵攻の指揮を取らされる事になった。

 その作戦の一つとして、シンフォニア王国で魔獣・魔物及び竜種の襲来、今では厄災戦線(スタンピード)と呼ばれる戦いを北の辺境伯であるローリアル家と結託してそれを巻き起こした。

 その目論見は被害者二十七人と重軽傷者のみで阻止され、王国どころか王都はほぼ無傷という終わりを迎えてしまった。

 そうなるとどうなるか?

 ブルーローズ家の信用は地の底に墜ち、隣り合う公爵家に領地を取り上げられてしまい、他家から更なる無理難題を命じられるようになってしまった。

 そこで長女であり、僕の姉リシリア=ブルーローズが旗手となり、有志を募ってシンフォニア王国への亡命を決意。

 当初、オスリア大森林を抜けようとするも、死者が多数出てしまい、敢え無く失敗。

 それがブラックローズ家にバレてしまい、処罰されるかと思ったが、逆に『お前の身を差し出すなら、我が領地を横断し、海へ出る事に目を瞑ろう』と選択の余地無しの交渉を投げ掛けられた。

 皆反対したが、『それが無理であれば、ここに集まった者は皆処刑とする』と言われ、姉は自身を人身御供としてブラックローズ家に身を預け、他の者はとても海を渡る事は不可能と思われる古い船を使い、一ヶ月もの月日を掛けて命からがらシンフォニア王国へ。 

 決起した際には千人を超える人数がいたが、オスリア大森林でその半数が死に、更に出港してから到着迄の間に更に半数が病気や魔獣の襲撃によって命を落とす結果となってしまった。


「これが、簡単にではありますが、今回の騒動の原因と目的でございます」

「そう……。では、今後他にも亡命者がこちらに来る事はある?」

「それに関してははっきりと申す事は出来かねます」

「それは何故?」

「単純に分からないからです。不満を持つ者はおりますが、実際に行動に移せるかと聞かれれば出来ない者が多いでしょう。今回の話は既に旦那様、いえ、ブルーローズ家当主にも伝わっている筈です。今後は更に難しくなるでしょう。それに、先代や当主の兄上様の目もございます」

「成る程。今後はまだ分からないが、確実に無いとも言い切れる者ではない。と」

「はい、左様にございます」

「分かった。亡命に関しては、ここにいる者を受け入れるかどうかは僕が決める事は出来ない。明らかな越権行為だ。順を追ってどうするかが決まると思う」

「はい、勿論でございます。我々はどんな決定にも従います」

「それは他の者も含めた皆の総意?」

「はい、港が見えた際に『もし死が決まっても自分達で選んだんだ。悔いは無い』と。ただ……」

「ただ……?」

「イース公国への送還だけは望んでおりません。そうまでして生きるならいっそこの国で死なせていただきたいと」

「……分かった。質問は以上だ。ここから出す事は叶わないが、不自由な事にならない様、僕が約束する」


 こうして事情聴取を終えて、魔道具を停止させ、収納する。


「ウィル、ここからは僕、ユウリ個人からの質問だから、答えなくても良いよ。ブルーローズ領はどの程度の大きさにまで縮小したの?」

「ブルーローズ家の屋敷がある街、そこからオスリア大森林迄の南側の町村のみになっております」

「それだけ……?」

「はい。東はブラックローズ家に。西はレッドローズ家にそれぞれ吸収されました」

「南側を残したのはオスリア大森林からの魔獣を阻止する為の肉壁としてって事か……」

「そのようです。しかも、高位の魔獣の素材は全て安値で買い叩かれております」

「それで公爵家とは名ばかりの下僕としているのか……。あ、ケティ。もう話しても大丈夫だよ」

「ぷはぁ。息が詰まるかと思いました」

「相変わらずだなぁ」

「ユウリ様も相変わらずですね」

「え?そんなに成長してないかな?」

「いえ、とても立派になられました。でも、その優しい目と話し方はあの頃の坊ちゃまのままで安心しました」

「ケティ、坊ちゃまって言ったから、ずっとここで暮らしてもらうね」

「それは酷くないですかぁ?」

「僕、割と権限あるからそれ位なら大丈夫だよ」

「坊ちゃま!それ、職権乱用って言うんですよぉ!?」

「また言った。食事も一日一食ね」

「そんなぁ〜。せめて、せめて三食は……」

「普通に食べる気じゃん……」


 久し振りなのに、つい最近までしていた気がするケティとの会話。

 隣でウィルが笑いながら見ているのもいつも通りだ。


「こんな形になったけど。改めてウィル、ケティ、久し振り。二人に会えてとても嬉しいよ」

「私もです、ユウリ様。いえ、今だけはこう呼ばせてもらいます。よく生き抜いて下さいました、()()()()()()()()

「私も、私またお話出来て嬉しいです!坊ちゃま」

「二人しても〜……」




 明るく話してはいるが、三人とも涙が溢れてきてしまっていた。

 嬉しさと懐かしさと寂しさと。

 色々な感情がぐちゃぐちゃになって溢れた涙。

 ガルシア団長が時折こちらを見ているのは気付いていたが、それを無視してもう少しだけこうして涙を流しながら笑い合う僕らだった。

 教えて!執事長!のコーナー!


某元執事長「私では力不足かもしれませんが。よろしくお願い致します」


 では、早速質問です。


Q1.数百人も乗れる船って大きいんじゃないの?


某元執事長「大きさ的には大きいのですが、それでもその人数を乗せて大海原に出るには古く、ボロボロだったので、渡れる訳が無いと言われておりました」


Q2.船はどうやって手に入れたの?


某元執事長「リシリア様の指示で私が手配しました。バレない様にするにはどうしても中古品になってしまいましたが……」


 ありがとうございました。


 以上で教えて!執事長!のコーナーでした。


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