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【完結】流星を放つ鷹【鷹の眼の射手】  作者: まっしゅ@
第五章 邂逅と別れ

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第六十七射目

「それで、今契約しているのはこのマリンだけだから、使える詠唱破棄は水属性の初級と中級、上級の一部だけ。無詠唱はさっきの《水流の柱(アクアポール)》と《水の防壁(アクアウォール)》だよ」

「無詠唱はどちらも攻撃魔法では無いのですね」

「うん、ユウリに『まずは身を守る魔法を優先しよう』って言われたからね」

「フランの場合は敵を倒すより、自分を守りつつ、時間を稼ぐ方が重要だからね。今の僕なら王都の広さ程度なら加護でフランの位置を把握出来るし、少し時間を稼いでくれればその場から矢を射る事も出来る」

「何ででしょう?フランが成長して、中々反則的な技術を身に付けている筈なのに、ユウリが反則を飛び越えた先にいるので、相対的に普通に感じてしまいます」

「そうだよー。ユウリが非常識過ぎて、私が凄くちっぽけに見えるんだよー」

「フランは無詠唱使えるんだから充分非常識だよ?」

「無詠唱魔法は使える方はいますけど、十五キリル先の竜種を射抜く人は聞いたことありませんよ?」

「そんな事無いと思うけど。クランベイン団長なら出来るんじゃない?」

「その話を陛下がしたら、『私にはとても出来る事ではありません』って言われましたよ」

「つまりユウリが異常なんだよ」


 解せぬ。

 二人がかりで非常識だの異常だの言うのはいじめだよ、いじめ。


「ところで、先程の訓練を見ていて、ユウリに一つ相談というか、お願いががあるのですが……」

「相談?僕で良ければ話()聞くよ」

「何で『は』を強調するんですか?」

「なんか嫌な予感しかしないから」

「そんな事ありませんよ。ただ、私にも指導してもら……」

「嫌」

「そんな最後まで話も聞かずに酷いじゃないですかっ!報酬ならちゃんと払います!」

「ルナ、ルナ」

「何ですか?フラン。今大事なお話を……」

「ユウリが毎月稼いでる金額と今持ってる金額知ってる?」

「え?流石にそこまでは知りませんけど……」

「実は…………」

「えぇ!?そんなに!?」

「人の懐事情を勝手にバラさないでくれるかな?」

「別に恥ずかしい事じゃないでしょ?男に甲斐性は大事だよ」

「そうなんだけどさ……」


 そう、竜種の討伐報酬で陛下に貰ったお金やその素材の買取、マロさんとの取引による毎月の収入と契約金で、僕の今手元にある金額は多分お城を買える。

 詳しい金額は知らないから、多分だけど。

 だって、一般流通してない白金貨が割とあるからね、何処で使えば良いのか分からずにずっと指輪の中で眠っているが。


「つまり報酬目当てでは、ユウリは動かないと」

「そうなるね。でも方法はあるよ」

「それはどのような?」

「見てて。ユウリ、ここに来た時か王都に行った時だけで良いから、ルナにも色々教えてあげて。命令よ」

「うわぁ。フラン、それは狡いと思わない?」


 騎士風に言えば、己の剣を捧げ忠誠を誓った相手からの命令だ。

 断れる筈が無い。


「だってこうでも言わないとユウリはルナに教えないでしょ?」

「うん、教えないね」

「だから私が命令するの。良いでしょ?」

「…………はい、分かりました」

「まぁ!良いんですか!?ありがとうございます!」

「今のやり取りを見て、僕が快く引き受けたような反応がよく出来るね?」

「王族ですもの、場合によっては手段を選んではいられません」

「今はそんな急を要する事じゃないでしょ」

「王族の命令に背くんですか?」

「かしこまりました、ルナマリア王女殿下。力及ばずながら誠心誠意、指導をさせていただきます」

「あ、辞めて下さい!そんな言葉遣い!あ、駄目!跪かないで!ごめんなさい、謝るからー!」


 王族の命令と言われて、わざとらしく畏まってみたら、思った以上に効果的だった。

 もしまた何か職権乱用されたら、これ使おう。


「よし、王女様を謝らせたから僕の勝ちだ」

「ユウリってたまに子どもっぽいよね。普通なら不敬罪で首が飛んでもおかしくないよ?」

「そんな事無い。それに僕を捕まえようとするなら全員目に見えない距離から射抜くから大丈夫」

