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でばっくバッカ  作者: 木兎太郎
第五章:飲み会
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第三十二話


 帰宅後、スタークを机に下ろし、早速イコは「魔導新章」を開いた。


「ふむ、あれほどの男が勧めるのだから、価値ある書物なのだろう」

「…いや、どうだろうな。どれも新章とは名ばかりで、俺らみたいな仕事をしている奴らからすれば、別段目新しいものはないぞ」


 それくらいアデルが知らないはずはないと、イコは首を傾げながら読み進める。ペラペラと水を飲むような速度でページを通過すると、直ぐにコップは空になってしまった。


「…………マジでこれで終わりなのか?想定よりも、ずっと凡庸な本だな」


 細めた目と、への字に曲がる口が、彼の失望を存分に表現していた。ここ最近、近代魔導の知見を深めたスタークですら、目新しい知識を探せずにいた。


「駄目だ。こういう時は、考えたって解らない。昼寝するわ」


 昼食すら取らず、イコはベッドに寝転がってしまった。それでもスタークだけは、机に残り魔導新章を熟読していた。元来、魔導書庫を所持しているだけあり、スタークは読書を趣味としている。魔導に関連する書物ならば、拘りなく読めるタイプだった。体を揺らしつつ器用にページをめくりながら、最初から書物を読み返していく。イコの言った通り目新しい技術などはなく、字の羅列を見ているような退屈さだけがあった。ようやくページをめくり終わると、スタークは静かに本を閉じた。その際、四肢がなかったからか、普段通りの所作に予期せぬ駆動が紛れてしまった。ブックカバーが剥がれ、本の中表紙があらわになる。ふと、そこに羽の紋章が描かれているのを見つけた。暫く眺めた後で、スタークはカバーをもとに戻した。博学な彼でも、鳥の羽の知識まではなく、大型の猛禽類っぽいな、程度の認識しかなかった。その意味に言及することもなく、ポヨポヨとベッドに眠るイコの横に体を置くと同じく目を閉じる。窓から差し込む日差しが、二人を静かに温めていた。


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