「それ全然大丈夫じゃないからね?絶対にしないでよ?」


 この三人でいるとどうしても気が抜けて話が逸れてしまう。

 強引だけど話を戻そう。


「さてと。冗漫はさておき、ルナに何を教えれば良いの?杖術も光属性魔法もよく知らないよ?」

「あ、はぐらかされた」


 フランは一旦無視だ、無視。


「フランに教えた基礎を教えてほしいんです。我が儘ですが、出来れば自分一人でも可能なものだと嬉しいのですが……」

「そうだね。ずっと付きっきりで教えられる訳じゃないからそれが良いと思うけど……」

「ルナ!考え直して!ユウリの基礎は本当に……本当に地獄だよ?」

「そこまで言う?」

「だって魔力が少しでも乱れたら駄目だし、後半なんか当たらないけど矢を射て乱そうとしてきたじゃん!」

「それは実践ではゆっくり魔力を練る時間なんて無いから、その練習だし」

「ルナ、信じられる。この人女の子に向けて矢を、しかも0.1リルの場所を正確に射てくるんだよ?」

「それは神業ですね」

「違う、そうじゃない」


 先程、教えろと言っていたフランが止める側に変わった。

 基礎なら僕も教えられるけど、殆ど見てあげられない分、自分でやれる範囲は限界があるよな。

 無理して暴発したら本末転倒だし。

 あっ、そうだ。


「ルナ、一つ聞きたいんだけど良い?」 

「はい?何でしょう?私の胸の大きさですか?」

「ユウリ?」

「そんな訳無いでしょ。フランもそんな目で見ない。話が進まないから無理矢理聞くけど、年明けに闘技場で使った魔道具ってルナ個人では使う事は出来るの?」

身代わりの指輪(スケープリング)の事ですか?それなら、訓練用にかなりの数がありますので、私が使用するのも問題無いと思います」

「あの結界は?」

「闘技場の様な大規模なものは難しいですが、私一人なら問題無いですね」

「分かった。それなら《練魔術インクリース》を練習しようか。魔力操作は基礎中の基礎だし、基礎において一つの到達点でもあるから」

「い、《練魔術インクリース》ですか……。騎士団でも使えない者の方が多いあれを私が……?」

「ルナ、大丈夫。不沈艦も元々は団長と副団長しか使えなかったのにユウリが来てから団員の七割が使えるようになったから……」

「…………もう驚き通り越して、呆れましたよ、ユウリ」

「分かる。すっごく分かるよ、ルナ」

「「やっぱりユウリは異常だよ(です)」」

「えぇ〜……」


 なんか呆れられたけど、何とかルナの今後の方針は見つかったので、滞在中にやり方を覚えてもらって、王都でも練習をし続けてもらおう。

 ルナならきっと次に会う頃には習得出来ている筈だ。


「よろしくお願いしますね、先生」


 こうして、王女様と秘密の師弟関係を結ぶ事になった。




『この関係が師弟って呼び方なら実質不沈艦全員僕の弟子になるのでは?』という、不穏な事を考えないようにしながら。

 今回は教えて!鷹の目!のコーナーです!


某鷹の目「僕、前回の二人みたいに面白い事言えないよ?」


 面白い事を言うコーナーじゃなくて、質問に答えてもらうコーナーなので大丈夫です。


某鷹の目「それなら良いんだけど。答えられる範囲なら答えるよ」


 では、

Q1.《練魔術》ってそんなに難しいの?


某鷹の目「僕の場合は加護があったから割と簡単に出来たけど、基本的にはかなり難しいみたいだね。今回の本文にもあるし、以前僕が名前を教えてもらった時に口止めされたように、使える人は圧倒的少数、使える人を覚えた方が早いみたい」


Q2.何がそんなに難しいの?


某鷹の目「どう説明すれば良いかな……。えっと、まず魔力は身体の中に満遍なく流れているんだけど、それを知覚出来る事が前提だね。これ自体は魔法を行使出来る人は誰でも出来る基礎。そこから更に、知覚した魔力を【練る】って本文でも言ってるけど、濃度を濃くするって考えれば分かりやすいかな?それを全身に意図的に流す事で身体能力を向上させるのが《練魔術》だね。血液で例えれば何となく分かるかもだけど、自分の意思で血液の濃度を濃くして全身にくまなく行き渡らせるって事をしてるんだよ。普通は無理、有り得ない事をやるから難しいって言われてるみたい」


 ありがとうございました。

 今回は《練魔術》の説明をしてもらいましたー。

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